空
人は発明により生きてきた。
火の発明。電気の発明。
そういった“生きるため”の発明を繰り返し、暮らしを豊かにしてきた。
そんな昔の話だけではなく、今でも人は発明に生きている。
洗濯機や冷蔵庫などの身近な家電から、パソコンやスマートフォンなどの今では誰でも持っているものまで。
現代でも生活は発明に溢れている。
しかし、その根は異なっている。
“生きるため”は“楽をするため”に変わり、便利を追い求めている。
利便性の向上を目的とし、人の手でやっていたことを機械にやらせることが主になっている。
そのトップに位置するのがロボットだ。
人型に設計すれば、人の代用として動かせる。
AIが高性能になればもはや命令も必要なく、完全に人が何もしなくても社会が回る世界が出来上がる。
発明をもって堕落へと突き進んでいるのだ。
もっと高く、もっともっと高く。
怠けるために、だらけるために、力をつけていく。上へ、空へと堕ちていく。
もっと楽に。
高めた技術を用いて必死に楽をする。労働を機械に押し付け、抜け殻に成り果てる。
空へと堕ちていく。