二話
神子ってなんだ。あれか神様に仕えたりする人のことか。私は神様に仕えるのか?
悶々と一人で考えているとアスールと名乗る男性が喋りかけてきた。
「あの名前を伺ってもよろしいでしょうか?」
「え?あっ、あの川野未羽って言います…」
反射的に答えてしまったが知らない人に簡単に名前を教えてはいけない。もう遅いが。
「カワノミウ様?」
「未羽でお願いします」
一応川野が性で未羽が名ですと説明した。
すると輝くような笑顔でアスール…アスールさんは私を見る。
めちゃくちゃイケメンで見てられない。イケメンは怖いのだ。
「では、ミウ様と!」
アスールさんが宣言すると周りにいた白ローブの人達もミウ様だ!とかミウ様!と名前を連呼してきた。正直辛い。
そもそもここはどこなのだろう。こちらの世界とか言っていたので別の世界なのだろうか。ゲームとか嗜んでいた私はすぐに異世界だろうかという結論に至ったがやはり信じられない。
迷っていると私の考えを読んだようにアスールさんは答える。
「ここはミウ様のいた世界とは別の世界です。ミウ様から見るとここは異世界ですね」
本当に異世界だったらしい。異世界か…。もう二度と帰れないとか言われるパターンかな…。泣きそう。
「か、帰りたい…」
アスールさんはその言葉に頭を下げて申し訳ありませんと謝る。
「しばらくは帰れません」
うん、しばらく?と言うことは。
「えっ、帰れるんですか?」
「はい。役目を終えたら帰れますよ」
その言葉に希望が見えた。帰れるのか!やった!今すぐ帰りたいけど無理そうなので諦めるしかないだろう。嫌だけど。
「ここでは何ですから別の部屋で説明しますね」
「あっ、はい…」
たしかに大勢の人がいるところでは落ち着いて話も出来ませんもんね。