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41話 エピローグ

 2年後の3月


 俺はセンター試験の点数がよくて、優と一緒の大学に合格することができた。

この1年と半年間、予備校へ通って、深夜まで勉強した成果がでて良かったと胸をなでおろす。


 大学は地元の国公立の大学だ。

俺は文学部、優は教育学部に進学した。

2人共文系になったのは偶然。


 夏希と淳は都内の有名私立大学へ合格して、今では都内で楽しい同棲生活をしている。

美緒は都内の国公立大学の医大生だ。


 エロ博士は都内のアニメーション専門学校へ進学した。


 麗華と翼も都内の私立大学に合格して、今頃は都内で一人暮らしをしているはずだ。


 今では俺のマンションが、俺と優の同棲するマンションになっている。

3階は親父と優のパパ専用のマンションだ。


 今でも親父も優のパパも、数カ月に1度くらいしか戻ってこない。

相変わらず、キャバクラで2人で飲み明かしているようだ。


 優は金髪から茶髪に髪の色を変え、ミディアムロングのストレートヘアーにイメージチェンジした。

大学生になったのだから、少しは大人っぽい恰好もしてみたいという。


 今日は美緒、夏希、淳の3人が大学に通う前に戻ってくるという連絡をもらい、皆で一緒に集まることになって

いる。


 駅前のロータリーで皆を待っていると、淳と夏希が腕を絡ませて、寄り添って歩いてくる。

淳はこの1年半でさらにイケメンになっている。

高校の卒業式の日には、淳へ別れの握手をするため、女子の列ができたほどだ。


 夏希は大学生になるからかもしれないが、いつもよりも大人っぽく見える。

いつもお姉さん的存在だったが、今は色っぽい大人の女性の色香を漂わせている。


 美緒は相変わらずの和風美女で、これから大学に入ってから彼氏を探すのだという。



「拓哉……優、久しぶりだね」


「淳と夏希も久しぶり」



 夏希と優は懐かしいのか、2人で抱き合って再会を喜んでいる。

淳と俺は握手をして、お互いに微笑み合う。



「私も忘れないで」



 美緒が夏希と優の間に割り込むようにして、3人で抱き合っている。

3人の女性の再会が終わったので場所を移動することにする。



「どこに移動しようか?」


「5人だとは入れる店が少ないな」



 淳と俺が話していると、夏希が穏やかに微笑む。



「5人で楽しく過ごせる場所ならどこでもいいわ」



 確かに夏希の言う通りだ。



「ファミレスでもいいか?」


「ファミレスでいいんじゃん」



 優も同意してくれている。美緒も頷いている。

俺達は駅前から繁華街のファミレスへと向かう。


 俺と優が寄り添って歩き、夏希と淳が寄り添って歩いていると、美緒が少し険しい顔をする。



「大学で必ず素敵な彼氏を作りますから。その時は皆に絶対に紹介します」


「そうだな……美緒は美人だから、すごくモテると思うぞ。良い男性を見つけろよ」


「当たり前です」



 そう言って、美緒は俺達の前を先頭に立って1人で歩いていく。

どうやらカップルの俺達2組のことが羨ましいらしい。


 ファミレスに入り、5人が座れる大テーブルを選ぶ。

俺、優、美緒、夏希、淳の順番で椅子に座っていく。

俺と淳は対面だ。



「東京の暮らしはどうだ? こんな田舎と違って大変だろう?」


「街を歩く人の歩くスピードが半端なく早いのにビックリしたよ」


「私は朝のラッシュ時の満員電車ね。痴漢に遭ってビックリしたわ」



 夏希は既に痴漢に遭ったのか。

田舎から出てきた美女なら狙いやすいと思われたのかもな。



「淳がすぐに痴漢の手首を捕まえてくれて、痴漢は警察に連行されていったわ。淳がいてくれなかったら、私、声も出なかったと思う」


「すごいじゃないか。痴漢退治をするなんて。淳も逞しくなったな」


「いや……あの時は夏希が痴漢されているのを見て、頭に血がのぼって、あまり覚えていないんだ」


「それにしてもすごいじゃん」



 女性陣3名から淳へ拍手が起こる。

淳は髪の毛を掻いて、照れ笑いを浮かべている。



「私も大変なんですよ……痴漢が多くて……満員電車は嫌いです」



 美緒もそう言って頬を膨らませる。

美緒は美女だからな。

痴漢に遭うことも多いだろう。



「こちらに着いて、やっぱりこちらのほうが落ち着きますね。ノンビリしているというか……懐かしいというか」


「確かに都内に比べればノンビリしているだろうね」


「優と拓哉が羨ましいです」



 美緒がそんなことを言うなんて珍しい。

美緒も都内へ引っ越ししてから忙しかったのだろう。



「都内はやはりスピードが速いよ。流行なども早いし、都内に住んでいる人達は普通だと思ってるみたいだけど」


「流石は東京。大都会ってやつだな」



 淳のボヤキが少し羨ましい。

優と俺は地元の大学を選んだ。

だから東京都内の喧騒を知らない。



「都内と言っても、美緒の住んでいるマンションと私達が住んでいるマンションまで地下鉄とJRを乗り換えて30分以上かかるのよ。それで少し歩くから45分ぐらいかしら。ゆっくりいけば1時間もかかるの」


「だから同じ東京都内と言っても、あまり夏希達と会うことはなかったわ」



 夏希と美緒が東京の広さを話してくれる。

同じ都内なのに電車も含めて片道1時間は長いような気がするが、それが都内なのか。

あらためて大都会の広さを感じる。



「そのうち、俺と優も休みを取って、夏希達の所へ遊びにいくよ。その時は東京観光に連れて行ってくれよな」


「ああ……それまでに夏希と色々な場所へ行っておくから任せておいてくれ」



 いつか、連休の時でも東京へ観光に行きたいもんだ。

その時は2人にはガイドになってもらおう。


 美緒がハッとした顔をして皆を見回す。



「そういえば、都内の地下鉄のホームで麗華と会いましたよ。もう都会の女性になりきっていて、どこから見ても大人の女性に見えました」



 派手好きで強気な麗華のことだ。

すでに都内に馴染んでいることだろう。

麗華とは高校3年生になってから別のクラスになったので、どこの大学へ進学したのかは知らないけど。



「俺のところには博士からよくスマホにLINEが来るぞ。まだ友達はいないそうだ。マンションは秋葉原の近くに住んでいるらしい。自作のフィギュアが高額で売れると喜んでいたぞ」



 俺が博士の近況報告をすると、女性陣3人は黙ってしまった。

淳も苦笑している。


 翼とはあれからLINEで連絡は取っているが、高校3年間1度も同じクラスになったことはなかった。

都内の大学へ合格したところまでしか、わからない。

翼のことだから元気にやっているだろう。


 5人で色々な近況報告を交わしていく。

美緒、夏希、淳の3人も都内の暮らしに段々と馴染んでいるようで良かった。


 優と俺は相変わらず、5階のマンションで仲良く同棲生活を送っている。

夏になったら美緒、夏希、淳の3人が泊りに来てくれることが決定した。


 4月からは全員大学1年生だ。

大学に行けば、また色々なドタバタが起こるだろう。

しかし、それも大学生活の1ページとして心に残る。


 ファミレスから出て、それぞれの家に皆が戻っていく。

俺と優は肩を寄せ合って、寄り添って繁華街を抜けて、自分達のマンションへ向けて歩いていく。

これからは別々の大学だが、皆とは大人になっても良い付き合いをしていきたいと思う。



「たっくん……皆、大学生活へ向けて楽しそうだったね」


「ああ……そうだな。俺達も負けないように楽しい大学生活を送ろうな」


「うん……たっくんと一緒にいれば私はそれだけで幸せ」


「俺も優が一緒にいてくれるだけで幸せだよ」



 帰り道の公園に桜の木が数本並んで立っている。

すでに花は満開状態だ。

とても見事で美しい。



「ちょっと花見をして帰ろうか」


「うん」



 俺達は自販機でコーヒーを買って、桜の木にあるベンチに座る。

桜の木を見上げると、舞い散る桜の花びらが、夜空に舞い踊る姿がとてもきれいだ。



「これからも俺のことをよろしくな」


「私はたっくんのお嫁さんになるんだもん」



 俺は優の肩を抱いて、優の体を引き寄せる。

優は嬉しそうに顔を近づけて、2人で熱いキスを交わした。


                               END

完結いたしました。応援していだいた読者様、誠にありがとうございます(*^▽^*)

この作品をお気に入りの読者様はブックマをしていただければ幸いです。

完結にて評価が入れば嬉しいです。

応援してくださった読者様、誠にありがとうございました(*^▽^*)  潮ノ海月

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