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27話 テスト返却とHR

 これで晴れて優と付き合うようになったわけだが……日常の生活に至っては全く変わっていない。


 朝早くに優に起こしておもらい、朝から優が作ってくれて朝食を食べ、2人で学校への登校する。

校門を潜り、校舎に着いてから、靴箱の点検をして、2階の自分達の教室へ向かう。


 今では俺と優が寄り添って歩いていても、誰も違和感はないらしく、注目されることもない。

夏希と美緒の2人だけには優と付き合うようになったと報告する。

2人は手を小さく叩いて拍手をして、喜んでくれた。



「やっと優の思いが届いたのね。幼稚園の時から想っていたんだもんね。優……良かったわね」


「だいたい、拓哉が遅すぎるのよ。優に頼りっきりになっているのに、そのことに気づかないなんて、男子として問題があると思う」



 美緒……女子として色々と俺に言いたいことはあるのだろう。

それを一度に沢山いうのは止めてくれないか……

俺はこう見えても心が傷付きやすいんだ。



「あのねー昨日、たっくんから告白してもらっちゃった。今日から付き合っているだよ」



 優は嬉しそうに会ったクラスメイト達に俺達が付き合ったことを話していく。

クラス中の生徒達が俺に視線を向ける。

恥ずかしいからやめてほしい。


 麗華と目が合う。

麗華は静かに俺の席へと歩いてくる。



「優と付き合ったんですって……予想通りといえば予想どおりね。あんまり優を目立たさないでくれる。 私達のグループでも意見がわかれてるの。優が目障りだと思っている女子もいるというわけ。そのことだけはわかっておいて。あまり目立ちすぎると痛い目に遭うよ」


「ああ……忠告ありがとう。優はなるべく目立たせないように行動させるよ」


「優のことは任せたわよ」



 そう言って麗華は自分達のグループへと戻っていった。

何かと忠告してくるが、それも全て優を守る忠告が多い。

麗華もそれなりに優を評価してくれているのだろう。


 東郷の一件以来、チャラ男達は全員大人しい。

食堂にいるチャラ男達も俺を避けて通っている。

このまま夏休みまで平和であってほしいものだ。


 HRのチャイムが鳴って、茉奈先生が入ってくる。

いつもながら、クールビューティだ。



「中間考査のテスト結果を返却します。これからの予定を発表します。中間考査の後は林間学校よ。」



 茉奈先生が1人1人の席を回って中間考査の答案用紙を返却していく。


 戻された答案用紙を見ると、いつもの点数より平均で10点以上、成績が上昇していた。



「ヤッター! いつもよりも成績が上昇しているぞ」


「あれだけ勉強したんだもん。上昇して当たり前よ」



 そうだよな……優に毎日0時まで勉強を教えてもらっていたんだ。

少しは成績が上昇していてもおかしくない。

俺にしては大躍進だ。

俺は優の両手を掴む。



「優……ありがとうな……お前のおかげで成績が上向いた。これも全て優のおかげだ」


「たっくんが頑張ったからだよ……皆が見ているから恥ずかしい」



 ハッと気が付いて周囲を見てみると、周囲の生徒達が、俺と優を見てニヤニヤと笑っている。

そして茉奈先生に頭を叩かれた。



「仲が良いのはいいが、これ以上、イチャつくなら不純異性行為とみなして生徒指導室へ来てもらうが」


「いえいえ……茉奈先生の思っているような付き合いは俺達していませんから」


「茉奈先生、私とたっくんは今日から付き合い始めたばかりなんだよ」



 優……あまり茉奈先生にいらんことを言うな。

妙な誤解を招く可能性がある。

ほら見ろ……茉奈先生が俺を睨んでいるじゃないか。



「決して不純なことはいたしませんので、ご安心ください」



 既にテスト勉強が終わった後に、何度も優とキスしているが、それは付き合う前の話だ。

これから気を付けて行動すればいい。


 茉奈先生は演壇に戻って、林間学校のしおりを取り出して皆に見せる。



「これが林間学校のしおりだ。禁則事項も書いてあるから、皆目を通しておくように」



 林間学校と聞いて、生徒達は盛り上がる。

2泊3日に林間学校だが、生徒には人気の行事だ。


 茉奈先生から林間学校の冊子が、前列の生徒に配られる。

前列の席から順に後ろへ冊子は配られていく。

冊子を開けると、1日目は登山、夕飯作り、2日目は自由行動、夕飯作り、キャンプファイアーとなっている。



「たっくん2日目は自由行動にキャンプファイアーだって。楽しみだね」


「ああ……林間学校は楽しみだな。生徒皆での団体行動だから、優はあまり目立つ行動はするなよ」


「わかってるわよ……途中に別行動で帰らされるのは嫌だし」



 茉奈先生が黒板にバスの画を書いて、生徒達を見る。



「まずはバスの席順から決めていかないとな……クラス委員、後の進行を頼む」



 クラス委員達が前にでて、茉奈先生の代わりに、バスの席順を決めていく。

どうせ俺はクラスでは人気がない。

だから、どの席に座ってもかまいはしない。


 優が俺の腕を持って離れようとしない。

そして茉奈先生に大声で叫ぶ。



「私は絶対にたっくんの隣でないと嫌。他の生徒は拒否しまーす」



 だから、さっき茉奈先生に注意されたところだろう。

あまり騒ぎ立てると、また忠告されることになるぞ。


 段々とバスの席順が決まっていく。

俺の席の隣だけ空白に空いている。

そこまで俺はクラスで人気がないのか……


 優が嬉しそうに俺の隣の席をゲットした。

すると、皆がうんうんと頷いている。


 俺の隣には誰も座る者がいない。

他の者が座れば、優から苦情がくる。

それならば、この2人は一緒に組ませておいたほうがいいだろうと、クラスの皆は考えたに違いない。



「やったねーたっくん。私達、隣同士の席だよ」


「ああ……よかったな。あまり騒ぎを起こすなよ」


「たっくんの隣だから、大人しくしてるわよ」



 本当だろうか……

バスの席など、乗車してしまえば、移動は簡単だ。

どの席へも移動できる。

皆もバスの中で飽きないようにゲームなどを持ってくることだろう。

優が参加して騒がなければいいけどな。

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