23話 優との勉強会
今日の優が作ってくれた夕食はエビフライにシチューだった。
優の料理は多彩だ。
そして手際が良い。
実に手慣れている。
そして、どの料理もうなるほど美味い。
もうカップ麺やコンビニ弁当を食べられない体になってしまったように、優の料理に侵されていく。
そして1人で食べる夕飯よりも2人で食べる夕飯のほうが断然美味い。
優はいつも微笑んで、2人で談笑しながら食べる夕飯はとても温かい。
「それじゃあ、私は一旦家に戻ってシャワーを浴びてから、戻ってくるわね。それまでにたっくんはシャワーを浴びるか、勉強でもしておいて」
シャワーを浴びるか、勉強をするか、二択か。
それなら俺はシャワーを選ぼう。
決して勉強から逃げているわけではない。
優が自宅へ帰った後、俺は着替えの部屋着を持って、脱衣所へ向かう。
そして脱衣所で裸になって、シャワーを浴びる。
俺がシャワーを浴びている間、優もシャワーを浴びているのか……
あの透き通るような色白の肌。
キュッと腰の締まったスタイルの良い肢体。
そして豊満な胸。
いかんいかん……俺は何を考えているんだ。
優は東郷をも倒した猛者だぞ。
外見に騙されてはいけない。
あれだけ小学生の時に虐められ、からかわれたじゃないか。
今もからかわれているだけかもしれないんだぞ。
拓哉よ目を覚ませ。
俺は自分の両頬を両手でパンと叩く。
これで頭の中に流れていた妄想も飛んでいった。
浴室を出てバスタオルで体を拭いて、普段着に着替える。
そして髪をブローして乾かす。
その間もチラリチラリと優のシャワー姿を想像してしまう自分がいる。
これではダメだ。
集中するものが必要だ。
俺は机の椅子に座って、鞄の中から勉強道具を取り出す。
そして今日の課題に取りかかる。
課題に取りかかったが、半分もわからない。
教科書を見て、わからない問題を埋めていく。
するとガチャという音がして優が戻ってきた。
そして俺の部屋へと優が入ってくる。
「勉強をやってるなんて、たっくん偉い」
優はオフショルダーのニットシャツにミニスカートだ。
これから勉強するんだぞ……なぜその服装をチョイスした。
黒のブラジャーのヒラヒラが少し見えてるじゃないか。
下からも黒い布がチラチラと見える。
上下お揃いですか。
「おまたせー……たっくん何を顔を赤くしてるの?」
「優……お前な……もっと服の選択をしてこいよ。露出度が多いだろう」
「たっくんも気になる?」
優は嬉しそうに首のネックラインに手をかけて、すこしニットを下す。
すると今まで隠れていた黒のブラジャーの部分が見える。
見ているだけで胸がドキドキする。
恥ずかしくて思わず目を逸らせる。
「少しはドキドキしてくれた?」
「ビックリしたけどドキドキはしてないぞ。俺達は幼馴染だからな」
「ブ――! 面白くないの!」
やはり俺をからかっていたのか。
俺の胸のドキドキを返せ。
「今、宿題の課題をしていた所なんだ。わからない所があるから教えてくれ」
「どれどれ、どこがわからないのかな」
そう言って、優が俺の背中にピッタリと自分の体を押し付けて、俺の課題とノートを見に来る。
あまりピッタリと体を密着させなくていい。
背中に柔らかい2つの胸がムニュと当たってるじゃないか。
弾力があって柔らかい……
「たっくん、私の胸、大きいでしょう」
「……」
「ねー……たっくん」
「今はそれどころじゃない。勉強が先だ。勉強が先」
「そうなんだー。それじゃあ、この体勢のまま教えるね」
何?
背中に当たる2つの胸の感触が気になって勉強できないじゃいか。
あまり俺を虐めるのはやめてくれ。
「これはね……こうなんだよ。ここをこうすれば、この公式が使えるでしょう」
数学の問題を教えてくれているらしいが、背中が気になって集中できない。
このままではマズイ。
「あー疲れたな」
俺は猫背を伸ばすようにして、上半身を伸ばして、優との密着状態から逃れる。
「あー……たっくん、今私から逃げたでしょう」
「別に逃げてなんかいない。同じ体勢で勉強していると肩がこるじゃないか」
これで集中して勉強ができる。
「優……俺をからかうのは止めてくれ。俺も勉強ぐらいは真面目にしたい」
「はーい」
そして再び課題に取りかかる。
もう優は体を密着させてくることはなかった。
俺の隣に座って丁寧に間違った箇所を教えてくれている。
しかしネックラインの開いたオフショルダーのニットシャツの破壊力は大きい。
優が俺に教えようと前かがみになるたびに、黒のブラジャーが目の前に迫ってくる。
黒のブラジャーに包まれた。豊満な胸の谷間が目の前にある。
そしてシャワーを浴びた後の、石鹸の良い香りが鼻をくすぐる。
「たっくん……私の胸ばっかり見てないで、勉強に集中してよ」
こんな状態でどうやって勉強に集中すればいいだ。
俺は頭の中でお経を3回唱える。
それでも煩悩は飛んでいかない。
「ここはね……こうすればいいのよ」
はい……全然、頭に入ってきません。
俺は諦めて優の顔をジーっと見る。
優も俺の顔を見つめてくる。
切れ長の二重に大きくて優しい瞳が潤んでいる。
そして長くて多いまつ毛が濡れて色っぽい。
そしてグロスを塗った唇が濡れている。
どこから見ても超美少女だ。
俺の心が揺らぐのがわかる。
これではいかん。
課題の宿題は終わった。
後は中間考査のテストのための勉強をするだけだ。
「優……真剣にお願いが。俺は成績をあげたい。だから協力してくれ」
「協力してあげてもいいけど……勉強が終わったら1つだけ願いを叶えて」
1つぐらいのお願いなら叶えてあげてもいいだろう。
ケーキが食べたいとか、そういうことだろう。
後で一緒にコンビニにでも買いにいくか。
「わかった。1つだけ願いを叶えることを約束する」
「ヤッター! 絶対だよ! 嘘はダメだからね!」
「わかってる。俺も嘘は嫌いだ」
こうして中間考査のテスト勉強が始まった。
優は約束通りに真剣に教えてくれる。
時には大事な文をマーカーでひいてくれた。
そしてペンで要点には丸をつけてくれた。
暗記する場所も教えてくれる。
実に親切に丁寧で、頭に勉強したことが入ってくる。
勉強に集中している間にずいぶんと時間が経ってしまった。
もうすぐ0時になる。
そろそろ優を自宅に戻さないといけない。
「今日はありがとう。勉強もずいぶんはかどった。これなら中間考査も期待できる」
「どういたしまして。明日も頑張ろうね」
「おう……」
2人で椅子から立って、部屋を出ようとすると、優が服の袖を摘まんで立っている。
頬を膨らませて、怒っている表情を作っている。
何が言いたいのだろうか。
「たっくん……約束を忘れてるわよ。約束!」
「ああ……そうだったな。コンビニでケーキを買ってやるからな」
「違うでしょ。私の願いを1つだけ叶えてくれるって言ったじゃん」
「だからケーキだろう」
「子供扱いしないで」
どうも俺は勘違いをしていたらしい。
優は何を俺に願いたいのだろう。
「そういえば優の願い事を聞いていなかったな。何なんだ?」
「キスして!」
何?
今、勉強を終えたばかりだ。
優とキスなんてしたら、今の勉強が頭から飛んで行ってしまう。
「別のことでいいですかね?」
「ダメ! 絶対にキスだもん!」
そう言って優が一歩前に歩み寄ってくる。
すると間近に優の潤んだ瞳が見える。
そして甘い吐息が聞こえる。
胸がドキドキする。
どうすればいいんだ。
優は俺の首に手を回して、そっと目をつむる。
俺も優の腰をギュッと抱きしめて、2人で唇を合わせる。
すると優が小さな声で「もう1回」とささやいた。
俺達は3回キスをして体を離した。
頭の中に入っていた勉強は全て真白になっていた。
胸の鼓動の高鳴りがドキドキと止まらない。
俺は一体どうしてしまったんだ。
優は嬉しそうに顔を赤くして蕩けるような微笑みを浮かべている。
「これから勉強を教えた日は、毎回キスのご褒美をしてね」
これから毎日優とキス……
これで本当に中間考査のテストは大丈夫だろうか。




