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廃病院をリノベーション!

早速、その日から合同企画チームで廃病院を片付けていくことになった。


「取り敢えず、言うことも無いんですが、2階と地下1階を皆さんで清掃してください、危険物等を見つけた場合には用意したバケツに入れて1階迄運んで来て下さい!」


「あ、後、バケツに入らなかったりする場合は私、西原と葉山、経堂が向かいますので地下1階迄連絡を下さい!以上です!」


先輩が俄然モチベーションが上がったかの様に高らかに説明した。


「後、連絡通路なのですが、途中から別館の病棟に繋がっているので、絶対に近付かないで下さい。」


経堂さんが注釈を加え、僕らは早速地下の掃除に向かう事になった。


地下はより一層暗い。

まだ、2時位だと言うのに真っ暗で懐中電灯の電池が切れたら大怪我しそうだ。


しかし、先輩が来ない。

経堂さんと他の社員は既に来ていて早速仕事に取りかかっているのに、20分位経っても来ない。


『あれ、先輩、トイレにでも行ったのか?』


等と考えていたら、急に辺りが明るくなった。


「「おい、光が着いたぞ」」

社員達は口々にその様な言っている。


よく見ると天井についていた電灯みたいな物が薄明かりを発しているではないか。


「はぁ…はぁ…遅くなってすまん」


気が付くと、煤みたいな物で顔が汚れた先輩が息を切らしながら走ってきていた。

どうやら、前回部長に、この廃病院にまだ電気が通っている事を聞かされていたらしい。


「先輩お疲れ様です。ブレーカーありました?」


経堂さんが訪ねると、先輩は息を切らしながら、頷いた。


「ぶ、ぶちょうが…はぁはぁ…電源があるって言ってたから…はぁはぁ…地図もらって電源設備確認してたら…復旧させるのに手間取って…はぁはぁ」


息絶え絶えに先輩は喋る。

ブレーカーではなく電源設備があり、そこに災害時の非常用電源や発電システムがあると言うのだ。


「先輩は暫く休んでいてください。」


何はともあれこれで作業効率が格段に上がったので先輩には休んでてもらうことした。



両手が空いているのでサクサクと片付いていく。

先輩いわく、手術室や放射線設備、mri等の検査設備は病棟(別館)側にあるらしく、そちらの電源は別管理だそうだ。


地下は案外広かったがゴミ等は少なく以外と早く片付いて言った。


「整形外科、皮膚科、後、内分泌科は片付け終わった…後はトイレか…」


先輩が独り言を言っている。


「一応、男子トイレ、女子トイレは男性社員、女性社員に別れてやるか」


社員の一人が呟く。


それを聞いた僕達を含めた他の社員達はそそくさと男性、女性と別れトイレに入り掃除を始めた。


以外も以外、全く汚れていなかったので便器や小便器を洗うだけですんだ。


既に掃除を済ませた僕らはトイレから出ると、女子トイレは既に終わっていたらしく、地下の最終チェックに入っていた。


「よし!地下の掃除終了!」


トイレ掃除に人一倍、精を出していた先輩が叫んだ。

流石に3人と10人では効率が違う。

僕達はバケツを持って、1階に向かうと、案の定2階を掃除していた人達もそこにいた。


「はい、泌尿器科、神経内科、口腔外科、耳鼻咽喉科…2階も大丈夫そうですね!人数も……25人全員いますね!…オッケーです!」


先輩が廃病院の電源を消しに行くと、スマホを取り出し会社と連絡しながら、会社のマイクロバスに僕達と一緒に乗り込んだ。


会社に戻ると、何故か部長と課長が神妙そうな顔をして会話していた。


「あ、お、お疲れ…何事も無かったか?」


部長が柄にもなく怪訝な顔をしながら言う。


「ええ、何事もありませんでしたが…?」


先輩が喋る。


「ああ…そう…か。あ、君達、今日はもう帰っていいから。お疲れ様。」


「お疲れ…明日は準備に取り掛かるからな」


課長が何処と無く不自然な感じで喋ると、部長がそれをかき消すかの様に被せて喋る。


まだ、神妙そうな顔をした課長と、怪訝そうな顔をした部長に何処か不思議な感じを覚えながら、社員達は帰路についた。


「なあ、時に純介よ!呑みに行かないか?」


先輩がいきなり肩を組んできて言う。


「先輩、葉山君は下戸ですよ。」


経堂さんがすかさず言う。


「おいおい、良いジャマイカイイジャマイカ~呑みにいこうずぅ~。」


もう、酔ってないか?とも思うぐらいに馴れ馴れしく左手で脇をツンツンされている。


「あ、あのぅ、明日の準備に差し支えあるので…ハハ…今日呑みに行くのはちょっと…」


先輩が何故か恨めしそうな目で見ているが、ここは断らねば。


「西原先輩、葉山君、酒癖目茶苦茶悪くて大学の時の新歓で周りの人ボコボコにしちゃったみたいですよw」


いや、待てよと言おうとしたがこの際、経堂さんのナイス嘘に乗ることにした。


「あはは……そうなんですよ。あの時は若かったなあ…(遠い目)」


そう言うと、先輩は僕を茶化すのを止め「そ、そうか」みたいな態度をとっている。


「こ、今度、夏休みのイベント企画が無事終わったら、打ち上げやりましょうよ。ね?」

僕は言った。


「そんなこと言って、本当に暴れそう…葉山君w」

経堂さんが笑いながらジョークを飛ばす。


「あーあ。まあ、いいか。この企画が終わったらみんなで打ち上げやるぞ。はい、これ閣議決定したから絶対事項な、、あ、純介はウーロン茶な(汗」


こんな、どうでも良いような事を話ながら、僕達はそれぞれの電車に乗り込んだ。


それにしても、部長と課長の顔が気になっていた。

まあ、元々二人とも変な顔しているから、どうでも良いよなと自分に言い聞かせながら、車窓に揺られ帰宅するのであった。

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