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BLAZE-ブレイズ-  作者: 天道空斗
第三章~表裏と裏~
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糸と傀儡

 支社の見た目は街によくあるような工業施設で一見なんともない施設であった。工場の壁には(株)トライアングルと書かれていた。

 夜縷(よる)班の三人は正面のドアの3回ノックした。すると、中から上裸の男が出てきた。


「なんだてめえら?ここは一般人が来て良いところじゃねえぞ!」

男が扉を閉めようとした――が、夜縷がそれを足で阻止した。


「待てよ、俺らが誰かわかって言ってるのか?」

夜縷は笑みを浮かべながら言った。


「知らねえ面だな!」

男はそういって無理やり扉を閉め、鍵をかけた。


「さて、夜怠(やたい)。扉を壊せ。」

夜怠と呼ばれた男はダルそうに扉を蹴り飛ばした。そして三人は中に入っていった。中は騒然としていた。

すると中の作業員の一人が叫んだ。


「あれは...Dark Nightの夜縷だ!に、逃げろおお!!!」

それをかわきりに作業員たちは一斉に逃げ始めた。


「おいおい待て待てお前ら。ここは破壊させていただく。今日からはDark Nightの領地だ。」


「させるか!!」

上裸の男はバールで殴りにかかった。が、夜縷がしゃがんで回避し、手で地面をおして男の顎を蹴り飛ばした。蹴った勢いのまま立ち上がり、間髪いれずに右足で蹴りを入れた。男は壁に衝突し、血を吐いた。


「貴様、名前は?」

夜縷は笑みを浮かべたまま訊いた。


「ディ、ディアブル......」

男は――ディアブルは名前を言うと強く咳き込んだ。


「さて夜泡(やほう)、捉えろ。」

夜縷が指示をする。夜泡と呼ばれた高身長で鼻水を垂らしている男が鼻水を操作してディアブルをとらえた。


「こでで、いいど?」

夜泡は、鼻づまりのため聞き取りずらい声だった。


「フフ、貴様らζは何を作ってそんなに儲けているんだ?教えてくれよ」

夜縷が詰め寄る。


「お、俺が....支社の人間が知るわけないだ...ろ...本社の連中なら...知ってんじゃ..ねえのか?」


「そうか...なら貴様は用済みだ。」

そういうと夜縷は人差し指をディアブルに向けた。人差し指の先端に糸が集まる。高速で結ばれ弾をつくる。

「”弾糸(ショットスレッド)”!!」

糸は弾丸の速度で人差し指から離れ、ディアブルの胸を打ち抜いた。ディアブルが左によけたことで辛うじて心臓直撃は免れたがディアブルの筋骨隆々とした体でも弾丸にはかなわなかった。


「ぐっ.....ああああああああ!!!!!」

ディアブルが立ち上がり、鼻水を手でかいて動きやすいようにし、入口の扉と作業場への扉のわずかな廊下にあるボタンを目指していった。


「逃がすかっ!”五弾糸(ファイブショット)”!!」

夜縷の五本指の先端から糸の弾丸がディアブルを撃ち抜いた。ディアブルは打ち抜かれ、血を吐きながら余力でボタンを押した。そして、地面にうつぶせて倒れた。


「これで....俺の...俺たちの...勝ち...だ....」


「わあああああ!!!!逃げろおおお!!!」

作業員たちが更に奥へ奥へと走る。


「フフフ....”蜘蛛の巣”」

夜縷の両手の手のひらから粘着性のある糸が飛び出し、作業場にある機械にまとわりつきながら作業員たちをからめとった。

「夜泡、出番だ。」

夜泡が作業場の中にはいり作業員がからめとられている蜘蛛の巣の前へ行く。


「べへ、”鼻提灯”!!」

夜泡の鼻提灯が割れる。同時に爆発を起こし蜘蛛の巣ごと吹き飛ばそうとしたその瞬間、つむじ風が吹いた。すると蜘蛛の巣の糸はすべて切られており、作業員も全員蜘蛛の巣から脱出できていた。そして、夜泡の鼻提灯の爆発は砂の壁によって不発になった。


「ったく、面倒な連中だね。」

つむじ風が吹き去った方向にガムを噛んで機械の上にしゃがんでいる男がいた。


「ハッ、面白そうな奴らじゃないか。今から楽しみだ。」

葉巻を噴かしたコートを羽織った男が退屈そうに言った。


「ディアブル、ここのすまねえがここの工場は戦いでつぶれる。新しい施設と機械と金を用意してやる。お前は部下をつれて早くでていけ!」

サングラスをかけた黒髪と銀髪の混じった男が指示する。


「それ....が....もう...力が...」


「クソっ」

葉巻をふかした男が砂を操ってディアブルを裏口まで送り届けた。そして、裏口から全員でたことを確認すると扉を固い砂壁で覆った。


* * * * * *


 Dark Night本部では、十二幹部の夜神と夜重が次の任務の作戦を立てていた。


「ここは違うだろ?3と蛙の頭じゃねえのか?」

夜重が言う。


「いや違う。ここは肉と野菜と魚類だ。」

夜神が言う。

二人は先刻から他者にはわからないような業界用語的なもので作戦会議をしていた。すると、


「ん?......夜重、なんだか嫌な予感がしないかい?」

夜神が問う。


「別に...なんともしねえけど。如何した。」


「夜重、夜縷班が向かったζの支社に向かう。厄介な敵が現れた。」

夜神が支度を整えすぐに出口へ向かった。


「あいつらなら倒せるだろうが!どうしたんだ!」

夜重が不満そうに顔を歪めながらついていく。


「いや....あの三人だったら必ず負ける。」

夜神はそう言い切った。


「クッソ。てめえがそんな深刻そうな顔して言うときは信じるしかねえ時だよな。」

夜神と夜重は二人並んで颯爽とDark Nightを出た。

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