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BLAZE-ブレイズ-  作者: 天道空斗
第二章~この異能をお前に授けよう~
11/15

真実と偽り

「殺人、だと?」

綾取の顔には怒りの感情が含まれていた。

「何をもって殺人といっている?」

綾取からとてつもなく冷たい殺気が放たれた。


「君が無意識にルイ君を殺したんだ。異能とかではなくて、ね。」

月歩が殺気にたいしてモノともせず淡々と答える。

「ほら、そこにいるルイ君だって死んでるよ。」

月歩が云うとルイはその場で音を立てて倒れた。


「そ、そんな....そんな馬鹿なっ...」

綾取は何かに気づいたように笑った。

そして「そういうことか」と言葉では言わず口を動かした。


「君は、異能で死ぬ。自分で自分を殺すんだよ。」

月歩が云うと綾取のいた壁から車が突っ込んできて綾取を襲った。


「.....っ!!!」

瓦礫と粉塵が舞う。車が粉々に粉砕した。


「ん。」

月歩が綾取のポケットから何かを取り出し、それを壊した。

その瞬間、瓦礫も粉々になった車も、すべてが消え、()()()()()()()


「全く...他にも方法はあっただろう....」

綾取が云いながら立ち上がった。

()()()()()()()()()()()


「すまないねえ。鷹翔に盗聴されてたんだ。こうでもして綾取君が死んだと思わせないと。」

月歩が笑みを浮かべて云った。

すべて、演技で車の突撃も、幻だったのだ。


「とり合えず、鷹翔をどうする?」

綾取が埃を払い云う。


「ああ、鷹翔は特高課に渡す予定だが。」

と、月歩。

「綾取君からしたらそうともいかないか。」

月歩の声のトーンは低かった。


「俺の手で奴を殺したい。」

綾取は右手に目をやり、強く握った。


・ ・ ・

「ゴホッ、ゴホッ。あまり私をこき使わないでください、ガッキマツさん。」

色白の男が咳き込む。


「使った覚えはないぞ。で、次はどこだ?」


「ここです。」

ガッキマツらはどこかの施設の地下2階へと来ていた。

ガッキマツがドアを蹴り飛ばす。


「よお、くそ爺。」

ガッキマツが蹴り飛ばした扉の部屋の真ん中には白髪の老人が偉そうに椅子に座っていた。目を閉じて。


「もうちょっと優しく開けれんかのぉ....」

白髪の老人は消え入りそうな声で言った。


「今までの分よこせ!」

ガッキマツが白髪の老人が肘を置いている机を思いっきり殴りつけた。机にヒビが入った。しかし、白髪の老人は一切怯える様子なく、


「くだらぬ。貴君は儂に何をしたのか忘れおったのか。」


「ああ?それは手前じゃねえのか?!」

ガッキマツは机を蹴り飛ばした。


「私は一旦抜けますよ。」

色白の男が抜けるとガッキマツは異能を開放した。


「お前は組織の密輸の邪魔をした!!おかげで市警に追われる羽目だ!どうしてくれるんだ?()ζ()()()θ(シータ)!」

ガッキマツが老人に殴りにかかる。


「その名はもう捨てた...」

θ、否不狼(ふろう)はガッキマツの攻撃をするりとかわし、背中を押し付け倒す。

「儂に勝てるとでも?新参の貴様がか?」


「ぐっ」

短くうなるとすぐに立ち上がり振り向きざまに黒化して強化された拳を放った。が、不狼に拳を掴まれた。そして掴んだ拳を下に勢いをつけてやり、隙だらけになった頭頭突きで制裁した。


「終わりか?」


「まだまだぁ~!!」

ガッキマツはレーザーを放つ。レーザーは不狼の横を通り壁にあたり破壊する。

 不狼は異能で強化した爪でガッキマツの腹を刺した。


「ぐはぁっ!!」

ガッキマツの口から血が吐かれる。


「実に面白みのない戦いだった...」

不狼は爪を抜いて倒れそうなガッキマツの顔面に渾身の膝蹴りをお見舞いした。

 ガッキマツは仰向けに倒れた。


「ハァ....ハァ......お前は....なぜ...なぜその頭脳を持ちながら....()()にだまされたんだ?」


「儂はやはり黙れておったか...仕方ない。孫のことじゃ。我慢せい。貴様には現状のζについていろいろと訊く事がたくさんある。付き合っておくれ。」

とても、残念そうな顔をしていた。


「残念ながら、守れねえ相談のようだ...」


「そうか....死んでもらう。」

不狼が爪をガッキマツの腹部に刺した。

 ガッキマツが叫ぶと、先ほど退出した色白の男が入ってきた。


「死にましたか?ガッキマツ。」


「わ、わからん...」

不狼の表情は青ざめていた。まるで、何かに怯える子羊のように。


「そうですか。では、あとで蘇生しておくので持って帰ります。」

色白の男がそう云うとガッキマツを担いだ。痩せ細くてもてそうにもないが見掛けによらず軽がると担いでいた。


「貴方は、今何をしておるのですか?」

不狼が()()を使って話した。


「私は私です。ただ、私がいる限りζは不滅です。」


「そうか......ボス直属の情報員、零――」

零は薄っすらと笑みを浮かべるとその場を後にした。

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