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アルバイターズ  作者: 野方送理
9/100

第9話 超人体質

第9話 超人体質


「おい、嬢ちゃん」


「あ、疾風様、どうしました?」


「いいよ、疾風で。今日もスカウトか。ご苦労なこった。…で、わかるか?」


「う、え、あ、なんか嫌な感じかな〜〜としか…あ、後私の名前は霜村奈美です!」


「それだけわかりゃ十分だ…奈美。スカウトはあとだ。警戒しとけよ…」


「…はい」


「んっ!?」


「は、疾風さ、疾風!どうしたんですか?」


「…動きがあった。急ぐぞ!」


「はい!」


路地へ進んでいく疾風を奈美は追いかけた。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「なんだこれ…?着ぐるみ?」


「◯lpdx○$>:|☆〆=¥:々€<÷5÷・<:?」


「あ?何言ってるんだ?わかんねーな…ま、いいやとりあえずその女の人はなせや」


「$#4々\7|6々7<|×*〆○々÷÷:〆76*!」


「お、やるならやるぜ!」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「近くなってきやがった…!いくぞ奈美!」


「はいっ!神憑変化!」


奈美の体が光に包まれる。力が溢れるのを感じ、同時に


(犬神様のおかげで鼻もよくなってる…?この匂い。昨日ぶつかった天海さんの!どうか…無事で!)


「着いたぜ!」


ビルの角を曲がり、ひらけた場所に出る。


目に飛び込んできたのは倒れふすスーツ姿の女性。地面に転がりうめき声をあげる学ラン姿の男たち。


そして


血のような青い液体にまみれ体中に傷を負いぐったりと首を締め上げられる



異形のバケモノの姿と



それを片手でもつ



綺麗な女の子の姿だった。


「…あ、天海さん?」


「!?」


天海さんと思われる女の子はバケモノをこちらに放り投げ逃げようと走り出した。


「うわっ!…ってこれ完璧に死んでる…」


「嘘だろ…あいつ。生身の人間がバケモノを…?追うぞ!奈美!」


「はいっ!」


今の奈美の身体能力は鼻も耳も犬並み、脚力も世界記録などやすやす出せるレベルである。



(なのに…なのになんで!?)


もちろんここは裏路地、障害物も多数あることも一因ではあるが一向に奈美と女の子の差はつまらなかった。


「奈美!上だ!壁を走れ!」


「えっええ!そんなこと!」


「やれる!」


「うぅ…うおおおお!」


そう言って壁を蹴り、全速力で走る、徐々にその差が詰まる。


「天海さん…つ、かまえ…たっ!」


後ろから腰元に抱きついた。


「うわあっ!」


2人は地面をゴロゴロと転がる。


「あ、あっごめんなさい!」


「さ、さっきぶつかった…な、なんなのその姿…さっきのバケモノの仲間か?」


「えっ?そ、そんな!違うよ!」


(な、なんで変化した部分が見えてるの?)


「まあ、いい見られちまったんだもんなあ…悪いけどあなたも黙ってもらわなきゃ」


「み、見るって何!何も言わない!言いません!言いませんから!」


「悪いが言い訳無用!」


天海が拳を振るう。とっさに奈美は腕で防ごうとする。


ゴッ!


そのガードごと天海は奈美を吹っ飛ばした。


(う、嘘でしょ!?)


「や、やっぱり奈美さんは…魔物なの?」


「あ?あんなのと一緒にすんな、私はどこにでもいる花の女子高生だよ」


「喋り方がイメージと違う…で、でもならどうしてバケモノを!」


「あ?あそこでたむろしてた不良どもが、女の人襲おうとしててなあ…不良ボコったと思ったら別のあんなのがその女攫おうとしたから、もっかいボコっただけよ」


「う、嘘でしょ…」


「とんでもない能力ね…」


奈美の後ろから聞き慣れた声がした。


「き、霧子!来てくれたの!」


「ええ、原墨くんも嬉しいことに受けてくれたわ。…で天海さん」


「あら霧子さん、どうしたんですがこんなところで」


「もう猫をかぶる必要は無いですよ、あなたこそなんでこんなところでこんなことをしていたんですか?」


「あー…もう、頼むから誰にも言うなよ。私はなあ。喧嘩が好きなんだよ。だけどなんの罪もねえ人と喧嘩するわけにも行かねえだろ?だからここにくりゃあ悪いことしてるちゃちい不良がいるからたまに来ては成敗してたってわけよ」


「な、なるほど」


「家だって親2人とも格闘家、2人の兄貴も空手やってんのに、私だけ女の子らしく、女の子らしくって育てられてな。うちじゃボクシングさえ見せてもらえねえ、ま、習わされたピアノもフルートも嫌いじゃ無いんだがな…どうしても…こう、たまに我慢できなくなんだよ…悪いやつボコボコにしたくなるんだよ…これが理由」


「わ、悪いことでは無いと思うけど、危険すぎるわ…もし逆にあなたが襲われてしまったら」


「心配をどうも…ま、いらぬ心配よ」


そう言うと、天海は拳を握ると地面を叩いた。


バギャッ!


「う、嘘…」


「コンクリートの床が…」


天海の足元に地割れのような亀裂が広がった。


「…私の体は特別製だからな」





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