表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アルバイターズ  作者: 野方送理
89/100

第89話 文化祭に落ちる影

第89話 文化祭に落ちる影


「とりあえずグループLINEに送って…!」


走りながらスマートフォンを操作する奈美。


非表示にしていたグループLINEに自身から発言をするのはいつぶりだろうか。


「人が多い…!」


文化祭の一般客でごった返す廊下を抜けながら霧子が溢す。


一体誰なのか、もしや…


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「!?」


「おい士郎、どこ行くんだよ!」


「お前らもスマホ見ろ!いくぞ!」


士郎が柊と一郎太を立たせる。


「ちょっと!この料理どうすんですか!」


「ラップかなんかしといてくれ!後で必ず食う!」


雅信が後ろから飛ばした声に士郎が返す。


「ごめん雅信くん私らも行きます!」


「たべきったので!美味しかったです!ごちそうさまでした!」


「お粗末様でした…」


シフトを外れられない雅信は呆然と、机に置かれた置かれた代金を掴みながら厨房に戻った。


「あれ?お友達どうしたの?」


2年生が声をかける。


「なんかイベントが始まるの忘れてたみたいで…ラップとか使わせていただいてもいいですか?」


「あ、いいよ。はい、坂上くんも少し休憩どうぞ」


「ありがとうございます」


お言葉に甘えて雅信もパイプイスに座り、スマホを開き、目を見開く。


慌てて立ち上がり体育館の方を窓から見やるが、慌てて出て行った5人を思い出し、深く坐り直す。


「今回は任せて仕舞いましょうか…」


ピンチになったら出張れば良い、そう思いながら雅信はエプロンの紐を後ろ手に縛りなおした。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「いらっしゃいませ〜、迷路ゲーム楽しいですよ〜」


楚とした雰囲気で教室入り口で集客を行う。

その美貌と笑顔に絆された多くの人で廊下はごった返していた。


「あぃ…天海さん!」


その人混みをかき分けて真春が声を張り上げる。


「あら、門矢さんどうしたのですか?」


「これ!見て!」


そう言って画面の「魔力反応あり、可能な人は体育館の二階に!」という奈美のLINEを見せる。


その瞬間


ゾクン


その場にいた人間全員の背筋に悪寒が走る。


「な、なんだ今の」

「いきなりゾクゾクって」

「え、怖いんだけど…」


しかしそれも一瞬、愛羅が微笑むとともに、緊張が溶ける。


「すみません、門矢さん、いま私手が離せませんのでお願いできますか?」


小首を傾げて真春に問いかける。


「え、で、でもあなたがいてくれないと…」


「大丈夫ですよ、あ、いらっしゃいませ。入ったら右手に説明があります」


心配していないと言った様子でお客に対応する愛羅。


「正義の味方が先に行ってるんですから」


閉じた瞼の裏には奈美の姿が映っていた。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「まさかのこのこ私たちの高校にやってきてくれるとはねえ…」


体育館2階、トレーニング機器が置かれた部屋にいたのは


「な、なんなんだお前ら!」


「あなたは…水泳部の」


一郎太からきいていた先輩の特徴と一致した。


「おやおやこれは…」


そしてそこにいたのは


「兄さんの…姿を使うな!!!外道が!!」


霧子の兄に瓜二つの姿をした、魔道具を流した張本人であった。


「そうですか…」


喉に手をやり、2、3度咳をする。


『霧子、大きくなったな』


その声に霧子の方がピクリと震える。


その一瞬をついて、伸ばした手から


パン


「霧子!!」


『便利な魔道具ですね、この小口径でなかなかな威力』


胸に魔力弾を喰らい、霧子が後ろへ吹っ飛ばされる。


「カハ!ご、ごめん奈美」


霧子の肩を後ろから奈美が支える。


『霧子、友達ができたのか、よかったなあ』



わかってる、こいつは偽物、私の兄を騙る最低最悪の化け物…


『そんな怖い顔をするなよ、兄さんはお前の笑った顔が好きだな』


その言葉に、もう二度と聞けないと思っていたその声に、なんら変わりのないその姿に


「…ふざけるなァァァァァァァァァァ!!!神憑!変化ァ!!!」


爆発しそうな怒りとともに変化をするも、その目からは涙が溢れていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ