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アルバイターズ  作者: 野方送理
88/100

第88話 走れ!

第88話 走れ!


「はあ〜疲れたわ」


「お疲れさまです、春近さん、佐藤さん」


シフトを終えて来た模擬喫茶店の席に着く。


「坂上くんもお疲れ様〜。オレンジジュースください」


「私はアイスティーを」


「かしこまりました」


クラスのシフトとは別の係活動で店員を務める雅信が恭しく礼をして注文をとる。


「…どうしようお昼もここで食べちゃおうかな」


「いいかもしれませんね」


そう言ってメニューを開く。


「オレンジジュースとアイスティー、お待たせしました」


雅信がトレイからグラスを移す。


「店員さーん」


「はーい…何してんですか」


「春近さんたちと反応が違くないか!?」


「ご注文水ですね?」


「いやまだ何も言ってない!!」


「士郎の敗戦記念にやけ食いしに来たんだとさ」


そう言いながら一郎太が不貞腐れた士郎を親指でさす。


「あの人はとんでもない運してましたね…でご注文は」


「サンドイッチ3つとアイスコーヒー、食後にパンケーキとイチゴパフェ」


「…はい」


「あ、待て待て」


厨房である調理教室に戻ろうとした雅信を柊が制止する。


「あ、すみません?」


「俺らがまだだ」


「…これ1人で食べれます?」


「…俺はミルクティーだけにしとく」


一郎太が食べきれなくなった士郎に泣きつかれる未来を予測する中で


「俺はナポリタンとメロンソーダ!」


自由な柊であった。


「…はい」


「あ、ごめんなさい」


「春近さん何か食べます?」


後ろからまたも呼び止められる


「じゃあパンケーキを2つ」


「佐藤さんは?」


「あ、1人1つで」


「っ、ごめんなさいあの人たちのが写りました」


顔を真っ赤にする伊有と申し訳なさそうに喉を鳴らす雅信を後ろから3人が笑っていた。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「となり、いいかな」


「な、奈美!も、もちろん!どうぞ!」


向こうから話しかけてくるのはいつぶりだろうか


「いやー文化祭は楽しいけど結構疲れるねえ」


そう言いながら霧子の隣に腰掛け、袋から焼きそばを取り出す。


「霧子の方はどう?お客さん来た?」


「うん…まあぼちぼちかな…」


霧子もどきまぎしながらドーナツをぱくつく。


「そっか、うちは結構来たよ!」


まるで何もなかったように、いつも通りであるかのように奈美は屈託無く笑う。


「奈美は…」


二の句が継げないままチラと腕時計を見る。


その時だった。


ー腕時計に魔力反応があったのは。


「奈美!」


驚いた奈美がゲホゲホと咳き込む。


「い、いきなり大声出さないでよ驚くなあ!」


「この高校に魔物が…」


と、そこまで言ったところではたと気付く。


今の奈美にそれを言えるか?と


今の奈美は私たちの勝手で別行動を取っている。彼女のポリシーを笑い、そのくせに都合のいい時だけ協力を求めるのか


そんなことが許されるのか…


「どこよ!はやくいくわよ!!」


そんな不安をかき消すように奈美が弾かれたように走り出す。


虚をつかれた霧子も慌てて後を追いかける。


あぁこういう人だった


私とのしがらみなんて


今まで何があったかなんて


今困っている人がいるとか


魔物がいるとかの前では


関係ないんだ


ああこの子は


正義の味方なんだ。


「体育館の二階!!」


そういって走り出した








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