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アルバイターズ  作者: 野方送理
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第81話 暗躍する男

第81話 暗躍する男


「…妙だな」


「…ええ」


「なになになんの話?」


神妙な面持ちで話をする士郎と霧子の間にトレーニングを終えた彩香が割ってはいる。


「彩香さん、お疲れ様」


「最近、一般人の魔道具使用っていう事案が増えてきているの」


「…それってこの前みたいな?」


「ええ。あの街で起こったことはこういった事案のなかでは最悪のケースだったと思う」


ツキハのことを思い出し、伊有が目を伏せ

る。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


あのあと、城波神社の本部に連れてこられたツキハの処遇については黒田部長含め交渉人協会の中で2時間に渡る電話会議が行われ、最終的に。


「記憶を消す措置を行った後に、元いた養護施設に帰らせる」


ということとなった。


ヤクザに巻き込まれて死ぬこととなった11人はなんの関係もない人物たちであり、死因もそれぞれバラバラであった。

また使用した凶器は魔道具という代物、警察がいくら捜査しようと彼女にたどり着くことはない。

殺害動機や、使用にかかる制約などを知らなかったことを鑑みて、稀代の大量殺人犯はほとんどお咎めなしに野に放たれた。


とはいえ


「門矢さんと坂上くんはそれでも…いいかしら」


少し詰まりながら霧子が2人に尋ねる。


アルバイターの中で直接的な被害を受けたのはこの2人だ。



「いいもなにも…私がワガママ言ったってしょうがないでしょう」


そう言って真春は悲しそうに笑った。


「少なくとも『私』は恨んでないわ」


「別に私も」


そう、この事件の完全な被害者は彼女達だけではない。巻き込まれた11人の家族や友人、そういった人たちを踏みにじる決断である。


「他の人たちのことはともかくとして、私達がいますべきは、道具を流した大元を叩くことでしょう?」


雅信の言う通りであった。


そしてその大元とは霧子の兄に似ている男である、と推測されていた。


吉凪との一件以来姿は見せていないものの、一般人の魔道具使用は各地で発生していた。


あの街での事件ほど大事には至らないものの数名怪我人も出ていた。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「ぶはぁー疲れた」


梅雨も明け6月なかば、水泳部の練習も本格化してくるころだった。


水泳部の一郎太も最近はバイト先に顔を出すのも週一程度になっていた。


(そろそろ行かないとなあ…身体は動かしちゃいるが、戦闘訓練がご無沙汰だからなあ)


「高崎どうした、見違えるように良いタイムじゃないか!」


ふと前を見ると顧問に2年の高崎が褒められている。


(高崎先輩4月の室内大会はあんまりだったけど調子上がってるみたいだな…ん?)


と、その男の足首に見慣れないミサンガのようなものが巻きついていた。


(なんで…あそこから)


そしてそこからは


微弱な魔力が発生していた。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「まさか…次のターゲットは」


「うちの高校かもしれない」


次の日の昼休み一郎太が霧子に報告していた。


そこに陽太も現れる。



「あ、いたいた。珍しいな一郎」


「略すなよ。お前こそどうしたんだよ」


「そうだそうだ…神城さん。弓道班の先輩に…おそらくだけど魔道具を使ってる人がいる」


「…ほぼ確定かしら」


「ってことはそっちもか」


霧子が複雑な表情をする。


「もし出来たら情報を集めたいんで、その人の名前とかを送っといてもらえますか?士郎くんとかと対策を立てます」


「オッケー、早めに辞めさせられるならそうきたほうがいいよな」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「泳がせよう」


放課後、城波神社に来た士郎が放ったのは衝撃の一言だった。






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