表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アルバイターズ  作者: 野方送理
80/100

第80話 埋まらない穴

第80話 埋まらない穴


「っと、これで終わりか」


「相変わらず大して戦わせてくれねえな…」


柊が文句を言いながら愛羅に歩み寄る。


「あ?なんか言ったか?文句あるなら無理に一緒に来なくたっていいんだぜ」


「そーそー」


後ろから健もやってくる。


「すっとろいお前が悪い」


「くっそー」


「俺の取り分も全くなかったんだが…」


そう言ってさらに遠くにいた陽太が戻ってくる。


「んーやっぱり4人いるとあぶれるなあ」


(((人数というよりお前のせいだ)))


3人の男が同時に同じことを思っていた。


「せめて誰か霧子のチームに移るか?どうせ1人足りないんだし」


「1人足りないって…」


「霜村さんのことか…軽く言うじゃないっすか」


陽太と健が苦笑しながら言う。


「だって事実だろ。その方が戦うのがだーいすきなお前らにとって都合いいだろ?」


「戦うのが大好きって…」


「取り分云々言ってる時点でお前らも『こっち』に足突っ込んでんだよ、気づけや」


じっとりとした目で愛羅が睨む。


「まあ、奈美も間違いなく『こっち側』なんだけどな」


「霜村さんが…?」


柊が意外そうにつぶやく。


「まーな、とりあえず帰るぞ。チームのことは霧子に相談してみよう」


「「「はーい」」」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「一郎太くん大丈夫ですか?」


「あぁ、全然平気だ」


「士郎くんは」


「こっちも片付いたぞ」


霧子たちも仕事を終えたところだった。


「なんだか張り合いがないくらいだな」


「このくらいの敵でいてくれることが、1番の平和よ」


「そりゃそうなんだけど」


霧子の頭からはとある人物のことが離れないでいた。


「とはいえ、たまーに3人だときつい部分があるなあ」


「…それは、そうですね」


霧子も同じことを思っていた。


そもそもは愛羅、雅信には及ばないものの3番手としてかなりの実力を持つ奈美と士郎を2人とも入れ、総合力で戦うことを目論んだチームであった。


士郎の神器は日に日に数を増やし、精度、威力ともに上がっている。


一郎太はこのチームの性質上、拳の衝撃を飛ばす攻め方に磨きがかかっている。


霧子自身、愛羅とのトレーニングを重ね強くなっている気はする。


それでも少しだけやはり、物足りなさ、不安、そして



寂しさを感じていた。


「…愛羅さんのチームと話してみますね」


「…悪いね、頼むよ」


そう言いながら神社への帰路に着いた。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「2人とも怪我はないですか」


「すみません、足をくじいてしまって…」


「それはいけない、真春さん」


「たまにはついてくるもんね、伊有さんここ座って」


とある県の山奥、雅信たちもまた仕事にきていた。


「すみません…」


「いいのよ、これが仕事だもん。痛くない?」


「ええ…」


「おーい!終わったよー…って大丈夫!?」


彩香が森の奥からかけて来る。


「うん、軽くくじいただけだから」


「そっか…」


ホッと胸をなでおろす。


「流石にこういう足場の悪いところですと、戦うのが難しいですよね」


「雅信くん、さっき派手に転けてたでしょ。怪我は」


「バレてる…もう治っちゃいました」


「だろうとは思ったけど」


「雅信くんでも転けるんですね」


笑いながら治療を受ける伊有。


「とはいえまあ、私があまり無理しなくても2人が強くなってるおかげで大丈夫なんですけど」


「本当!?」


「ええ」


「私から見ても、すごく良くなってると思うわ」


「それは…よかった」


「はい、終わり。とりあえずこれで走っても大丈夫だと思う」


「ありがとう、じゃあ」


「帰りますか」


そういってその町の神社へと歩き出した。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ