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アルバイターズ  作者: 野方送理
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第78話 通常業務

第78話 通常業務


「N県O市に大きな魔力反応…天海さんたちお願いできますか?」


「あいよ、ワープ使って行きゃいいんだろ?行くぞ金谷」


「おう!」


「ええ、っと近くのS市でも怪しい力の反応…!!こっちは私が行きます!」


「ついていく!」


愛羅と一郎太が答える。


「伊有さん、一応センサーの見張りをお願いします」


「了解です!」



そう言って、各々が装置へと入っていく。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「…確かこの辺りのはず…」


霧子たちが住む市に隣接するS市の神社に到着した霧子たちが先を急ぐ。


ある建物の屋上に飛び上がった2人は


「…!!奈美…!」


青い血に塗れ、変化を遂げた奈美であった。


「…別にお金なんかいらない。仕事はこなす」


普段の溌剌とした様子からは想像もつかないほど、冷たい声で、頬についた血をぬぐいながら話す。


「霜村さん…本当だったんだな…」


今日のバイト前に一応話は通したものの、一郎太もその姿を目の当たりにして呆然とする。


「…別に邪魔しようってわけじゃないよ。だからみんなも私の邪魔をしないでよ」


そう言いながら背を向けて歩き出す。


「ま、待って!」


霧子の声に歩みが止まる。


「…あれが、あの人のやり方があなたの正義なの?」


その言葉に鋭い目をしながら振り返る


あまりの凄味に霧子と一郎太の肩がすくむ。


「…そんなわけ…ないでしょう」


2人を睨みつけながら、奈美は建物から飛び降りた。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「なあ…天海さん」


「どうしたよ金谷」


犬型の魔物を蹴散らした屍の上に座りながら陽太と愛羅が話し合う。


「本当に奈美さんは…もう仲間をやめちまうのかな」


「そうかもなあ」


首の後ろをかきながら、眠そうに答える。


「…えらく呑気だなあ。なんか…焦るというか…困るというか、そういう気はねえのかよ」


直接ではないものの奈美と衝突した1人である愛羅の呑気な様子に苦笑する陽太。


「あいつ本人がどう思ったかについては分からねえ。ただ戻ってきたいと思ったら、戻ってくるだろ」


手にしたセンサーから反応が消えたことを確認し


「帰るぞ」


「りょーかい!」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「奈美ちゃん…本当にやめちゃうのかな」


遅れてきた彩香が伊有の隣に座る。


「…どうなんでしょうね」


「戦う理由かあ…難しいね」


あくまで暗くなりいらないように、出来る限り明るく軽く話す彩香。


「…彩香さんは…適正度が高かったんでしたっけ?」


「敬語やめてよ〜。…そうだね。ちっちゃい頃からそういうものが普通だと思って育ってきたから。実家ほんっとに田舎だし」


笑いながら答える。


「伊有ちゃんは?…たしか…ペットの」


「バカみたいです…だよね。本当に原因がそうかなんてわからないのに」


自嘲気味に笑う。


「そんなことない!」


声を荒げて彩香が伊有の手を掴む。


「この仕事はすごく危ない。でもそのために伊有ちゃんは頑張って戦ってる。その理由を、たとえ本人でもそんな風に言っちゃダメだよ!」


熱っぽく力説する彩香。


「あ、ありがとう…」


伊有は少しだけ、自分に対する疑いのようなものが晴れたような気がしていた。


「…奈美さん、戻ってくるといいね」


「…!うん!」


そう言って2人はみんなの帰りを待つのであった。


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