表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アルバイターズ  作者: 野方送理
76/100

第76話 アルバイターズの分岐点

第76話 アルバイターズの分岐点


私が目を開けると


「奈美…!!大丈夫?」


霧子が心配そうに覗き込んでいた。


「きり…こ」


彼女の後ろを見ると


「目が覚めたか」


「なっちゃん…」


「やっと起きたか」


「…」


士郎くんと、雅信くんと愛羅と真春ちゃんがこちらを見ていた。


「私…?」


靄がかかったような頭が少しずつ晴れる。


と、同時に私がしたことを思い出す。



「あ、ああ…また…私…!!」


また私は力に溺れて、友達を傷つけた


その事実に胸から何かが迫り上がる。


必死に口を閉じてそれを抑える。


「…ごべんなさい」


何とか声を絞り出す。


「だ、大丈夫よ!私もそんな怪我してないし…」


「…あぁ、俺たちの怪我を気に病んでるなら、問題じゃない」


そう士郎が続ける。


「問題は、あなたがこれまで通り戦えるか、ってことだ」


「!?」


「し、士郎くん!?」


真春と霧子が驚いた顔で士郎に向き直る。


「…まあそうなるわな」


「…ですかねえ」


反対に愛羅と雅信は落ち着いている。


「…どういうこと?」


意外にも落ち着いた様子で奈美が尋ねる。


「あんたの暴走自体はまあ抑えてもらうなり、こっちとしても対策を打つなりするしかねえ」


傷だらけの2人が見つめ合う。


「ただ、これは理由の話だ。あなたと俺たちの『正義』は根本的に違う」


『正義』という言葉に顔をしかめる


「…そう…だね。私の思う『正義』は、士郎くんや愛羅に取ってはおかしなものなんだよね」


「そんなことは…」


「ないとは言わねえ」


霧子の声を愛羅が閉ざす。


「あんたのその独りよがりで、どっちつかずの『正義』なんてもんは、私に取っちゃちゃんちゃらおかしい」


敢えて、挑発するように詰る。


「…」


唇を噛んで何も言わない奈美。


「…残念ながら、俺もあなたの『正義』に則って行動できるほど、人間が出来てない」


先ほどよりはやんわりと士郎が続ける。


「…笑ったことは申し訳ないと思ってる。ただ本心がそうであることは否めない。つまり…」


「私たちとこれ以上一緒に戦えるか?」


長ったらしく奈美を諭す士郎に痺れを切らし、愛羅が直球を投げる。


「…」


奈美は答えない。


「考えも違う、目的も違う、どころか私とあんたは対立ですらある」


「そんな奴と一緒に肩を並べて戦えるか?」



「…私は」


「今は、正直難しい」


奈美の返答に、霧子が目を伏せる。


「これだけみんなを傷つけて…迷惑をかけて…裏切って…都合のいいことだってのはわかってる



でも…


愛羅が戦うことをやめないように…私も今すぐには私の『正義』を譲れない」



真剣な顔をして、奈美の話を聞く。



「そ、そんな、でも…」


「好きにすればいいじゃねえか。そのかわり」


またも霧子を遮り、愛羅が笑う。


「その狗神と一緒に、お前の思う『正義』とやらを貫けば」


「そ、そんなこと…!」


「愛羅はいちいち私を…怒らせるなあ…!」


傷だらけの目に火が宿る。


ドォン!!


「2人とも、やめましょう」


音とともに雅信が踏み出した愛羅の右手と、睨みつける奈美の頭を押さえつける。



「ここで争っても何にもなりません」


「チッ…わかったよ」


「雅信くん…」


2人が体勢を戻す。


「ただこれではっきりした」


「私もよく分かったよ」


「ちょ、ちょっと!!」


奈美が背を向けて足を引きずり歩き出す。


「…ごめんね、霧子。真春ちゃん、怖い思いさせてごめん」


それだけ言い残し、4人から離れていく。


「…強制的にあんたの権利であいつをやめさせることはできねえのか?」


「そ、そんなことは…できないの」


「穴だらけかよシステム」


「そ、そもそも愛羅さんが!」


「いや、悪いが俺たちの『予測』もここまで出ていた。どう頑張っても霜村さんは俺たちから離れることになってたみたいだ」


「そ、そんな!?」


今更のカミングアウトに霧子が目を見開く。


「雅信くん腕は」


「もう治りました」


そんな中でも2人はマイペースだった。





霜村奈美がアルバイターズから離反した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ