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アルバイターズ  作者: 野方送理
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第75話 ネコパンチ!!

第75話 ネコパンチ!!


雅信に手を引かれながら真春が言う


「…!!あった神社!」


この町に来た際、利用した神社に到着する


そこで握っていた手を慌てて離すと


「…真春さんは先に帰っててください。私は士郎たちをここで待ちます」


「ど、どうして!」


「そうは言っても1人ぐらい残っていないと…」


そう言う雅信の顔は少し曇っていた。


「…奈美ちゃんを蹴ったこと、気にしてるんでしょ」


真春の声に顔を上げて目を見開く。


「…私は…咄嗟に…命の恩人を…」


唇を噛む雅信に、真春も複雑な表情をする


「…ありがとうね」


「えっ?」


「私が鈍臭くて、奈美ちゃんの目の前にいたまんまだったから…」


「いや、真春さんは悪くないんです。ただほかに受け流す方法はあったはずなのに頭に血が上って…」


「…やっぱり私も待つわ」


「で、でも何かあったら!」


「だから…何かあったら助けてね」


そう言って境内の石段に腰掛ける。


「…ええ」


雅信も顔は曇ったままだが、少しだけ笑みを浮かべていた。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


ドコダ


アイツラハ


セイギヲ


サゲスム


アクマメ


ココデワタシガ


コノワタシガ


セイギガ


オマエラヲタオス


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



…必ずくる



あいつの鼻は確実に俺を嗅ぎ分ける


あいつは必ずやってくれる



さあ来い



(…君は頭はいいのにバカだねえ)


そんなこと言うなよサンサン


(こんな無茶せず、あの女の子に任せちゃえばいいのに)


そんなことしたら、霜村はボロボロになる


(でも勝算は1番高い、『僕ら』の答えはそうだったはずだけど)


悪いな言うこと聞かない従者で


(君を従者だと思ったことはないよ、この作戦はどちらかというと良くない方だと思っただけ)


そりゃそうだな


(どちらかというと1番はあの猫の子が…)


それは言いっこなしだ


(…分かったよ、君を選んだのは『僕ら』だ)


…世話をかけるな…きたっ!

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



霧子の息が荒くなる。


「落ち着けよ、ポシャったら私がなんとかする」


後ろ手を組みながら呑気に愛羅が言う。


「そんなこと言っても…」


訓練で戦ったことは何度もある



しかし今回は



変わり果てた姿の大切な友人を



自分の都合で巻き込んだ


友人を


取り戻すために全力で殴る


そう考えれば考えるほど息が荒くなり手が震える



ガシッ


「代わるか?」


その目は先ほどまでの霧子を茶化した愛羅ではなかった。


「もしも友達を、本当になんとか生きたまんま救いたいならば、私には頼まないことをお勧めするが、無理そうなら代わるぜ?」


その目は、もしもどうしようも無かったら



「殺す」と言う覚悟に満ちていた。


この人に任せたら殺される。


そんな理由ではあるものの、覚悟は決まった


大きく息を吐く


「…大丈夫、いけるわ」


「…よし。さっさとすませろ、来週の予習終わってねえんだから」


そう言う愛羅はさっきと同じ、ニヤついた目だった

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


木々をかき分ける音が響く


足音が徐々に早くなる
















そして








ドンッ!!



地面を強く蹴る「何か」



「サンサン!!!」


士郎が叫ぶ


あたりをまばゆい光が包む



奈美の爪は士郎を切り裂く寸前であった


「ガァァァァァァ!!?!?!?!!」


突然奪われた視界に、目を抑える。



あたりが再び闇に沈む。



奈美の後ろには、霧子が拳を構えてすでに立っていた。


ニヤリと笑う士郎。



(ネコ…)



心の中で唱える。


目の前の少女がいつもするように


拳を引く



それをそのまま


思い切り


肩へ



「パンチ!!!!!」



パァン!!!!!




思わず口に出しながら、奈美の肩に拳を叩き込む。



(当たった!?)



ドォン!!!!!



大きな音ともに何かが木に激突する



「ルナルナ、闇を」


そう言うとあたりがほの明るくなる



目を細めながら霧子が目にしたのは









血塗れながらも、人の姿に戻り木にもたれかかる奈美の姿であった










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