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アルバイターズ  作者: 野方送理
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第45話 愛羅 VS 雅信 2

第45話 愛羅 VS 雅信 2


誰も言葉を発せないでいた。


あるものは怯えるような表情で。


あるものは呆れたような表情で。


あるものは目を背けて。
















ただ1人奈美だけが



頰に汗を垂らしながら笑っていた。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「捕まえたあ!!」


治りかけだった右腕を愛羅が容赦なく掴む。


(足の速さじゃ勝てな)


振り向いた瞬間、雅信の体は宙に浮いていた。


ブォン!!


そのまま軽々と上に向かって投げ飛ばされるが、天井にぶつかる前に体勢を整え着地する。


愛羅めがけて天井を蹴る。落下の勢いを乗せて拳を打ち出す。愛羅も床を蹴って拳を構える。


ゴッ


すんでのところで雅信が身をひねり、拳をかわしつつ愛羅の腹に蹴りを入れる。


着地するやいなや床に叩きつけられた愛羅が体勢を整える前に、攻撃を仕掛ける。


愛羅が前を向く。


迫る右の拳を左手の甲でいなし、腹を狙う左拳を右膝で迎撃。

再度向かってくる右拳を今度は避け、逆に左拳を打ち込む。

それを雅信は避けつつ、血まみれの左手で掴み、右足を繰り出す。

愛羅もそれを難なく掴み、掴まれたてをふりほどかせるべくそのまま大きく右腕を振り回す。

さらにそれを利用し、愛羅の左手を掴んだまま左足を蹴り上げる。


ゴンッ!!


しかし、愛羅はそれを頭突きで迎え撃った。

下を向いている愛羅の頭をめがけて空いてる右の手のひらを突き出し、互いを振りほどく。


少し距離があく。


どちらとも言わず距離を詰め、乱打が始まる。雅信が右拳を打ち出せば愛羅は左拳で迎え撃つ。愛羅の右拳を今度は雅信が左手でいなす。さらに左手での手刀を右の腕を犠牲に受け止め、左拳を胴に何発か入れる。


互いに受け、いなし、かわし、掴み、殴り、蹴り、突き、ぶつかった。


衝突のたびに血が飛び散った。


ブシイッ


一際大きな出血とともに雅信の左脇腹を愛羅の拳がかする。


(避け損ねた…訳じゃない!?)


(痛いが…これで…ここが空いた!!)


自らの脇腹に相手の右拳をかすらせることでできた一瞬の隙をついて、雅信が愛羅の右肩を狙う。完全に前のめりだった愛羅は拳が肩に触れた瞬間、それと同じ速度で右肩を下げ、今度は完全に雅信が体勢を崩す。


ドスッ!!!


愛羅の左拳が前のめりの雅信が浮き上がるほどの衝撃を、鳩尾に叩き込む。



そのままゆっくりと、雅信の体は、地面へと崩れおち




ずに、地面すれすれまで前のめりのまま曲げた膝で床を蹴り、愛羅の腹に右拳が刺さる。


予期せぬ攻撃に流石の愛羅も後ろへと下がる。


口から吹き出た血を拭いながら


「…心臓ぶっ潰す勢いで殴ったのに」


とぼやく。



「はは…ぅっ、ブハァっ」



それに答えるかのように、膝立ちのままだった雅信が、大量の血を吐き出す。


「ええ…潰れましたよ…いたた…ゲホっ」


咳き込みながらなお血を吐き出す。


「…答えられるとこまででいいんだが、その再生ってどういう発動条件なんだ?」


「ガハッオエッ…すみません、一応僕の意識でコントロールしてます。…今回みたいに確実に死んだ場合は、勝手に自動再生をアリスさんがしてくれます」


ひとしきり血を吐き、落ち着いた様子の雅信が立ち上がる。


「へー…じゃあもしかして、意識を飛ばしたら」


「…殺さずに気絶させられてしまったら、今回僕は完全に負けですね」


「負け」という言葉を聞いて愛羅は笑う。


「仕方ないから、そっちルートで行こう」


雅信も迎え撃つ姿勢を整えた。




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「…すごすぎる」


彩香のつぶやきを皮切りに、医務室にいた伊有、一郎太、健、柊が口を開いた。


「あの2人は人間じゃないよ…」


「足を止めて殴り合ってた時ほとんど中身が見えなかった…」


「見えててもあんな威力くらえねえよ…」


「天海さんの一発一発が一撃必殺だもん」


その後も、4人は各々の感想を述べあった。


そんな中で真春は1人押し黙って、モニターを見続けていた。


(どうして、雅信くんはこんなに強いの…?)


愛羅が強い、というのは周りから聞いた話とバイト終わりの愛羅の様子でなんとなく察した。また未だに愛羅には治療を行ったことがなかった。トレーニングと称しては、相手が健だろうと奈美だろうと霧子だろうと医務室送りにする愛羅。もちろん雅信もここまでの試合展開で押される部分が多かった。とはいえ雅信はどうしてそんな人と『戦えている』のか。


(…分かんないことばっかだ…)


雅信への疑問は募る一方だった。


そんな悩みを抱えながらも、真春は愛羅と死闘を繰り広げる雅信から目が離せなかった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



愛羅が、雅信に向かって走り出す。



振りの大きいパンチを繰り出し、雅信が難なくこれを避ける。


今度は逆の左手を振り回す。それもどうにか避けた矢先、雅信はあることに気づいた。左を使った攻撃の際、愛羅は右腕が少し浮く。つまりは、右脇腹がガラ空きになる、ということに。


もう一度右のストレートを頭を振って避け、敢えて体を愛羅の左側に寄せる。


ここぞとばかりに愛羅も左拳を雅信の顔めがけて繰り出す。


(来た!!)


読み通りの反応。雅信はしゃがんで、それを回避。渾身の左が愛羅の右脇腹に叩き込まれる。


ドゴンッ!!


またも鈍い衝突音が響き
















雅信の拳から血が吹き出た。


「狙ってくるとおもったよ…隙を作れば必ず…お前は本当に素晴らしい」


愛羅はつぶやきながら


人体の主要な急所の1つである


顎に右のアッパーを炸裂させた。


雅信の体が浮き上がる。



(顎を撃てば脳が揺れる、つまりは意識は…)


雅信の足が地面に触れる。その刹那、
















愛羅の反応速度よりも早く、雅信の拳は愛羅を襲った。


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