表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アルバイターズ  作者: 野方送理
37/100

第36話 奈美 VS 伊有 3

第36話 奈美 VS 伊有 3


「驚いた、本当に木を切り倒すとは」


感心したように霧子がつぶやく。


「うう〜、どっちが勝つのかなあ…」


どちらを応援すれば良いのかわからず、横で彩香が悩ましげに声を上げる。


ギィン!!!


スピーカーから響く甲高い音に気づき2人はモニターに目を落とした。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「ぐぐぐ…」


「まさか爪で受け止めるとは…」


伊有が振り下ろした刀を奈美は間一髪鋭い爪で受け止めていた。


(だけどこの重さ…長くは持たない…!)


額に汗を浮かべながら必死に押し戻そうとする奈美をよそに、伊有はソードハートの言葉を思い出していた。


(刀を選ぶな…とは、どういう意味なのか…)


そして何かを思いつくと刀を振り上げた。


そして一瞬しゃがむと、刀をもう一度振り下ろした。



慌てて次の攻撃に備えるべく、奈美は刀を見つめた。



その脇腹に、鈍い衝撃が走った。


「がっ!?」


予期せぬ攻撃にクリーンヒットを許してしまい、ゴロゴロと地面を転がる。


やっとの思いで立ち上がると既に伊有は距離を詰めてくる。


またも伊有の左手で銀色に輝く刀に気を取られ、左肩に攻撃を食らってしまう。


「ぐぅっ!」


よろけるが倒れずに、後ろに飛んで距離をとる。


伊有を見つけた奈美の目に入ってきたのは


「二刀流…!?」


「刀を選ばない…ならば、これも1つの刀でしょうか」


伊有が握っていたのは木の棒だった、先程切り倒した。驚異的な威力を持つソードハートの刀を囮に使い、連撃を叩き込む、シンプルだが確実な方法だ。


「さて…行きますよ」


ドッ


伊有が地面を蹴り、突進を仕掛ける。


先ほどと同じように刀を振りかぶる。


あえて奈美は視線を外し、木の棒に注目する。


「いつもそうとはかぎりません」


そうつぶやくと伊有は奈美の肩に峰打ちを叩き込んだ。


「っっ!!!」


まともに攻撃をくらい、さらに木の棒でも脇を叩かれる。


よろける奈美を確認すると伊有はさらに刀を振った。


奈美の隙をついたややおおぶりな攻撃、奈美もそれを見逃さなかった。


とっさに右の拳で刀を持つ伊有の左手首を殴る。


伊有も突然の出来事に刀を放してしまう。しかし、中に浮く刀をよそに、伊有は右手の木の棒を振りかぶる、が。


ベキィッ!


奈美の左の拳で折られてしまう。


伊有はまたも木の棒を拾うと今度は両手でそれを振るった。


それを奈美も両の拳で迎え撃ち、伊有を押し戻す。2人とも両手から血を吹き出す。



その時、奈美は上を向いて何かを確認した。


それにつられて伊有も上を見てしまった。


だが、先ほど奈美が見ていたものは既に奈美の元へ落ちてきていた。


慌てて正面を向いた伊有が最後に見たのは、彼女自身の刀を口にくわえ突進する奈美の姿だった。


ドッ


ちょうど鳩尾のあたりに、奈美の、いや伊有の刀が、伊有に叩き込まれる。


「がっ…は」


倒れこむ伊有、その意識は既にはるか遠くに飛んでしまっていた。


「…ワンちゃんだからね…ご主人様が飛ばしてくれたものは、くわえて返さなきゃって思うのよね…」


肩で息をしながら奈美はそう呟いた。


「勝負あり!!!!」


イレズマの声が響く。

模擬戦第一回戦、勝者、霜村奈美。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ