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アルバイターズ  作者: 野方送理
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第24話 移りゆく心境

第24話 移りゆく心境


「ふっ、ふっ、ふんっ!」


「おー春近、気合入ってるな、よしよし」


昨日のことを思い出しながら、私は一心不乱に竹刀をふった。


技術も気力も…強さも。足りていなかった。私だってあのままでは危なかった。もっと、もっと強く!


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「…早いな愛羅さん。なあ…頼みがあるんだが」


「あんたは確か…湯島?とか言ったな?なんだ?暇だから内容によっちゃ聞いてやる」


「組手をしてほし」


「ようしわかった、さあ行こう、みなまで言うな、いくらでも付き合ってやる」


「あ、ありがとう…」


こちらから頼んだのに首根っこを掴まれズルズルとトレーニングルームへと引きずられながら俺は考えた。


確かに俺はダンシュラの力で化け物たちと渡り合い、倒すことができた。


それでも足りなかった。あの道を抜けた時は自信すら湧いていたのに、だ。


強さだけじゃ、どうにもならない。だけど強さすら足りない。今は強くなるしかない。決意は固まった。


その後、俺は後悔してもしきれないほどの組手を行うことになる。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「ほ、本当にごめんなさい!私が迂闊にさらわれなんかしたから…」


「いいのよ彩香さんは悪くないわ」


「ほんとだよ!こちらこそ…ごめんね結果的とはいえ彩香ちゃんに攻撃しちゃって…」


「いやいやいや!全然!もう全然!痛くなかったし!気にしないで!」


「うぅ…私ももう少しうまく戦えれば…そこそこに喋り方は戻ったけど微妙に舌痛いし…」


「そ、その彩香さん、今後のことなんだけど…」


「あっ…うん…やっぱり怖い、怖かった、かな…」


「そう…ですか」


「だから、私も強くなる」


「えっ?」


「あんなのに負けないように、もっともっと強くなる、奈美ちゃん、トレーニング付き合って!」


「う、うん!」


そう言って2人は走っていった。


私は、少しだけ安堵していた。彼女にとって昨日の事件がトラウマになってしまうのではないかと。


そしてそれが原因でアルバイターを辞めてしまうのではないかと。


そして何より辞められないことに彼女らが気づくのではないかと。


私の嘘に。


…私は卑怯だ。


それでも私は…。


頭を振り払って彼女らについていった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


いつもの通り地下に入ると、とある部屋に昨日まではなかった「保健室」の文字があった。


中に入ると真春さんが机に向かって何かを書いていた。



「おや…真春さん…きてたんですね」


「来ててもいいんでしょ?ここで勉強しようかと」


「そう、ですか」


「何?辞めると思った?」


「…ええ、正直。危険極まりないですし…」


「もう、なんか人形?とかも作らせてもらったし…私は戦闘タイプの神様じゃないらしいし…それに」


「それに?」


「そう言う危険な仕事ならまた、ほ、他の人とか…坂上くんだって怪我するかもしれないじゃない!」


「…ありがとうございます。では私はあなたに傷1つつけないように戦いましょう」


「…は!な、何言ってんの!馬鹿なの!?わ、私そんな場所に出てかないし!本当!馬鹿!?」


真っ赤になって怒る真春さんをなだめながら私はその言葉を真に胸に誓っていた。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


ロビーのような場所で士郎が昨日の事件について健、陽太に話している。


「そんなことが…もう少し、気を引き締めるべきかもな…」


「あぁ、これからも気をつけないとな…」


「な、なあ」


「なんだ金谷?」


「あ、天海さんはなんで効かなかったんだろうな?」


「そういえば…そうだな」


「憑神は別にそう言うタイプの能力じゃないらしい」


「なるほど…もしかしてなんだが」


原墨がためらいつつ語った。


「あの人の喧嘩好きは…それはもうすごいもんだよな。戦闘狂と言っても過言じゃないと言うか」


無言で2人はうなずく。


「だけど…学校じゃ、全くの清楚な、お嬢様みたいな?感じじゃないか」


「うん…つまり?」


「それらのバトルしたいという欲求を常に抑えつけてあんな風に生活できてるから…」


「いつも精神のコントロールが完璧すぎて…精神力的に…催眠が効かなかった?」


「ありえる…な。大いに」


疑問に1つの答えが出るとともに、天海愛羅の恐ろしさを改めて感じた3人であった。








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