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アルバイターズ  作者: 野方送理
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第17話 風雲急を告げる

第17話 風雲急を告げる


そしてついに11名全員が交渉人協会日本支部の中の本部である城波神社に集うこととなりました。


当日に彩香ちゃん、伊有ちゃん、一郎太くん、秀くんのそれぞれが神との契約を終えたためその足で今年度のアルバイター全員による仕事を言い渡されました。まずは自己紹介から始めました。はじめに交渉人である霧子がしました。


「私は神城霧子、憑神はグエンドリン様、皆さん本当に協力してくれてありがとうございます。皆さんの安全を第一に職務を全うしていきたいです」


そういうと霧子は私の方を向いて自己紹介をするよう促しました。


「私は日浦奈美と言います!みんなで頑張って日本の平和を守りましょう!」


と勢いよくいうと、みんな笑ってくれました。その後、一人一人自己紹介をしていくと、彩香ちゃんに熊神・ツキヒ様が、伊有ちゃんに剣神・ソードハート様が一郎太くんに拳神・弾修羅様が、秀くんに盾神・オーフェンス様が神憑いた、ということがわかりました。


その後、11人でぞろぞろと××市の神社に行き、健康の神様と呼ばれているスビエ様によくわかりませんがおまじないのようなものをしていただき、解散となりました。


最初は怖いだけだったのに、友達が一緒にいるということだけで、なんだかわからないけれどアルバイトに対してドキドキしている自分がいることに私は気付きました。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


私には悩みがある。


それはとても大きく到底解決が望めないものだ。


その悩みの種とは


「じゃあまた明日、真春さん」


屈託のない笑顔で私に挨拶をするこの男なのだ。


「ええ、また明日」


極めて平静を装って返事をするが心中は穏やかではない。


どうしてこんなにもドキドキするのだろうか。はじめてだ、こんな気持ちは。あまり接点がなければ少しはマシなのに、席が近いこともあってか休み時間には必ずと言っていいほど話しかけて来る。もちろん、満更ではないのだけど…。


この男のせいで勉強もうまく手につかない。はあ、神様にでもすがりたい気分だ…


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


昨日から始めたアルバイト。少しでも早く友達に馴染もうと城波神社に向かい教えてもらった隠し扉を開けようとしゃがんだ時だった。


「やあお嬢ちゃん」


「そいつ」が現れたのは


「あなたは…誰ですか?」


後ろを振り向くとすらっとした体型のとても端正な顔立ちをした、それでいてどこか

怪しさを併せ持った男が立っていた。


「名乗るほどのものじゃあないさ。まあ、オッドベノンという名前がある。お嬢ちゃんは、なんていうのかな?」


軽率だった。というより答えてしまう圧力が「そいつ」にはあった。


「あ、彩香です」


その時、どうしてか「そいつ」から目が離せず、体が動かなくなった。


「彩香ちゃん…いーい名前だあ。ちょっと一緒に遊ばないかい?」


そんな誘いに乗るわけと思いながら私の口は


「もちろんです」


と答えていた。自分の体が思うように動かなかった。怖くて怖くて震えそうなのに体は固まったままだった。


「そう言ってくれると思ったよ…さあ、行こうか」


オッドベノンと名乗る男が私に近づいてきて手を取ろうとした時


「その手を離しなさい」


「おおっとお…邪魔が入っちゃったなあ」


そこに立っていたのは霧子ちゃんだった。


「う〜ん、専門家は嫌だなあ」


と言いながらオッドベノンは霧子ちゃんの方に向き直った。と


ドウッ


オッドベノンが地面を蹴り、霧子ちゃんに飛びかかった。それに瞬時に反応し蹴りを放った。


そこから先は目視ができないほど早い2人の蹴り合いになった。


「ううーんやるじゃない…厄介だなあ」


と言ってオッドベノンが何かに気づいたように半歩下がると、ドスッという鈍い音とともに


霧子ちゃんが崩れ落ちた。


(霧子ちゃん!?)


声が出ないまま叫んでいた、よく見ると霧子ちゃんの首筋に、注射器のようなものが刺さっていた。


「よくやった!フープスピア!流石俺の弟子だ…お?お前も獲物を見つけたのか」


「ええ、とても私好みの少女がいたもので…お手伝いが遅くなりすみません」


フープスピアと呼ばれた男は脇に私と同い年ぐらいの女の子を抱えていた。


「あぁきにするな…それじゃあ彩香ちゃん…」


オッドベノンは向き直ると


「行こうか」


満面の笑みでそう言った。


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