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アルバイターズ  作者: 野方送理
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第1話 選ばれたアルバイター

第1話 選ばれたアルバイター


「そう…ですか。この子が…?」


「えぇ、貴方が示す条件の中ではこの子が第一の適格者よ、…何か問題でも?」



「えっ、あ、いえいえ!何にも!なんでもありません!それでは話を持ちかけて見ます」


「くれぐれも、ミスのないようにね」


「はい…」



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「あ〜〜もう、どうしよう…」


私、霜村奈美は頭を抱えた。

なにを悩んでいるかというと高校に入学して1ヶ月、学校生活にも慣れてきた頃、ようやく待ちに待った学校からのアルバイトの斡旋が来たのだ。


私の通う波賀野高校は自由な校風で学生の意思を尊重する。そんなわけで私服校であり、アルバイトも許されている。しかし、世の中には危険な仕事やブラックなバイトも多いため、学校からこのようにアルバイトの斡旋がかかる。その中からやりたい人がバイトを選ぶのだが…


「そりゃそんなに高くないよなぁ…」


斡旋されるバイトはどれも簡単な仕事内容に比例してバイト代の方も控えめになっていた。密かに「高校ではバイトしまくって大好きな本を集めるんだ!」などと思い描いていた私の考えは甘かったらしい。月々のお小遣いもそこまで多くないしなあ…。


「なにをぶーたれてるのよ?」


「あ、霧子ぉ…お金が欲しいよう…」


「あんたその発言あんまよく聞こえないから控えなさいよ…」


やんわりと諭してくれるこっちの女の子は神城霧子、今は隣のクラスだが中学時代からの友達で帰り道が一緒なので仲良しだ。確かお家は神社だった気がする。


「なに、あんたバイトすんの?勉強大丈夫なの?」


「うーん、まぁまだ一年生だし!社会勉強、社会勉強!」


「不安だ…まあ確かにあんまりバイト代は魅力的じゃないわね」


「でしょ!期待してた分がっくりきちゃってさぁ…」


「…ねえ奈美。…割りのいいバイトを知ってるんだけど…興味ない?」


「え?なになに!気になる気になる!教えて!」


「ちょ、近い近い近い!…ちょっと責任者の人に話聞いてみたりするから今日の放課後、うちの神社に来れる?」


「あ!なに!巫女さん⁉︎巫女さんやるの私⁉︎いいよいいよ!やるやる!」


「…ちょっと違うけど、ま、まぁそんなところよ、じゃあ放課後待ってるわね」


「うん!ありがとう霧子!」


やった!これで本が集められる!持つべきものは友達だ!


その時の私は浮かれていた。バイト探しに光明が差し、大好きな本を集められる。そのことばかり考えていた。だからだ。その時の霧子の顔が少し暗かったのに気づかなかったのは。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


6時間目の終わりを告げるチャイムがなり私は仮入部中の陸上部をほったらかして一目散に霧子の家の神社に走った。


「霧子ー!来たわよ!」


静かな神社に似つかわしくない大声で私は霧子を呼んだ、しかし返事がない。


(留守かな?もしかしてまだ帰ってない?)


そう思った矢先だった。


なにもなかったように見えていたお賽銭箱の前から、眩い光が溢れた。


(なになになに!?)


そして光の中から現れたのは


「おー!この娘が霧子のいっとった『志願者』かあ!」


身長3メートルはあろうかという1つ目の巨人と


「えぇ。よく来たわね、奈美、それではカタナギ様、始めさせていただきます。奈美もよく見ててね」


厳かな服装に身を包み、頭のてっぺんから猫のような耳を生やし、静かに微笑む



よく知る親友の姿だった。





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