転章 アイアンマン
「え、格闘ゲーム大会?」
阿波瀬がきょとんとした顔で聞き返す。
怪物製作所のジムにロボ男と幼女、そして剣が訪問する。
ロボ男は黒いコートを着ているが中は素っ裸なのは内緒だ。
「プレステとかもってへんか? 格闘ゲームできるならなんでもええんやけど」
「持ってるけどジムでやるの? 牙子さんとかに怒られないかな?」
もっともだ。
だが、幼女曰く。
「大丈夫じゃ、練剛 王の許可もとっておる。他のメンバーも集めてみんなでやるぞい」
幼女のじじくさい喋りに阿波瀬は苦笑いする。
「なにこの子? 迷子? 何のキャラ?」
「いいから早う持ってこい。優勝したら王から賞金もあるぞ」
「ほう」
阿波瀬がニヤリと笑う。
「それは同キャラ対決オーケーなのかい?」
数時間後、壮絶な格闘ゲーム大会が始まった。
トーナメント形式で格闘ゲーム大会は始まった。
名前の書かれたデカイトーナメント表をヒノメが持ってくる。
練剛 王。
練剛 牙子。
阿波瀬 鏡。
大山 岩男。
鎧塚 剣。
アルト バイエルン。
栗田 凛。
伏見 甲斐。
八人のトーナメント戦。
ヒノメと幼女は見学らしい。
一回戦第一試合、王と牙子の兄妹対決は開始一秒で王がコントローラーを破壊して終了した。
一回戦第二試合、阿波瀬と岩男の対決は阿波瀬が圧勝。どうやら阿波瀬は格闘ゲームがかなり得意のようだ。
そして一回戦第三試合、ロボ男と剣が再び対決する。
ロボ男のアルト バイエルンという偽名臭い名前にドイツ人かすら疑わしくなる。
「どうして格闘ゲーム大会なのか、とか思ってるじゃろ」
幼女が話しかけてくる。
ずいぶん懐かれてしまった。
飴をあげたからだろうか。
「あやつのパワースーツ、練剛 王の攻撃に耐えるボディを作るための試作品でな」
剣にボロボロにされてしまったが。
「強度を上げるためには重量がどんどん増していく。自力で動ける限界を超えていいならもっと丈夫に作れるが動けない的など意味がない」
幼女の拳が握られる。
「たとえ自力で動けなくても外部からコントロール出来たらと思ってな。ほれ」
剣とロボ男がゲームで戦う画面を指差す。
剣がロボ男を連続技で圧倒していた。
「あのようにゲームのようにコントロールできたら自力で動けなくてもいけるじゃろ」
それ、中に人いなくても同じじゃない?
「昔な、王と約束したんじゃよ」
王のほうを幼女が見る。
ゲームに負けて拗ねている巨大な男。
「壊れないおもちゃを与えるとな」
大会はどんどんと進み剣はアルトに勝ち、自分は栗田に負けた。
準決勝 阿波瀬と牙子は阿波瀬の圧勝。
剣と栗田は剣の圧勝だった。
決勝は阿波瀬と剣の二人になる。
どちらも他を寄せ付けない強さだった。
「やるね、戦士くん。でも俺には勝てないよ」
「格闘ゲームはワイの第二の師匠や。負けるわけあらへん」
熱い戦いが始まった。
阿波瀬はコピーの能力を使ってゲームをしている。
これまで全部同キャラ対決で闘っている。
コピーの弱点は長時間持たないことだが格闘ゲームの1ラウンドは1分くらいなので余裕がある。
後は相手のミスを見逃さず常に相手のベストをコピーしていれば勝てるのだが。
「なっ、ミスがない」
「当たり前やっ」
剣がまったくミスしないため勝負が引き分けに終わる。
ラウンド八
引き分けが重なり、勝負が長丁場になる。
「勝負は決まったな」
幼女が呟く。
コピーの限界がきた阿波瀬が崩れ落ちる。
優勝は剣。
「おしゃあああ、約束忘れんなよ、チビ助」
約束? そう言えば剣に耳打ちしていた。
「格闘ゲームで皆を負かしたら重力コントロール室を作ってやると約束したんじゃ」
さすがに漫画をあまり読まない自分でもそれは知っている。
重力の重い部屋で特訓して強くなるやつだ。
「お前も実験に付き合ってくれたら色々作ってやるぞ。ゾンビがパワースーツの中に入ってくれたら無茶な動きもできそうだしな。暴走モードとかできそうじゃ」
邪悪な笑みを幼女が浮かべている。
「ダメ、ハカセ、ナカハ、ボク」
泣きそうな顔のアルトが自分を睨んでくる。
「遠慮しておきます」
そう言って少し笑っている自分に気がつく。
「おい、壊れないコントローラー今すぐ作れ! リベンジだ!」
王が大声で叫んでいた。
現在一人称に全編改稿予定中です
しばらくお待ちください




