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怪闘王  作者: 恋魂
第七部 僧侶(プリースト)
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転章 プリースト

阿波瀬(あわせ) (きょう)視点

 七分。

 それが今、牙子(きばこ)さんをコピーできる限界の時間。

 それ以上は身体が持たずに筋肉が肉離れを起こし始める。

 まだだな、もっと身体を鍛えなければならない。

 最近、賞金を狙ってくる者達に強敵が混ざるようになった。

 よく現れるのはリベンジャー。

 一度破れた者の再戦だ。

 特に目立つのはこの前の......。


「今日もお相手お願いできますか」


 華さんこと山田 花子さん。


 あれから華さんはギルドというジムに入門したらしい。

 そこでのあだ名は僧侶(プリースト)

 相変わらずシスターの格好で大人しい雰囲気でいるが本性を知っているので笑ってしまう。


 華さんは牙子さんに負けてから牙子さんには挑戦しないが牙子さんをコピーした俺と戦いたがる。

 何回も同じ相手に負けるのは嫌らしい。


「七分間、それ以上は無理ですよ」


「前から30秒しか増えてないじゃないですか。もっと鍛えてください」


 上目遣いで言われる。

 騙されてるし利用されてる。


「は、はい、がんばります」


 でも騙されてしまおう。


 華さんは短期間で強くなっていた。

 牙子さんとの対決から一月たらずでスピードもパワーも段違いになっている。

 ギルド。

 いったいどんなジムなんだろうか。

 どんなところか訪ねても華さんは答えない。


 ガッ


 スリーパーホールドを決められる。

 背中に胸が当たって気持ちがいい。

 うん、落とされてもいい。


 ごつん


 後頭部に頭突きを食らう。


「真面目にしないと捻り殺しますよ」


「ふぁい」


 真面目にやることにした。



 戦闘が終わって華さんを送っていく。

 山道を歩く。

 この後またジムでトレーニングをするらしい。

 食事にでも誘いたいが今月はサイフがピンチだ。


「華さんはどうして牙子さんを倒したいの?」


 歩きながら訪ねると華さんは。


「同じ男を好きになったから」


 衝撃の発言をする。


「え、誰? 怪物製作所にいる奴?」


「嘘よ。同じ男を倒したいと思ったからよ」


 牙子さんが倒そうとする男は知っている。

 練剛(れんごう) (おう)

 牙子さんの兄貴だ。


「あの頃、すこ〜〜しヤンチャしててね。隣町のヤンキー達を率いて暴走してたの」


 それは少しどころのヤンチャではすまない。


「本気でね、日本制覇とか思ってたわ。この街に住む世界最強の男も倒してやろうとしていたの」


 華さんが拳を握る。


「その妹がワタシと同じような事をしていた。同じようにヤンキー達を率いて兄貴を越えようとしている噂を聞いた」


 聞いた事がある。

 怒羅鬼羅(ドラキュラ)刺糾化巣(サキュバス)

 どちらも頭が女性の暴走族。

 まさか、牙子さんと華さんだったとは。


「軽く捻ろうとしたら逆にヤられたのよ。許せるはずはないでしょう」


「そ、そうですかね」


 苦笑いで誤魔化す。

 とりあえずどちらの味方もしない。

 だってどちらも素敵だもの。


 がつん


 いきなり後頭部を叩かれた。

 なんでだろう、考えていることがわかるのか?


「負けてから今までのように自由気ままに生きるのをやめたの。いろんな格闘技を学んで最後は教会に通っていたわ」


「どうして教会に?」


 繫がりがわからない。


「神を見たの。アメリカでね」


 神?


「まあ、神に祈りたくなったのよ。趣味みたいなものね」


 どうやらあまりこの話はしたくないようだ。

 話題を変える。


「華さんは牙子さんを倒したら次は兄貴を?」


「それはもう他に譲るわ」


 ギルド、そう書かれたジムに着く。


「人間の範疇(はんちゅう)を超えた怪物は同じような超越者にまかせるわ」


 コピーの限界を軽く超えるものはそうはいない。

 全くコピーできないのは今の所、魔王(サタン)、練剛 王 一人だ。

 ジムを見上げる。

 いるのか、ここに。

 魔王なみの超越者が。


「またね、次は10分持つように鍛えといて」


 いつの間にか大人しいシスターの仮面を捨てて普通に話しているということに気がつく。


「今度から花子さんと呼んでいいかな?」


 調子に乗ったら関節技を決められた。


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