モンスターズ
登場人物紹介です。
ヒノメ視点です
練剛さんに、怪物製作所の人物ファイルを作れと言われた。
唐突だった。
なぜ、とかは聞かない。
答えが返ってきた試しがないからだ。
ノートパソコンを自宅から持ってきて、ジムの片隅でファイルを作る。
まずは練剛さんからだ。
モンスターファイル①
練剛 王
モンスター名は、魔王
戦闘力 測定不能 (人間の能力を遥かに超えている)
二十一歳
身長1メートル94cm
体重135キロ
得意技は力任せに殴るのみ。
人間離れした力の為、いまだ全力で人を殴ったことがない。
格闘技の世界大会では、十五歳の時から六連覇し、敵となる者がいない。そのため常に強者を探している。
こんなもので良いのだろうか?
わからない。
僕のファイルもいるのだろうか。
自分で書くのは恥ずかしい。
先に書いてしまおう。
モンスターファイル②
陽之目 一
モンスター名は、邪眼
戦闘力 不明 (自分の能力は測れないため)
十六歳
身長1メートル72㎝
体重58キロ
得意技は相手の能力を見ること。
戦闘力や体力、ダメージなどを数値でみることが出来る。
思った以上に恥ずかしい。
僕のは、これくらいでいい。
続けてキバコさんを書こう。
モンスターファイル③
練剛 牙子
モンスター名は、吸血鬼
戦闘力 780 (ジム最高値)
十六歳
身長1メートル65㎝
体重
いきなり後ろからどつかれた。
キバコさんだ。
体重書いたら殺すと言う顔をしている。
空欄にしておきます。
すみません練剛さん。
得意技はスピード。
最高速度で放つ攻撃は見えない右、ファントムライトと恐れられている。
本気でキレたら噛み付くクセがあるそうだが、未確認。
ファイルを覗き見したキバコさんが満足気に立ち去る。
後頭部が、痛い。次だ、次。
モンスターファイル④
大山 岩男
モンスター名は、岩人形
戦闘力 250
十八歳
身長1メートル90㎝
体重102キロ
得意技は頑強。
全身に力を溜めると筋肉が鋼鉄化し、攻撃を弾きかえす。
極端な無口。いまだに声を聞いた事がない。
背後から圧力を感じて振り向く、岩男さんが無言で、立っている。
やめて、超こわい。
自宅で書いたらよかったが、見ながら書かないと細かい身長や体重がわからない。
もう、早く書いてしまえ。
モンスターファイル⑤
栗山 凛
モンスター名は、最弱
戦闘力 2
一五歳
身長1メートル61㎝
体重55キロ
得意技は右正拳突き。
それ以外をまだマスターしていないし、ただ一つ覚えた右正拳突きすら、まだまだだ。
最近、ようやく戦闘力が1から2になる。
彼が強くなる日がくるとは思えない。
どうしてここにいるのだろうか。
今も、マラソンの疲れでジムの隅で、動けないでいる。
そして、逆に全く疲れない男がいる。
モンスターファイル⑥
伏見 甲斐
モンスター名は、不死
戦闘力 測定不能 (死体や無機物と同じ0測定値)
一六歳
身長1メートル83㎝
体重 50キロ
得意技は超回復。
ダメージを受けても、スタミナが減ってもすぐに回復する。
攻撃手段はないが、倒されることもないので、無敵に近い。
彼は皆の動くサンドバッグとして活躍している。
練剛さん以外に、回復速度以上の攻撃を叩きこめるものは、ジムにはいない。
可能性として、あるとすれば......。
モンスターファイル⑦
阿波瀬 鏡
モンスター名は、模写
戦闘力 12 (ただし変動する)
一七歳
身長1メートル75㎝
体重 62キロ
得意技はコピー。
相手の能力を真似る。
ただし、真似る能力により体力を消耗し、限界がくると、気絶する。
コピーの能力を高めるため、今もスタミナを鍛えている。だが、たまにふざけたりして真剣味がない。
すきあらば、キバコさんをデートに誘おうとする。
チャラ男め、許さんぞ!
とりあえず、人物ファイルの下書きが終った。
さらにここから血液型、好みのタイプなどを書いていこう。
少し楽しくなっている僕がいた。
この時はこのファイルがあんなことに使われるとは、想像すらしていなかった。
次回
第四部
戦士




