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怪闘王  作者: 恋魂
第三部 吸血鬼(ヴァンパイア)
16/52

二話 フロム・ダスク・ティル・ドーン

 

 あれから何度も血を飲んだ。

 医師から貰った格闘家の血。

 クラスメイトの血。

 二度目の兄貴の血。

 近所の悪ガキにも噛み付いた。


「まるで変わらないね」


 結果は出なかった。


「君が血を飲んで強くなる条件は限られている」


 医師が言う。


 一つは自分より強い人間であること。

 二つ目は意識を失うほど切れて噛み付くこと。

 三つ目、同じ人物からはさらなる効果は得られない。


 条件クソ厳しい。

 グレそうになる。

 だが、グレん!


 それなら、強い奴を求めて探すまで。

 強い奴に会いに行く。

 格ゲーの主人公のようなセリフと共に旅立つ。


 出会うヤツ、出会うヤツボコボコにする。


「牙姐さん、スイートキッス買ってきやした」


 ヤスからドリンクを受け取る。


刺糾化巣(サキュバス)の奴等、今夜ぶっ飛ばしてヤるんすね! 俺らの怒羅鬼羅(ドラキュラ)が最強だと思い知らせてやりましょう!」

 

 あれ? グレてないはずが、いつのまにか族の総長になりましたよ?

 

 なんだよ! 怒羅鬼羅て!?

 ここ最悪の黒歴史。

 中ニの夏。


 深夜の山頂、轟山(とどろきさん)に怒羅鬼羅と刺糾化巣が集まる。

 ここにニ年後怪物製作所なんてジムができるなんてこの時は想像もつかなかった。


 ブォーン ブォーン パラリラ パラリラ


 バイクの音がうるさい。何百人いるんだ、これ?


 ちなみにうちはママちゃり。

 バイク免許とれないからね!


 なんか面倒だな、味方も含めて目に見える者、全部ぶっ飛ばして帰ろうかな。

 そう思ってたらいきなりものすごい歓声が湧く。

 

「きたぞ! 我らのボスが!」


 サキュバスの連中が興奮している。

 熱気がすごい。

 それ程の奴がくるのか。

 もしかしたら、兄貴以来の血を頂けるのか。

 

 人の波が、モーゼの十戒ごとく、割れる。

 その中心を歩くボス。

 大歓声があがる。


 あれ? なんだあれ。

 

 兄貴のような男を想像していた。

 ごつい番長みたいな奴。

 だが、やってきたのは、肌を露出したむちむっちのエロそうなオンナだった。

 黒いライダースーツの胸元が開いて、でかい乳が溢れてる。

 髪はロングな金髪で、口にピアスがあり、なんかエロい目でウインクしてる。


「なんだ、あれ?」


 ヤスに聞くが、なんだか前屈みで無視された。

 ぽかーんと口を開けて、エロオンナを見ている。


 とりあえず、ヤスを地面に埋め込んだ。


 もういいや、ぶっ飛ばして帰ろう。


 エロオンナに近づく。

 歓声はさらに大きくなる。

 

「あら、貴女がドラキュラの...」


 喋り終わる前にエロオンナをぶっ飛ばした。

 見えない右、ファントムライト。

 ただの右ストレートだが、部下達が勝手に名付けた技だ。

 

  避けるでもなく、耐えるでもなく、エロオンナは崩れ落ちる。


 やはり、こんなもんだ。血の乾きは治らない。


「いったーい。なにすんのー! ひどーい!」


 エロオンナが地べたで座り込んで、泣きだした。

 ため息を吐きつつ、エロオンナを起こそうと手を差し伸べる。


 その瞬間、エロオンナの表情が一変した。

 

 腕にエロオンナの手が絡まる。

 いつのまにか、背後に回られてる?

 足にも足が絡まってる!

 背中に当たる巨大な乳がムカついて鬱陶しい。


 なにがなんだかわからない!

 自分がどんな体勢になってるか、エロオンナがどう絡まっているか、まるでわからない。


 分かるのは全く動けないこと。

 そして、全身が締め付けられて鋭い痛みが、走っていること。


「さあ、みんなショータイムよ!」


 エロオンナが叫ぶとどっと歓声が湧く。

 

 全身の痛みに気絶しそうになる。

 来る。兄貴以来のあれが来る。


 頭の中が真っ白になり、


 うちは野獣のような声をあげた。

 

 




 


 


 

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