表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
怪闘王  作者: 恋魂
第三部 吸血鬼(ヴァンパイア)
14/52

序章 インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア

序章と転章は視点がかわります


ヒノメ視点

 

 ぱんぱんっ すぱぱんっ


 ジムに着くとキバコさんがサンドバッグを叩いていた。

 いつもの光景だ。

 朝六時。

 たぶんまた徹夜で叩いていたのだろう。


 練剛(れんごう)さんの妹、だが練剛さんとは筋肉の質が逆。

 スピードとパワー、柔と剛。


 肌の色さえ違う、そして、流れる血も。


「おはよう、ヒノメ」


 サンドバッグを叩きながらキバコさんが視線を移す。


「どうだ? スタミナは上がっているか?」


「ええ、昨日より0.2パーセント上がってますよ」


 左目を抑えて答える。


「そうか」


 少し嬉しそうにサンドバッグを叩く。


 キバコさんの筋力はスプリンター向きの筋力だ。

 長時間の動きには向いてない。

 だが、それを無理矢理鍛えている。


「あいつを倒すため、永遠に打ち続ける」


 そう言ってスタミナを鍛えて続けている。


 一般の人間なら、もはやキバコさんのスタミナは無尽蔵と言っても良い程だ。

 だが、倒そうとしている人間は、怪物だ。

 しかも、怪物の中の怪物。

 怪物の王だ。


 練剛さんを除けば、ジムの中でキバコさんは最強だ。

 カイくんの不死身も、チャラ男のコピーも、岩男さんの頑強も叶わないだろう。

 もちろん、戦闘能力を見るだけの僕や最弱の栗田など問題外だ。

 だが、それでも練剛さんとキバコさんの戦闘能力は大きくかけ離れている。

 例え、キバコさんが一日中練剛さんを殴り続けても倒せないだろう。


「練剛さんは本気で実行する気なんだろうか」


「あいつが冗談を言ったことがあったか?」


 知っている。あの人は本気だ。

 目的のために手段を選ばない。


「あいつは、自分より強いものなどこの世にいないと思っている。だから、うちから作りだそうとしている」


 高校を卒業するまでにキバコさんが練剛さんを倒せない時、キバコさんは練剛さんが選んだ男の子供を産む。


 そして、その候補を探し、鍛える場所、それがこのジム、怪物製作所だ。



 サンドバッグを叩く力が強くなる。


「ふざけるなよ! 絶対ぶっ飛ばしてやる!」


 キバコさんが練剛さんの選んだ男と無理矢理子供を作らされる。

 そんなのは、まっぴらごめんだ。

 だが、僕は練剛さんとキバコさんの相手となる怪物を探している。


 矛盾。

 否。


 もし、練剛さんの目に叶う怪物を探し出せない時、その時は......。


『俺がキバコとの子を創る』



 これはキバコさんも知らないことだ。

 練剛さんにタブーは存在しない。

 邪魔する者は神でも倒すだろう。


 それだけは阻止したい。

 だから僕は怪物を探し出す。


 できれば、その怪物とキバコさんが幸せになることを願いながら。

 


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ