第二九談【異力操作】
第二九談【異力操作】
次の日。
近藤達は坂本の体を調べてとあることが発覚した。
坂本は塩を持っていない状態で睡眠状態になると体が怪異に乗っ取られるということ、そしてそれを止めるには坂本が目を覚まさないといけないこと。
近藤「目が覚めてたら塩がなくても行けるのは羨ましい...俺風呂の時も塩持ってるんだぜ!?」
阿部「亮介のと違って怪異に意思があるからな...」
井上「それより問題なのはこれで翼が七不思議達のターゲットになったってことだよ。自分の意思で怪能を使えないのに狙われるって危険すぎだよ!」
井上の冷静な状況判断に近藤と阿部は納得する。
坂本「でももし襲われても家庭科室の包丁が命は守ってくれるってことだし!」
阿部「いや...一番の問題は家庭科室の包丁がまだ安全と決まったわけじゃないこと...だな。」
近藤「確かにそうだな...」
四人は深刻な事態に坂本の身の危険を考えて抱え込んでしまった。
井上が塩を鞄から取り出した。
井上「私の塩持ってたら翼も少しは安全なんじゃない?」
坂本「そうなったら奈緒ちゃんが危険だよ!こういう時はあの人に頼ろう!」
近藤&阿部「あの人?」
坂本は何かを閃いた。
近藤達はそれが何かをまだ理解していなかった。
【理科室】
放課後ということもあり安達先生が実験の片付けをしていた。
理科室に井上達が入ってくる。
井上「安達先生!」
安達「びっくりした...君か...どうしたんだ?」
坂本「実は...」
坂本は事の経緯を安達先生に話した。
安達「ちょっと待て...阿部よテケテケの力?それに九尾の狐が助けに来たって...?」
近藤「そっか!先生は知らないのか」
近藤は安達先生が知らない事の経緯を全て話した。
安達「テケテケに取り憑かれた!?それに九尾の狐と協力関係って...すごいことになってるなお前達...」
阿部「まぁテケテケに取り憑かれたと言っても制御できてもう力に変えましたから!」
阿部の力強い言葉に安達先生は少し安心を見せる。
安達「で?私に何をして欲しいんだい?」
坂本「先生って元々術師だったんですよね?」
安達「習ってただけで術師ではないよ」
坂本「怪異と戦えるような力について知ってることはありませんか?」
坂本の言葉に安達先生と近藤達が驚く。
坂本は心の中で安達先生に戦いを学ぶことを閃いていたのだ。
近藤「閃いたってこのことか...」
安達「知ってるけど...教えたところで使えるかは分からないぞ?使えるかどうかは才能だから...」
坂本「それでも良いです!足手纏いにだけはなりたくない!」
坂本の熱意に負けて安達先生は戦い方を教えることを決めた。
安達「仕方ない...良いよ。教えてあげよう。」
坂本「やったぁ!ありがとうございます!!」
近藤「それって俺たちも教えてもらうことって...」
近藤の発言に安達先生が近藤を睨みつける。
安達「さっきから気になってたんだが...近藤!阿部!」
近藤&阿部「はい!?」
安達「お前達は力の使い方がまるでなっていない...まずは怪能をまともに扱えるようになれ!」
安達先生の発言に近藤が疑問を覚える。
近藤「でもこれ以上どう伸ばせば...」
安達「近藤は呪いに負けないように精神面の強化!そしてすり抜けや引き寄せを体にもっと馴染ませろ!」
安達先生は近藤に伝えた後すぐに阿部を睨みつける。
安達「阿部は長期戦の弱点を減らせ!一回力使って動けませんじゃ死ぬぞ!!」
阿部「確かにその通りです...」
安達「最後に井上...私はお前が一番ダメだと思う...」
安達先生が井上の方にどんどん近づきながら話す。
井上「あの...具体的にどこですかね...?」
安達「塩に頼りすぎ!家庭科室の包丁の時もそうだが相手が小さかった時一方的にやられるぞ!お前も坂本と一緒にトレーニングだ!」
安達先生が今まで近藤達を気にかけていなかったとは思えないほど的確なアドバイスをしたことに近藤は驚いていた。
近藤「安達先生ってそんな感じでしたっけ?」
安達「正直怪異とかの話にはもう関わりたくなかったんだが...先生として生徒が死ぬかもしれないのに放ってはおけないだろう。」
井上「先生...!」
坂本「具体的に私と奈緒ちゃんはどんなトレーニングを?」
安達先生が少し楽しそうに坂本を見た。
安達「お前達に教えるのは...異力操作という技術の習得だ!」
井上&坂本「異力操作?」
安達「とりあえず近藤は人魂と共に塩を少しずつ減らして呪いの制御の特訓。阿部は反動なしでテケテケの力を使えるようにかれ。スピードは落ちて良いから。」
近藤&阿部「わかりました!」
近藤は人魂と共に部室へ、阿部はグラウンドに向かった。
安達「よし...じゃあ教えるか...」
井上「よろしくお願いします!」
坂本「よ、よろしくお願いします!!」
挨拶を済ました後、安達先生が準備室から箱を持ってきた。
井上「これは?」
安達「この箱の中には怪異が入っている。といってもとても小さな怪異だ。」
坂本「どうしてこんなものを?」
安達先生の行動の意味がわからず二人は困惑してしまった。
安達「まず異力操作とは。隠異と性質は似ているが怪異達の世界でのみ生成されるエネルギーをこっちに持ってきてそれをコントロールして自由に形を変える技術のことだ。」
井上「???」
坂本「つまりどういうことです?」
安達の説明に二人はあまり理解を得られなかった。
安達「見ててくれ。まず隠異でも感じたはずのこの世ではない場所を自分の中でイメージする。そこの中にある異力と呼ばれるエネルギーを人間界に引っ張ってくる!!」
安達先生が説明をしながら目の前に黒い紫のオーラを纏った球体を無から生成した。
井上「なんか出た!」
安達「そしてこれを...」
安達先生は異力を両手で包んだ。
そして紫色のオーラが安達先生の手の中に入る。
安達「よし...成功だ!この状態なら!」
安達先生がダンボール箱を殴る。
衝撃で破裂するほどの威力が出た。
坂本「すごい...」
安達「と、こんなふうに身体機能を強化できるんだ」
井上「かっこいいー!!」
安達先生の手からオーラが消える。
安達「しばらくすると人間界から怪異達の世界へ異力は戻る。」
坂本「今からこれを取り出すのと扱うことを覚えるってことか!」
安達先生は手で三角の形を作る。
安達「おしい。正解は異力のコントロールを覚えるだけ。人間界に持ってくる過程は正直怪異達に襲われた時は使わないだろう。」
井上「そっか!怪異達の世界に私たちが行ってるわけだしね!」
トレーニングの目標ができたことで井上と坂本のモチベーションが上がった。
安達先生が異力を生成し、井上と坂本に渡して二人はそれを扱えるようになるまで反復の特訓を開始した。
井上「難しい!コツがわからない...」
坂本「入れるところまではいけた!」
井上「すご!どうやったか教えてー!」
二人は協力しながら楽しく特訓をしていた。
第二九談【異力操作】-完-




