ー余話2
アンパンキッドを前に出してソロで踊らせた。横浜アリーナは熱狂した。
海原もステージ脇で、髭もじゃの顔で踊っている。アンコールが終わると、アンパンキッドと海原は熱く抱き合った。カスミは横から微笑んで言った。
「海原さん。出来は?どうだった?」
かなりゴミ臭いが、そんな事は気にならなかった。
「悪くない。素晴らしかったよ。まだまだ行ける。アメリカのショービズの天井はまだ上にある。そろそろ帰るよ。ネコの中川に餌をやらないと、あいつはシェ三橋のゴミ箱のトルティーヤが好物なんだ」
「今の推し?中川が羨ましい」
「カスミを推す必要はない。あんたは自分で考えて出来る」
カスミは一瞬横を向いて、海原を見つめた。
「スーパーウナバラの跡地をね。ライブ前に買った。リニューアルの相談に乗ってくれない?スーパーを経営した事がないの?店長を任せたい」
海原は口をパクパクさせて、アンパンキッドを見た。
アンパンキッドは頷いて合図した。
猫の中川を女性が持って来て、海原に抱かせた。
「どういう事だ?何が起こった?」
カスミは深呼吸して言った。噛まなければ良いなと思いながら。
「私は。あなたの推しになるよ」