表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/14

 由利とミカの奇妙な共同生活が始まった。


 本来なら今すぐにでもミカを警察に連れて行くべきなのだろうが、由利にはそれができなかった。もし、このままミカを警察に連れて行ったりしたら、真っ先に自分が誘拐犯だと疑われるだろう。

 けれどもミカの保護者が見つかるはずはないから、その疑いは直ぐに晴れるだろうが、彼女の背中の羽をどう説明すればいいのか? 何をどう言ったところで、自分の言葉など誰も信じてはくれないだろう。

 由利にはその後の展開が全く想像できなかった。


 そんな由利の想いをよそに、ミカはすぐに彼になついてしまった。

 毎日毎日可愛らしく身を寄せてきてはあどけなく言葉を交わし、時には子どもらしく、遊び半分で由利の手を取って眺めたり、それを頬に当てたりした。

「ほら、ねっ! けんとの手、あったかいよ。えへっ・・・」

 ほとんど無意味なその仕草が、いちいち子供っぽくもあり可愛らしく、またふとした瞬間に見せる、本能的な女らしい所作、それらのギャップに、由利は次第にミカに心惹かれていった。


 大学の講義やバイトのある時は、この部屋に一人残して行くのだが、そんな時ミカはなんとも言えない表情で寂しがった。

 そうして帰ってくると、「けんと、遅~い!!」と言ってふわっと浮き、すぐに由利の首に両手を廻し、嬉しそうに抱きついて頬ずりしてくる。

 そう、彼女は天使、その翼は衣服で隠されてはいても、ミカは翔ぶことができるのだ。

 ――やべえ~~、このままじゃ俺、ほんとにロリコンになっちまうよ・・・

 

 休みの日はミカを連れてあちこち出掛けたりもした。傍目には仲の良い兄妹に見えたかもしれない。

 彼女に似合う服を探したり、評判のスイーツを食べに行ったり、遊園地にも連れて行った。由利の部屋で生まれたと称するミカにとって、見るものすべて、何もかもが新鮮らしく、どこへ連れて行っても満面の笑みで喜びを表現した。


 そんなミカとの楽しい日々が、由利の毎日を彩っていたある日、再び驚くべきことが起こった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ