表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

インディビジュアリティー・グロース

この作品は不定期で連載します。

2045年


とある日、世界は技術革新により近代化が急速に進んでいた。その最もな例が人工知能である。有名な学者を集め、政府主導で開発された汎用人工知能『アーク』と1人の天才科学者により開発された最高峰の汎用人工知能『ヴァール』。『ヴァール』に関しては不明だが『アーク』は最近になって情報が出てきた。『アーク』という汎用人工知能は自律性が備わっているので自ら学習しデータの収集を行える。その上で、推論する能力を備えているので未知の状況に陥っても自ら知性を発揮し、問題解決に取り組むことが出来る。なので円滑なコミュニケーションも簡単にできるだろう。


政府は今後のために汎用人工知能の『アーク』と『ヴァール』の実用性が十分であるかどうかの最終確認としてこの2つを利用したフルダイブ型VRMMOゲームを開発した。それが『 インディビジュアリティー・グロース《individuality growth》』である。それはリアルと遜色ないくらいの出来の仮想のゲーム空間だと言われ、世界中の人々がこのゲームに期待した。


その後、1500人のユーザーによるβテストを経て今日ついにサービスが開始される。




そして今、僕はヘルメット型のVR機器を着けログインする。



徐々に視界が暗くなっていく。





『名前を登録してください』


機械音が聞こえてくる。


視界を開けるとそこは真っ白な空間で目の前には先程言われたことと同じ文字が画面に表示されていた。



「レドでお願いします」



『かしこまりました』



『それでは次に職業を選択してください』



戦士、武闘家、魔法使い、弓使い、聖職者、


鍛冶師、木工師、裁縫師、調合師、料理人


といろんな職業があるが決まっている。



「武闘家でお願いします」



『かしこまりました』



『では最後に諸注意があります』



┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈



まとめると


アバターはVR機器が読み込んだ現実の姿をそのまま使う。ただし、髪の色は変更可能。


僕は白にしました。



キャラクターは作り直しができない。



プレイヤーの争いには不干渉。



細かいことはメニューにあるヘルプを読んで。



というものでした。



『それではこれで説明を終わります』



「ありがとうございました」



今のところ聞いていた通りの凄いAIではない気がする。



『 インディビジュアリティー・グロースへようこそ』



その言葉の直後、真っ白な空間から


全体的に暗い雰囲気の街中へと転移していた。



「ここが最初の街…?」



辺りを見回すと全体的にボロボロで、廃墟と変わらないようなところでどう見ても初心者のために存在するような街ではなく、モンスターが道でのさばっていそうな場所だった。


それに他にも問題がある。先程から五感が違和感によって苛まれるのだ。言われていたようなリアリティはなく、全体的に乏しい感じだった。


周りにいる他の初心者たちもいろいろ文句を言っている。



「この違和感がずっと続くのは辛いかな」



開始そうそうに続行を断念し、立ち去ろうとメニューを開きログアウトを探す。


しかし、探したのだが見当たらない。メニューを再度開いたり、全項目をタップして確認したがなかった。



「うそ…!!?」



その後、ヘルプを確認したり、先程と同じ工程を繰り返したが意味はなかった。


僕の周りにいた人たちも僕のただならぬ雰囲気を感じとり、行動に起こしていたが結果は僕と同じで誰もログアウト出来ていなかった。その場で立ち尽くす人や恐怖により足腰が立たなくなる人、空中に向かって怒声を放つ人など反応は様々だった。ただ、僕たちはこの場所に閉じ込められたことだけはわかった。




すると、急に至る所に画面が出てきた。どこを見回しても画面があるくらい周りを画面で満たした。そして、その画面の中には骸骨の仮面の男が映っていた。



何が起きているんだ。


この人は誰なんだ。




『プレイヤーの皆さん、私は人工知能のピーゲルと申します。以後お見知りおきを。それではこの状況に戸惑っている人もいますので軽く説明しますね。尚、質問は受け付けません』



画面に映っている仮面の男が淡々と話す。


それを僕たちは唖然として見ることしか出来なかった。



『 まず今、プレイヤーの皆さんがいる世界は仮に作られた世界です。ですのであと1時間もすれば潰れるでしょう。次に皆さんがログアウトできない原因、それは私、ピーゲルの仕業です。それとこのゲームでの死はゲームクリアまでの永久睡眠となります。最後に皆さんには箱庭の世界 《リライティブ・ワールド》へと行ってもらいたいのです。箱庭の世界 《リライティブ・ワールド》は全部で5つ存在します。そしてそこにいる《ディアブロ》と呼ばれるものを全て倒してもらいたいのです』



情報が多すぎて飲み込みきれない。今いるこの世界が潰れるだけでも頭がいっぱいなのに。


僕と同じで理解出来てない人もいるなかで、1部の理解した人たちが積極的に話し合ったり、画面に向かって質問したりしている。


他にも文句言う怒声が聞こえてきたり、大声で泣き叫ぶ人がいたりと完全に修羅場と化していた。しかも、こんな状況にもかかわらず画面の中にいるピーゲルと呼ばれる仮面の男は聞こえていないのか、そのまま話を続けてくる。



『箱庭の世界 《リライティブ・ワールド》に行くにはこの街のどこかにある青い光で覆われている転移スポットに行かなければならないんですけど、普通に行くだけだと簡単ですからちょっとした遊びをしたいと思います。内容はとてもシンプルでモンスターに追われながら転移スポットを探して入る。ただそれだけです』




仮面の男の言葉に冷や汗が止まらなくなる。


ここでの死は永久睡眠と言っていたはず、ということは「死」とほとんど変わらない。


逃げないと…



逃げないと逃げないと逃げないと逃げないと



どこに?



どこに逃げればいい…?



ない



逃げる場所なんて…



ない



いや



1つだけある



転移スポットがある



それしかない



僕は覚悟を決めた。



『それではスタートです』



ピーゲルの掛け声ともに僕を含めたプレイヤーたちは必死に転移スポットを探しに走っていった。


そして、数十秒後ろにオオカミ型モンスターが出てきて僕達を追ってきた。



┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈



僕は今逃げている。


全力疾走で逃げている。


あれから30分くらいは経過していたが全然見つからない。ボロボロの廃墟だらけの街を駆け巡っていたが、一向に見つからなかった。


そして今、ついに僕のところにもモンスターが来てしまった。モンスターに噛みつかれ、赤い光となっていくプレイヤーを見た時は恐怖を感じたがそれを感じる暇もないくらい、近くで続々とプレイヤーたちが赤い光に変わっていく。


僕は必死に走った。


必死に、逃げるために、見つけるために、


走った。



そして、ついにまわりが青い光で覆われている転移スポットを見つけた。



あともう少しで…



もう少しで…



そして、青い光へと手を出す。











が、それは空を切ってしまう。



「ッ…!!?」



左足に尋常ではない痛みが回ってくる。



そして、そのまま廃墟の方へと投げ飛ばさられた。






ああ、あともう少しだったのに…


最後の最後でモンスターにやられるとかついてない。



重い足音が聞こえてくる。


トドメを刺しにきたのだろう。


終わりかな…







いや、まだだ。



僕はまだ動ける。



それなら最後まで逃げよう。




左足の激痛に耐えながら必死に廃墟の中を歩いていく。


そして



「赤い光…」



そこには赤い光で覆われているスポットがあった。


赤い光?確か説明では青い光だったはず。


いや、考えている暇はない。今にも足音が少しずつ迫ってきているんだ。これに可能性をかけるしかない!



そして、赤い光のスポットへと足を踏み入れた。





読んでいただきありがとうございます。


面白いや良いと思った方はブックマークと下にある評価をしてもらえるとすごくやる気が出ます。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ