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サバイバルカメラマン  作者: 木村BON
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4


<4>

その夜、打ち上げに飲みに行くことになった。

ミッション後、それぞれ一旦基地に戻り、居酒屋に定刻に集合する約束をした。

ミッションもそうだが、集合時間前に私は必ずと言っていいほど1番に到着する。

集合時間5分前。

「お疲れ様です~」

「今日は木村さんより速く来るつもりだったんですけど、負けちゃいましたね~」

と、いつものテンションで小森さんが到着した。

「お疲れ様です。」と笑顔で答える。

「いゃ~ 乗ろうとした電車がちょうど出ちゃいましてね、走ったら間に合ったんですけど、間に合ってら木村さんより速く着いてましたよ!」

どーでもいいので、顎髭をさわりながら笑顔だけかえす。

「走れば間に合ったんですけど、走るのしんどいし、駆け込み乗車は危険ですからね~」

と、まだ話している。

とその時、樋口さんが到着した。

ん!?

爪楊枝をくわえている。

こいつ、なんか食ってきやがったな。

「樋口さーん、お疲れ様です~、あれ~何食べてきたんです?」

と小森さんが訪ねると、

ゆっくり「お疲れ様です」と言って腰をおろした。

そして、座ると同時にメニューを手に取り、チラッと小森さんに視線を送り、

「吉牛とCoCo壱」と答えた。

「ライス&ライスじゃないですかぁ」

と小森さんが意味のわからないツッコミを入れた。

ツッコミにまったく反応しない樋口さんは店の人を呼び止めた。

店の人が「先に、お飲み物をお伺いします」と言っているのに、樋口さんは寮長な日本語でメニューから食べ物を呪文のように唱え始めた。

そっと私は、

店の人に、スミマセン食べ物を先に聞いてくださいとハンドシグナルを送った。

「唐揚げ、四つ」

「軟骨の唐揚げ四つ」

と親指をおり四本の指を自慢げに店の人ににかざし、

「ごぼうの唐揚げ」

と、なぜか小指を折り曲げ

「四つ」と唱えた。

そして、

「串カツ盛り合わせ、三つ」

「ちくわの磯辺揚げ、三つ」

「コロッケ、三つ」

メニューを流し見したあと、

「コーラと生ビール」

と唱えた。

「揚げ物ばっかりちゃいます~」

と小森さんが言い、

「僕も生ビールで」

「木村さんも生っすか?」

私はうなずき、

小森さんが店の人に

「生ビール合計3つで!」

と伝えた。

私は、店の人に

「スミマセン、海鮮サラダ1つ」

と注文すると、なぜか樋口さんから殺気を感じた。

まもなく、生ビールが運ばれてきて、

「こちらお通しです!」

と小鉢が3つ置かれた。

小鉢は煮物だった。

1番近い小鉢を取ろうとすると、

凄まじい殺気を感じ、

ふと 顔をあげると、ものすごい

眼力で、少しでも多い小鉢はどれかと

樋口さんが睨んでいた。

黙って樋口さんが選ぶのを顎髭をさわりながら私は待った。

流石に小森さんも、この瞬間は黙って見ていた。

樋口さんが小鉢をとった瞬間、

「では、おー疲れさまですぅ」

と小森さんが生ビールを持って

私と樋口さんのジョッキにコツンと乾杯した。

私もジョッキを樋口さんに近付けると、

樋口さんは、もう、小鉢を持っており、

なぜか小鉢とジョッキで乾杯した。

「今日も暑かったですね~」

と、小森さんは、半分ほどイッキでビールを飲み、ジョッキをテーブルに置いた。

「木村さん、今日どうでした~ いいの撮れました?」

「まぁまぁ撮れました。年長さんのかけっこの最終が一列に並んで走ってきたので慌てました。」

「あるあるですね~ 」

と小森さんは、ハハハと笑い

「樋口さんはどうでしたぁ~?」

と訊く。

ちょうどコーラをイッキ飲みしていた樋口さんは、そのままコーラを飲み干し、グラスを置き、小森さんに向かって、

短い親指をたてると同時にゲップをした。

汚いやつだが憎めない。

「唐揚げとコロッケです」

と料理が運ばれてきた。

普通は一品1つ頼んで分ければちょうどいいのだが、一品、3つ4つ樋口さんが頼んだのでテーブルはあっという間に隙間がなくなる。

太くて短い指で可愛らしく箸を持ち、唐揚げを食べる樋口さん。

唐揚げ1つを丸々、口の中に入れるだけでもすごいのに、彼は連続で2個目も丸々口に入れる。

2個同時に丸々口の中に詰め込みモグモグしている。目は次食べる唐揚げを睨みながら。

「木村さんって写真始めたきっかけとかあるんですぅ~?」

とモグモグしている樋口さんを横目に小森さんが訊いてきた。

小森さんとは、まだ2,3回撮影を一緒にしただけで、こうして飲むのは初めてだ。

「子どもです。自分の」

「お子さん?」

「うん。カメラには全く興味がなくて、子どもが産まれた時にビデオカメラを買ったんですよ。

で、たまに子どもをビデオに撮ってたんですけど、ビデオって撮っても、あまり見返さないし、編集も難しいのであんまり使わなかったんですよ。」

「ですよね~、ビデオを見る時間とかタイミングがアレですよね~」

「そんな時に、たまたま友達が一眼レフカメラを持っていて、子どもの写真を撮りに来てくれたんです。 で、初めて一眼レフで撮影した写真をみせてもらって感動したんです。

それで、子どもの成長を一眼レフで撮影して写真を残してあげたいと思い、カメラを買いました。」

「そうだったんですね~。」

「でも、カメラ買ったけど使い方がわからなくて、写真教室に通ったんです。

で、どっぷりハマって今です。」

「めちゃめちゃハマっちゃってますね~

ハハハハハ。」

「お待たせしました、串カツです。」

と店員が来たので、生ビールのおかわりを3つ頼んだ。

串カツを一口食べ、のみ込む前に

「あの(モグモグ)撮影どう?」

と樋口さんが、私を見つめる。

「ドレス?鬼?」

と訊き返すと、両手に串カツを持って、口はパンパンにふくれた樋口さんが、串カツを指揮者の指揮棒のように、上下にリズムよく三回ふった。

「ドレス?」と聞き返すと、樋口さんはゆっくりうなずいた。

「なんなんです~?ドレスって?鬼も気になりますけど~」

と、小森さんがくいついた。

私はフォトコンテスト用にドレスをオーダーメイドして、いろいろ準備している話を小森さんに熱く語った。

私と小森さんが話している間も、どんどん料理は運ばれ、樋口さんの胃袋に吸い込まれていた。

「フォトコンテストに応募するんですね~

僕も木村さん見習って頑張ろ~

で、鬼ってなんの話しですぅ~?」

と、真っ赤な顔の小森さんが訊いてきた。

「めっちゃ顔赤いですよ。大丈夫ですか?」

「僕、お酒飲むとすぐ赤く成っちゃうんですよ~ でも 全然大丈夫ですよ~」

と 左右に揺れながら、ハイボールを飲み干した。

ちょうど樋口さんも、〆のお茶漬けを米粒残さず食べ終え、茶碗をテーブルに置いたので

「今日はもう遅いので、鬼の話はまたにしましょう」

と、この日は解散した。

料理を美味しそうにスマホで撮影する方法は、料理が全部写らないようにアップで撮影する。

アップで撮影すると料理のテカテカ感などが撮影できるので、美味しそうに見える。料理全部が写ってないほうが、どんな料理か想像させれるので興味を持たせることもできる。

【写真9】


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