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サバイバルカメラマン  作者: 木村BON
4/14

3

<3>

いよいよ 問題のミッション、運動会の当日だ。

今日も とてもいい天気だ。

いつものようにカメラは2台体制だ。

焦点距離24-70mmのいわゆる標準ズームレンズをつけたカメラ1台と70-300mmの望遠ズームレンズをつけたカメラを使用する。

「おはようございます~。」

と 陽気に声をかけてきたのは、前回のミッションで一緒だった小森さんだ。

私は、「おはようございます。」 とかるく頭を下げた。

小森さんは、天然パーマでとても陽気な人だ。

「今日も暑くなりそうですね~

あっ 樋口さーん 居たんですね~

おはようございます~」と

木陰に座っている大柄な丸い男に近寄っていった。

今日は3人体制だ。

私も樋口さんの方へ近づき、

「おはようございます」と頭を下げた。

おにぎりを食べながら、

「おっ…す」と言った。

たぶん おはようございます と言っている。

まず、3人の6台のカメラの時間を同じに時刻に設定する。

納品先がデータ管理しやすいように。

そして作戦会議だ。

私と小森さんでフィールドをツーマンセルし、フィールドを見渡せる2階の教室から、樋口さんが望遠で狙う。スナイパーだ。

ここはフィールドが狭い。なので三人でフィールドに入ると邪魔になる。しかし狭いフィールドだと園児も右往左往し狙うのが難しい。

なので樋口さんが2階から狙いカバーする。

いよいよターゲットがフィールドに入ってきた。

ゲームの始まりだ。

入場してくるターゲットを一斉射撃する。

整列してしまうと奥のターゲットが狙いにくくなるので、入場行進中にできるだけゲットしておく。

小森さんの位置を確認しながら、樋口さんと向き合う方向から私はターゲットを狙う。ターゲットが私の方に顔を向けると樋口さんからはターゲットの顔が死角となるからだ。

そして、私と対面にフィールドを走り回る小森さん。

トライアングルフォーメーションだ!

ターゲットが整列し、開会式が始まった。

最前列を順番に撃ちゲットしていく。

中央付近は樋口さんが上からゲットしてくれる。

ターゲットは、体操の体系に広がった。

これで中央も狙える。

できるだけニーリングでターゲットとターゲットの間を駆け巡りながら確実にヒットさせていく。

ターゲットが元の体系に戻り退場する。

次は年少から年中までダンスのような演技が続く。

どの園も、何回みても、園児のダンスは可愛い。

私にも2人の息子がいる。

上が小5で下が小2だ。

演技は園によって様々で、同じ園でも毎年変わる。

ターゲットは元々行動が予測できない。

しかも どんな演技かわからない状態ですべてのターゲットを均等にゲットしないといけない。更に、このフィールドは狭い。

ものすごく狭い。

少し無理をして中央を狙おうとすると、ターゲットと接触する恐れがある。

また、四方八方から保護者が観覧しているので、同じ場所でサイティングすると観覧の邪魔になる。

だから、このゲームはスナイパーを含め

3人体制なのだ。

ターゲットをゲットすることに集中しすぎて フォーメーションが崩れていないか、自分の位置を時々確認する。フォーメーションが崩れると、みんな同じターゲットを狙う可能性があるからだ。

位置を確認するため 樋口さんの方を見る。

「ん!」

あいつ 口がモグモグしている。

何か食ってるな。

そして、小森さんの位置も確認する。

小森さんは相変わらず 軽やかなフットワークでターゲットを次々とゲットしている。

休むまもなく演技は進み、次は「玉入れ」だ。

玉入れは、赤と白の2箇所にフィールドがわかれる。小森さんとハンドシグナルでやり取りし、私は赤色側のフィールドとなった。

玉入れはターゲットが、どの落ちている玉を拾うか予測できないが、必ず中央のカゴを目掛けて玉を入れる。

なのでカゴを中心にフィールドをぐるっと一周しながらターゲットを撃ちまくる。

左回り右回りと繰り返し、ひたすら撃ちまる。

しかし撮り逃がしたターゲットは必ずいる。

カゴに入った玉の数をフィールドマスターが数えているときがチャンスだ。

ターゲットは必ず数えている玉をじっと見つめる。

ダッシュでフィールドを撃ちまくりながら一周する。

そして次の演技は、「綱引き」だ。

小森さんにハンドシグナルで私はこちら側と合図を送る。

綱引きは縄を真ん中に2列で並ぶ、

そして向かい合い引っ張りあう。

私は縄の1番後ろでスタンバイする。

小森さんは反対側の1番後ろでスタンバイする。そして後ろ歩きで中央に向かってターゲットの顔が見えるように撃ちながら後ろ歩きを続ける。

中央にたどりつくと、今度は小森さんのいた方を向き前進しながらターゲットの顔が見えるように撃ちながら進む。小森さんも同じようにターゲットを撃つ。

それを繰り返す。私と小森さんが交互に綱を一周する作戦だ。

そして演技は次の「竹馬」へ。

竹馬も園により様々なので、フィールドに準備されたコースで、だいたいを予測する。

どうやら 直線の折り返しで障害物やスラロームがあるようだ。4レーンで行うようだ。

小森さんとハンドシグナルで2レーンずつ担当で2手にわかれる。

そして、樋口さんにハンドシグナルで真ん中2レーンの射撃を依頼する。

指についてる何か食べ物のカスをペロリと舐め、ハンドシグナルで任せろの返答。

そして小森さんに、樋口さんが真ん中2レーンをサポートしてくれるので、両端のレーンをメインで真ん中2レーンはサブ的に射撃する作戦をハンドシグナルで伝え、照準をターゲットにサイティングする。

第1走者がスタート位置に着いた。

全ターゲットをゲットするため、スタート前に望遠ズームを装着した方の銃で狙い撃つ。

そして走り出したら、標準ズームを装着した銃にシフトしてターゲットが竹馬で走行している所を狙い撃つ。

この繰り返しで、端のレーンをメインにターゲットをゲットしていく。

そして、順調に竹馬が終わり、次は「かけっこ」だ。

ここはフィールドが狭いので、かけっこは直線だけだ。

年少さんは、直線を走りきってゴール。

年中さん、年長さんは直線を折り返す。

まずは年少さんだ。

フィールドマスター(先生)が準備を始める。

なに! 6レーンで走るのか!?

すぐさま小森さんとハンドしぐなるで合図を送り、両端3レーンずつを私と小森さんが担当することになり、真ん中3レーンを樋口さんにに任せる。ハンドシグナルで樋口さんに依頼する。

いつ持ち込んだのか、2リットルのペットボトル(炭酸飲料)を飲みながら、任せとけの合図が帰ってきた。

こっちは喉がカラカラだというのに。

そして第1走者がスタート位置に並ぶ。

スタート前にしっかりターゲットを狙い打ち、速く飛び出したターゲットから順に撃ちまくる。年少さんは、まっすぐ走らない。

私の担当レーンのターゲットが小森さんの担当レーンに走って行くことが多々ある。

そんな時は 諦める。

逆に違うレーンから私の担当レーンにくるターゲットもいるので、一撃で仕留める。

次は年中さんだ。

年中さんは4レーンの折り返しだ。ハンドシグナルで竹馬と同じフォーメーションに構える。

ここからは カメラを交換する余裕もなくなる。

ターゲットがスタートしてからこっちに向かってくるまでの速度が速い。

なので必殺技を使う。

「クロップ」(トリミング)だ。

この技はカメラの映像範囲を変更することで、焦点距離が1.5倍になる。

私のカメラはフルサイズなので画角をAPS-Cにボタン1つで変える。

この技を使い、標準ズームを装着した銃一丁で勝負する。

たんたんと走るターゲットを狙い打ち、年長さんも同じ作戦で任務を遂行し、なんとかミッションを終えた。

【写真7】


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