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今日の訓練場所は、須磨区にある水族館だ。
私は小さい頃から、この水族館によく来ている。
水族館ではスマホでも綺麗に撮れる。
水槽にスマホをペタッとくっつけて撮影すると、水槽のガラスに反射せずに撮れる。
さて、初めの訓練は、耐久力。
カメラを構えて、シャッターを切るときに手が動くと「手振れ」になる。
私は、タコの水槽の前、できるだけ邪魔にならないはしっこのポジションからタコを狙う。
この時のカメラの設定は、シャッター速度、1/125、f値、2.8、ISO 1000だ。
ゆっくり泳ぐタコに照準を合わせ、脇をしめてしっかりカメラをストック(ファインダーを覗きながら、カメラをおでこにくっつけて、固定する)し構える。
ぶれないようターゲットを狙い撃つ。
クラゲも同じように狙い撃ち、訓練する。
【写真4】
そして、時間を確認して本日のメイン訓練会場に向かう。
メイン訓練は、動体視力と行動予知能力を鍛える。
イルカショーでイルカを狙い撃つ。
ステージ中央の1番後ろ、水槽全てを見渡せる場所でスタンディングでスタンバイする。
レンズは望遠レンズ。スナイパーだ。
水中をグルグル泳ぎまわるイルカをしっかりファインダー越しで追っかけサイティングする。
撃つのは水面に跳び跳ねた瞬間だ。
いよいよショーが始まる。
見とれてしまわないように気を付け、
カメラを構える。
フィールドマスター(飼育員)の合図でいきよいよく泳ぎ出すターゲットをしっかりファインダーに収め追跡する。
私が中学生の頃は、飼育員以外に綺麗な衣装を着たお姉さんがMCをしていた。
友達とショーの後、お姉さんに声をかけて、一緒に写真を撮らせて貰った。
イルカが跳び跳ねた瞬間、照準を合わせ狙い撃つ。
イルカショーは1日に数回開催されるので、この訓練と、次のショーでは「置きピン」の訓練をする。
置きピンの訓練は、ターゲットの行動を予測して、跳び跳ねる場所にあらかじめ照準を合わせ、その瞬間を待つ。
予測は簡単で、飼育員が持っている輪をジャンプでくぐり抜ける場合は、輪に照準を合わせて待つだけだ。難しいのは 照準を合わせて待ちながら、ターゲットの動きをみて、タイミングを合わせることだ。
この「置きピン」をマスターすれば、いろんな動きのある撮影で役に立つ。
イルカ撮影のカメラ設定は、
シャッター速度、1/500、f値、5.6、ISO 100だ。
基地に戻り、明日の準備に取りかかる。
【写真5】
明日のミッションは、成人式の前撮りだ。
このミッションの依頼主は、着物の着付け師で、着物をドレスのように着付ける魔法使いのような人だ。
このドレスのような気付けは、着物に一切ハサミなど使わないで着付けの技術だけで行う。
なので、また普通の着物としても着付けだけでできる『オリエンタル和装』だ。
撮影場所は、私が専属カメラマンを勤めるスタジオアンジュだ。ここはコスプレのイベントもしており、イベント時は、スタジオ近隣が会場なっている。
コスプレ撮影も訓練の1つだ。
確かこの訓練(コスプレ撮影)予定が近々あったと思う。
また、コスプレ撮影の話も後程する。
当日、スタジオアンジュで成人式の前撮りミッションを開始する。
「こんにちは。はたち くらいかな?」
と、顎髭をさわりながら、成人式の前撮りにきた子に下らない冗談を言い、和ます。
「大学生?」「趣味は?」
など カメラを構えながら話しかける。
普通の会話で普通の笑顔を引き出し、
その瞬間を狙う。
少し緊張がほぐれたところで、私が見本にポージンクする。
腰に手をあて体でエスの字を描く。
40過ぎたオッサンのポージンクはウケる。
スタジオでの撮影が終わると次は 外で撮影だ。
外ではシャボン玉を使いトリッキーな撮影をする。
シャボン玉は、前ボケや後ろボケに活用できる。
被写体とカメラの間にシャボン玉を飛ばせば、シャボン玉がボケて被写体の前に綺麗に写る。
また、被写体の後ろにシャボン玉を飛ばせば、背景にシャボン玉がボケて写り、これも綺麗だ。
助手が複数いるときは、シャボン玉で被写体を挟んで撮影すると、幻想的な写真が撮れる。
【写真6】
スマホでポートレートを撮影するコツは、手を上に上げて万歳の状態で被写体の上から撮る。
被写体にしゃがんでもらったり、椅子や台の上から撮影してもいい。
特に子ども写真は上からの構図が可愛く撮影できる。
【写真7】
基地に戻りデータの整理をしてミッション終了。