14/14
13
【13】
私の育った長田区には市場がある。市場の名前は、「まるご市場」
小学生のころ、まるご市場でホルモンをおやつに買っていた。
まるご市場は毎週火曜日が定休日になっていてる。
あの阪神淡路大震災あったのは火曜日だった。
まるご市場は定休日で震災による火事を免れ、無事に残った貴重な市場で、私の想いでの詰まった市場でもある。
今はほとんどシャッターが閉じられ、閑散としている。
私は、このまるご市場をオリジナルドレスの撮影場所にした。
人通りにない時間を狙い、撮影は夜行うことにした。勿論、モデルは飆だ。
市場近くのコインパーキングで飆と待ち合わせした。
いつも待ち合わせ時刻より早く着く私だが、到着すると、一台車がすでにパーキングに停まっていた。
私は自分の車をパーキングに停め、先に停まっていた車に歩いて近づいた。
運転席の窓を覗こうとした瞬間、
鋭い眼光に私は固まった。
飆がメイクの仕上げをしていた。
運転席の窓がおりて、飆が笑顔で、
「やっぱりBONさん、来るの早いですね」
と ついさっきまでのオーラを消して、キラキラした普通の目で私に言った。
さっきの眼光で、早くなった鼓動を隠すため、
「飲み物買ってくるから、ゆっくり準備して」
とその場から逃げた。
深呼吸しながら、私は近くのコンビニまで歩いた。




