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サバイバルカメラマン  作者: 木村BON
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次のミッションはブライダルだ。

私がブライダル撮影を引き受けることは珍しい。

最初は断る。

なぜかと言うと、ブライダルのスナップカメラマンは、式場専属カメラマンと外部カメラマンのどちらかで撮影する。

私のようなフリーカメラマンは外部カメラマンに属する。

式場によって異なるが、外部カメラマンは撮影場所に制限がある場合がある。

また、式場カメラマンは会場を熟知しているので、1番いいポジションから撮影できる。

スナップ撮影は撮影場所が1番肝心だ。

ブライダル撮影の依頼が来たとき、私は依頼者にメリットとデメリットの話をして、式場専属カメラマンをすすめる。

それでも、私を指名してくれたり、金銭的に、式場カメラマンも外部カメラマンも諦めている場合だけ引き受ける。

外部カメラマンのメリットは、依頼者(新郎新婦)と事前に何度も打合せ等できる。

どんな写真が好みかなど聞いて、当日、これは撮ってほしいなど話し合える。

私は今、控え室の前に立っている。

式場スタッフが扉をノックし一緒に中に入る。

式場スタッフが、「カメラマンさん到着しました」と控え室に入ってすぐの所にいる男性に声をかけた。

「おめでとうございます。カメラマンの木村です」

と続いて私も男性に挨拶をする。

男性は緊張してるらしく、硬い表情で、

「よろしくお願いいたします」

と言った。

新郎だ。

スタッフは部屋から出ていった。

私は、新婦側からの依頼なので新郎と会うのは初めてだった。

新婦は、結婚式で「オリエンタル和装」を着るので、1度オリエンタル和装の試着でお会いしている。

カーテンで仕切られた奥で新婦が準備をしている。

事前に、控え室でのメイク中なども撮影希望があったので、撮影できる状況まで、緊張している新郎を横目にカメラの準備をしながら待機する。

フルサイズの一眼レフカメラが2台、レンズは24-70mmのズームレンズと105mmの単焦点レンズを装着。24-70mmのレンズの方にはストロボも装着する。

今から6時間ほど休憩する間もない戦いが始まる。

撮影できる状況になり、奥の新婦がいる所へ行く。

挨拶を交わし、早速撮影を始める。

カーテンは仕切られたままだ。

この後のリハーサルで新郎は初めて新婦のウェディングドレス姿を見る。ファーストミートがあるからだ。

控え室での撮影が終わり、いよいよリハーサルが始まる。私のサバイバルゲームもスタートだ。

チャペルでは先に新郎が入り口の扉に背を向けポツンと立っている。

私は新郎の正面に立ち、緊張とドキドキが混ざった新郎の顔を狙い撃った。

チャペルの扉が開き、新婦が入ってきた。

イタズラな笑みを浮かべた新婦を私は狙い撃つ。

そして私は、新婦の後ろ側に移動し、新郎に狙いを定める。

あらかじめ、新郎には、左回りで新婦の方に振り向くように打合せしておいた。

新婦が新郎の方を叩き、新郎が予定通り左回りでで振り向く。

「リアクション期待してますよ」

と事前に伝えておいたので、新郎はいい表情をしてくれた。

私は「これでもか」と心の中で叫びながら新郎の表情を捕らえた。

無事にファーストミートを終え、式のリハーサルが始まった。

リハーサルでは、本番の撮影場所を確認し、本番には撮れない位置からの写真を撮る。

指輪をはめるシーンのアップはリハーサルで撮影しておく。

いよいよ本番。

もう待ったなしだ。

新郎が入場しスタンバイする。

ゆっくりと扉が開かれ、新婦の入場だ。

一斉にスマホを構える参列者も狙い撃つ。

リハーサル通りに進行していく。

新婦新郎に照準を合わせ、シャッターチャンスを逃さず狙い撃ちながら、横目で参列者も確認する。ハンカチが動く気配があれば、即座に狙い撃つ。涙は最高の獲物だ。

式が終わり、新郎新婦は花道をフラワーシャワーを浴びながら退場していく。

プーケトスや集合写真の後は披露宴だ。

披露宴ではとにかく動き回り撃ちまくる。

新郎と新婦の席に必ずみんな集まる。

そこに、「スマホで撮りましょうか?」

と声をかける。

「ありがとうございます」

とスマホを渡してくる。

うまく罠にかかってくれる。

スマホで撮影した後、そのまま、

「このカメラでも撮りますね」

と私のカメラで狙い撃つ。

これを繰り返すことで、全員の笑顔が撮影できる。

こうして長い戦いは終わった。


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