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サバイバルカメラマン  作者: 木村BON
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<9>

今日は気分転換に飛行機の撮影を楽しみに来た。

場所は伊丹空港。

千里川の土手という有名な撮影スポットがある。ここは飛行機が真上を飛行し、目の前に着陸する。ジャンプすればとどくんじゃないかと思うほど飛行機との距離が近く、エンジンの音やつむじ風が迫力を更に盛り上げる。

私は近くのコインパーキングに車を停め、撮影ポイントまで歩いた。

今日もたくさんの見物人やカメラを構えた人たちがいる。

「グオー」と爆音とともに地面に大きな影が走り、上空を飛行機が通過する。

飛行機を追いかけるように、つむじ風が走り抜ける。

つむじ風で飛ばされそうになったスナック菓子の袋を指二本でしっかり捕まえている丸い男が前方に座っていた。

樋口さんだ。

その向こうには、着陸する飛行機を撮影しているモジャモジャ頭が見えた。モジャモジャの髪をなびかせながら、

撮影した写真をカメラのモニターで確認してる時、横目で私に気がついた。

「あっ木村さん~ おつひさです~」

たぶん、お疲れ様とお久しぶりをミックスさせた言葉だろう。

私は笑顔で軽く頭を下げ、

「いいの撮れましたか?」

と小森さんに訊いた。

「バッチリっすよ! 」

と親指を立てる小森さんの下から樋口さんの視線を感じた。

ポケットから小分けになっているアーモンドチョコレートを取り出し、私に差し出した。

「ありがとうございます」

ちょっととけているアーモンドチョコレートをそのままポケットにしまおうとしたら、すごい殺気を感じた。

樋口さんが私の手を睨んでいた。

私は慌ててアーモンドチョコレートの袋を開けて口に運んだ。

とりあえず私は、樋口さんと小森さんの間に三脚をセットした。

空はだんだんと暗くなり始めていた。

リュックから、おにぎりを取り出した樋口さんを横目で見ながら、私はウォーミングアップに飛行機撮影を始めた。

今日の飛行機撮影は暗くなってからが本番だ。

「え~それ8個目ですよ~。確か牛丼も食べてませんでした~?」

と小森さんが微笑んだ。

樋口さんはおにぎりを口に詰め込み、

「んー」

と両手の掌を広げた。

たぶん10(じゅう)と言っている。

おにぎりは10っ個目のようだ。

滑走路に灯りが灯った。

いよいよだ。

夜の空港は昼間とは違う世界だ。

滑走路ね誘導灯がキラキラと輝いている。

そして、空港の向こうに見える景色も夜景に変わる。着陸する直前、飛行機に滑走路の灯りが反射する。その瞬間を狙い撃つ。

樋口さんも食べるのを忘れ、小森さんもしゃべるのを忘れ、三人とも撮影を堪能した。

飛行機を撮影しているときに、小学校卒業式の祝辞の内容が閃いた。

「祝辞」

本日、卒業をむかえられる みなさん、

ご卒業、おめでとうございます。

6年間の楽しかった小学校生活を終え、

この4月からは、中学校という新しいステージに立ちます。

クラブ活動は、何にしようかと悩んでいる人もいるでしょう。

私は、小学生のころ野球をしていたので、中学校でも野球をしました。

後で、バレーボールをしてみたかった、とか、

バスケットボールもしてみたかった と、後悔したこともありました。

もちろん、野球を選んでよかったと、思ったこともありました。

これから、クラブ活動以外でも、人生の分かれ道があり、自分で進む道を選ぶ時があります。

私も、今まで人生の分かれ道が何度かありました。

あの時、違う道を選んでいたら、もっと幸せになっていたかもしれない

と思うこともあれば、次はどの道を進もうかな?と迷うこともあります。

しかし、空を飛んでいる飛行機をみて思いました。

空には道がありません。

でも、飛行機は、迷うことなく目的地(空港)に到着します。

人生も同じです。少し右に行ったり、

左に行ったりしながらでも、止まらず、遠回りしてでも、

目標にむかって前に進めば、必ず到着します。

私は、「人生を楽しく生きる」と言う目標にむかって進んでいます。

みなさんも、大きな目標にむかって、前に進み続けてください。

PTA会長 木村


【写真11】


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