神の弓が眠る国
新たに現れた闇の存在、リヴァイアを退けた俺達は、そのまま山を越え、何とか無事にヘリアンフォーレに辿り着いた。ヘリアンフォーレの街には多くの人がおり、活気づいていた。お祭りでもあるのだろうか。
「神の力を纏いし弓、光挿さぬ暗き地に眠る」
俺は神器に纏わる伝承を思い出す。伝承の中にある「暗き地」がどこなのかはまだわからないが、とにかくこの街のどこかに神器があるのは間違いない。
「ユキ、三つ目の神器はこの国のどこかにあるはずだ。まずは伝説について何か知っている人がいないか、探してみよう。」
「そうね。」
俺達は当たりを見渡した。すると、人混みの中に一人、強い存在感を放つ少女を見つけた。ピンク色のロングヘアーに、大きな黄色いリボン。そして何より、とても派手でフリフリの衣装を着ていた。俺はその少女に話しかけてみることにした。
「ねえ、キミ。ちょっといいか?」
「ん?なあに?」
俺が話しかけると、少女は振り向き、満面の笑みを浮かべ、絵に描いたような猫撫で声で俺に聞き返してきた。
「俺は、秀斗。これでも一応勇者って呼ばれてる。こっちはユキ。俺の仲間だ。」
「勇者?もしかしてあの伝説の⁉︎すご〜い!本当にいたんだ‼︎私、リルカ。よろしね!」
俺が勇者だと名乗ると、すんなりとそれを信じ、聞いてもいないのに自分の名前まで教えた。この子、いろいろと大丈夫だろうか……
「リルカ……って言ったか?ちょっと聞きたいことがあるんだが……。」
「いーよー!何でも聞いてー!」
「私達、伝説の神器を探してるの。そのうちの一つがこの街にあるって聞いたけど、リルカちゃん、何か知らない?」
俺達はこの国に伝わる伝承とともに、神器のことを尋ねてみた。するとリルカは、少し考えたあとこう言った。
「……もしかして、この国の地下に眠っているのかも」
「地下ですって?」
「うん、ウワサだけど、この国の地下には巨大な地下があって、そこには何かが眠っているらしいの。」
随分曖昧な情報だな……しかし、確かに地下は「光挿さぬ暗き地」だ。意外にも彼女の予想は的外れではないようだ。
「なるほど……ありがとうな、リルカ。」
「あ、ちょっと待って!」
俺達がリルカにお礼を言って立ち去ろうとすると、突然リルカに呼び止められた。
「二人とも、せっかくだから私のライブを見にきてよ」
そう言ってリルカは、チケットのようなものを二枚、俺達にさしだした。
「ライブ?何のことだ。」
「私ね、アイドルなの。」
「「えーーー‼︎」」