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エドワードの懸念

「ふむ……わたくしには今ひとつ理解できんのだが、エド兄もう少し詳しくおしえてくれぬか?」


ハリーテは腕組みをして考え込んでいたが、面倒になったのかエドワードを直接問いただすことにしたようだ。


「ハリーテ様、魔王を崇める宗教とは一体どんな存在だと思われますか?イメージでいいのでお答えください」


「宗教……というからには魔王の為になることをするのではないか?……ん????魔王の為になる事ってなんだ?あんなもの拝んだ所で何に役にも立つまいに……」


「やはりハリーテ様は《《ご存知》》でいらっしゃるのですね」


エドワードはニコリと微笑む、その様子を見ながらベーネとディクシオンもハリーテに向い頷きながら


「左様でございますなぁ……ご利益を目当てに崇める存在ではないですの」


「……皆さま魔王をまるでご存知のようにおっしゃるが、一体……」


一人蚊帳の外に置かれたかのように困った顔をするクレイグ。


「そうですね、クレイグ殿にもきちんとお伝えした方がいいでしょう。まぁ特段秘匿されているわけでもないのですが、もう何千年も前の出来事ですし民も忘れている者が大半なのであえて喧伝していないだけなのです」


そう言いながらエドワードは肩をすくめる。


「この大陸の王家、公家、皇家、議員や元老院、貴族院など様々な役職を持つ方には率先して伝えられている事柄なのですが【魔王】という存在は瘴気をその身に集め、ある程度貯めた所で【勇者】という存在に滅されるための【浄化装置】なのです」


「はっ?……いくらエドワード殿の言葉でもそれは……」


「えぇ、お気持ちはわかりますよ。私だってこんな馬鹿馬鹿しい話を聞かされたら『こいつ頭大丈夫か?』と思いますから……ただ、この話は大きな都市国家に大抵所蔵されている古い書籍を紐解けばいくらでも出てくる話なのです……」


エドワードも困ったような顔でクレイグを諭す。


「そうなのですか……という事は【魔王】自身に自我はないという事ですか?」


「それがですね……一応ある……んですけど、中身は【上位者】が入っているようでして……」


「か……神が【魔王】をやっていらっしゃるのですか!」


クレイグは驚愕する。


「あぁ……クレイグ殿には『神』と聞こえていらっしゃるのですね」


その言葉にベーネとディクシオンは、然もありなん(そりゃそうだ)と頷く。


「それは当然でございましょう。我らウォルセア教徒ですら上層部のほんの一握り……それこそ『賢老会』に入れるほどのものでもなければ『世界の真実』は曖昧にしか分からなくされておるのですから……むしろ平然と《《方々》》の話をされるエドワード殿のほうがおかしいのですじゃ」


エドワードは不服そうに


「そう言われましても御師様が『こんなもの常識』だと幼少の頃から教授されてまいりましたもので、そのへんは御師様へ直接御抗議ください」


「いやいや!『名を秘したる大魔導士』殿に喧嘩を売るような真似を我らがする事は未来永劫ありませんぞ!」


「エド兄……そのへんもよくわからない……」


ションボリと項垂れるハリーテとクレイグを見ながらエドワードは


「そうですね……折角ですから創世神話から話しましょうか……もちろん敬虔なウォルセア教徒であるお二方がですがね」


とニッコリ笑うエドワード、その言葉にうっ……と気まずそうにしながらも双子賢者はポツポツと『世界の真実』を語り出すのであった。


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