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新層と呼ばれた深層の真相

「では早速じゃが、今回の件についてお話させていただこうかのう」


そう言いながら、真っ白でふわふわの眉毛をぴょこりと動かす双子賢者。


「まぁそうは言っても長であるクレイグ殿がおられる故に、直接お話を聞ける街の概要などは省略させていただきますぞ」


「承知いたしました」


とハリーテは頷く、それを見ながらエドワードは双子へ


「今回訪れる予定であった『ダンジョンの新層』についてのお話はクレイグ殿から少々伺っておりますが、ウォルセアの上層部でも『危険すぎてギルドで封印されていた』という事実は把握はされていたのですか?」


と、問いただした。


「知っていた……と言っていいものか……それというのもウォルセア側に報告されてきた発見場所が、事実とは違う場所であったために事態の深刻さに気付けなかったのじゃ……」


項垂れながら双子賢者は話を続ける。


「実はギルドが封印したという場所は、代々ウォルセア教が秘匿しておった【魔王】と呼ばれる存在が発生する場所へ通じる道がある階層でのう……。【魔王】が出現するまでは、厳重な封印を施し、その手前の通路は物理的に封鎖したうえで認識阻害の魔道具を埋め込んでおくのじゃが、前回あの場所の封印を開けたのが60年ほど前……そう、お前さんたちの師である勇者が【魔王】の下へ行くために通った道じゃ」


その言葉にアドルファスが


「あー……なんかジジイが言ってたな、『ラスダンまじつら』とかなんとか言ってたのがそこなのかよ」


「らすだん?……とりあえず話は戻るが、その後再び封印されたと記録には残っておるのじゃが、どうも封印処置に不備があったようでな……」


「は?……いえ、そんなはずは……確かに都側では、【魔王】への道だという話は聞いておりませんでしたが、『深層』への道は危険すぎるという事で都の方で厳重に封印をしていたはずです」


クレイグが困惑しながら否定する。


「申し訳ないクレイグ殿……。おぬし達ダンジョンの都の方々がしっかり封印処置を行って下さったのは承知しておる、だが処置を行った者の中に魔族がいたのか協力者がいたのかはつかめておらぬが、封印処置が甘かったようなのじゃ……真実を告げていればもう少し早く気づけたかもしれぬ事であったゆえに、歴代のギルドマスターの方々にも申し訳ないとは思っておるのだが【魔王】への道に関しては、『いたずらに事実を広めるのは得策ではない』と歴代の聖下が秘匿されていたのですじゃ……そのせいで今回は上手く情報の共有ができんかった所為で『偽物のクレイグ殿』が送ってきた情報に騙されてしもうた」


「なるほど……確かにそんな事実を広めたら、おかしな輩に目をつけられて何をされるか分かったものではありません……世の中には【魔王】を崇める宗教が存在するという噂もある事ですし、秘匿しなくてはいけない事情があるのは理解しました……」


苦い思いに蓋をしクレイグは言葉を続ける。


「しかし、事実を知った以上都の責任者であるギルドマスターとして言わせていただきますが、内部か外部からの干渉かは現在不明ですが『深層』の封印を解いた存在がいる以上、今後また同じことが起きる可能性は十分考えられます。原因の究明と再発の防止を都の方でもいたしますが、ウォルセア側も徹底して行っていただきたい」


語気を荒げまいと必死で押さえながらクレイグは双子賢者へと意見する、双子賢者はその姿に少ししょんぼりしながらも


「お気持ちは察して余りありますじゃ……。ウォルセアが情報を秘匿していた事で冒険者達にいらぬ犠牲が出てしまった事も事実ですからの……聖下も大変お心を痛めておられ『早期解決と犠牲者やその家族に対する補償を』とのお言葉を述べておられました。そしてクレイグ殿にはこちらの書簡をお渡しするようにと」


そう言いながらベーネがクレイグに懐から出した書簡を渡した。

その様子を見ながら、じっと黙って情報の整理をしていたエドワードが口を開く。


「ひとつお伺いしたいのですが、魔王を崇める宗教というのは古くから存在していたのですか?」


「あぁ、エドワード殿がご存知ないのも無理はありません、ほぼ都市伝説のような世間で何百年もまことしやかに噂されている与太話だと私も今まで思っていたくらいですから」


そういいながらクレイグは苦笑する、だがエドワードは真剣な表情で考え込む。


「それは……もしや情報を秘匿するために魔族……いや人間側もでしょうか、意図的に存在を隠されている?……魔族にとっては都合のいい駒……人間側も悪戯に信者を増やさない為の情報を隠された存在……?しかもそんなモノたちが何百年も存在していた……」


「エドワード殿?」


「これは少々どころではなく面倒な事になりそうですね……」


そう言いながらまたエドワードは思考の海へと意識をむけるのであった。


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