お餅
明けましておめでとうございます。
本年もぼちぼちよろしくお願いします。
アルバン村は久しぶりに晴れ、冬の青空が広がっている。
積もった雪が日光を反射してキラキラと光り、外は眩しいくらいだ。
そんな外の様子を二階の窓から覗き、目を擦っている、シルヴァン。
「ねえ、リエちゃん?」
「何?シルヴァン」
「この世界は、年越しのお祝いとかはないの?」
今日は、年が明けた白の日で、村は休日のせいか、いつもより静かな朝になっている。
「私の知る範囲じゃ、年が明けたことで祝うことはないねぇ。基本、北神様の誕生祭、収穫祭、春の女神の誕生祭が三大祭りかな。前世を鑑みるに、年明けに近いのが冬明けの祭りでもある、タローの誕生祭になるのかなぁ?」
「そっかー」
昨日は、夕食に二人で年越しそばを食べ、今朝はお重ではないが、用意できたおせち料理が陶器の平皿に少しずつ綺麗に盛られて出されている。
「シルヴァン、用意できたよ。お雑煮幾つ食べるの?」
「うんと、最初は二つ!」
「はいよ」
おせちの素材は、アマーリエのこれまでの伝手を最大限頼り、お取り寄せされている。最大貢献者はダンジョンの主である。
「わーい!お雑煮!」
「シルヴァンは、前世はお雑煮はどんな風だったの?」
「んー、おすましで大根とにんじんで紅白、青菜、エビかなぁ?リエちゃんは鶏肉なの?」
「うん。うちもおすましで、タンパク源は鶏肉なだけだね。夜は味噌仕立てにする?ダンジョンの主からいろんなお味噌もらってるし、できるよ」
「するー!茶碗蒸しも食べたい!なんか前世で食べなかったものを今食べるって、なんか不思議ー」
「そうだね」
「おやつはぜんざいね!」
「いいよ」
「明日はお汁粉!」
「はいはい。栗、いれる?」
「入れる!塩昆布もつけて!」
「あはは、いいよ」
「はぁ、幸せ♡リエちゃん、本年もよろしくお願いします!」
「うふふ。こちらこそ、シルヴァン。本年もよろしくお願いします。頼りにしてるよ!」
「任せてー!」
二人ののんびりした休日はおやつどきまで。
餅の匂いを嗅ぎつけたパトリックとダニーロに襲撃され、お餅を使った料理やお菓子を披露することになったとさ。
作者は至って無事なのですが、ノートPCがとうとう昇天しまして。間が空いてしまい、申し訳ありません。
慣らしで短い文章になるかもしれませんが、よろしくお願いします。




