富くじ買っちゃいました
メリークリスマス!
一年目編完結表示で、泣かせたお詫びに^^:
本編は2年目に入るからねー!
まだまだ付き合ってくださいませ!
神殿で、富くじの話を聞いたシルヴァンは、早速、ヴァレーリオに富くじを買いたいと申し出る。
「ああ、一枚だけ残ってるぞ」
「残り物には福来たる!」
「そうなのか?ほれ、五百シリングな」
「はい。当選日はいつー?」
「誕生祭の三日後だぞ。神殿の入り口に張り出すから、確認な。当たりくじは、わしんとこに。すぐ、本殿に転送して、賞品送ってもらうから」
「はーい」
「では!シルヴァンに幸多からんことを!」
ヴァレーリオに寿いでもらい、パン屋に帰ったシルヴァン。その後、シルヴァンは、誕生祭まで色々あった。(本編参照)
「ムフフ。今日は当選発表!当たったかなぁ」
シルヴァンは、パン屋の閉店後、散歩に行ってくるとアマーリエに言って、神殿に向かった。神殿の掲示板に人気がないのを確認して、自分の富くじを確認する。
「!」
驚いて声を上げそうになったがそこは、手で口を押さえ、慌ててヴァレーリオのもとに走る。
「おう、シルヴァン。どうした?」
シルヴァンはちょいちょいとヴァレーリオを手招きする。
「ん?なんだ?内緒話か?」
面白そうな顔でヴァレーリオがシルヴァンに耳を貸す。富くじをヴァレーリオに見せ、特賞が当たったと告げるシルヴァン。
「!やったな!すぐ交換を頼んでやるぞ。ほれ、転送陣の部屋に行くぞ」
「はーい!」
ヴァレーリオは、ひょいとシルヴァンを抱き上げて、移動する。転送陣に引換証と富くじを置いて、本殿に発送する。しばらくすると、転送陣が淡く光、荷物が届いたことを知らせる。
「取り出すぞ?目をつぶっとけ。光るからな」
「はい!」
ヴァレーリオが受け取りを起動すると魔法陣が強く光り、箱と受領証が届く。
「ほれ、シルヴァン、ここに名前かけ」
「はーい」
「ほい、受領証の控えな。ワシはこっちを送ってと」
「うふふー」
「嬉しそうだな」
「えへ。神殿長様」
「なんだ?」
「祭壇に半分置いたら、受け取ってくれるかな?」
「なんだ、今、主神様に捧げ物するのか?」
「うん。毎年楽しみにしてたと思うの。シュトレン」
「お前はいい子だなぁ。まあ、やってみろ。主神様が受け取られるのなら、消えるさ」
「はーい」
シルヴァンはヴァレーリオと一緒に、祈りの間の祭壇に行き、シュトレンを風魔法で半分に切って、箱に入れ直して祭壇におく。残りは自分のアイテムバッグにしまう。
「(北神様!どうぞお納めください!)」
祭壇が淡く光って、シュトレンが消える。
「お、受け取ってくださったようだぞ」
「うふ。神殿長様、シュトレン食べよー」
「いいのか?」
「うん!みんなで食べる方がおいしい」
「そうか。では茶を用意しよう」
食堂でお茶の準備をし、西と南の魔女とネスキオと一緒に、お茶をしたシルヴァンであった。
天上では。
「魂の管理者殿。あなた、大丈夫ですか?」
「……ああ。一応ネクタルは飲んでる」
頬のこけた管理者をみて、あまり大丈夫そうでないなと思う北神。
「主たる一柱様。魔狼から捧げ物が届いたのですが」
「魔狼?」
「はい。今年はじめて、主たる一柱様に捧げ物をした、あの魔狼です」
「中身は?」
「毎年届く、シュトレンが半分なのですが。特に願いも無く、食べてほしという思いだけでございましたよ?」
「人界の物を口にしたらダメって、決まりましたからね……」
そう言って、管理者と顔を見合わせる北神。何かを試されているような気分になる、北神と管理者。
「決まりを破るわけには……」
「……だが、これはあくまで、こちらが要求したもんじゃぁない。向こうの好意だ」
「それはそうですが」
「これは、来年また捧げ物になるんだよな?」
「ええ、あの子はそうすると言ってましたね」
「今、これを食べれば、記憶の上書きができると思うか?」
「……どうでしょうか?そもそもパンの種類が違いますからね」
じーっとシュトレンの入った箱を見つめる北神と管理者に、お付きの者がためらいがちに二人に声をかける。
「受け取ってもらえたことを、大変可愛らしい様子で、喜んでおりましたよ?戻したら、泣いてしまうのでは?」
「「……」」
お付きの者の思いやりが、二柱に重い槍となってぶっ刺さる。
「食うか……」
「食べますか……」
そして二柱は、シュトレンを半分こして食べたのであった。
「「……来年までなら我慢できる!」」
「ようございました」
少し顔色の良くなった管理者を見て、ほっとするお付きの者であった。
「ちょっと、加護をつけておくか?」
「それはやめてください。あなたの加護は百害あって一利なしですから」
「ひどい」
「あの子はあのままでいいのです。ちょっと抜けてますが、素直なまま大きくなってくれれば、それだけで十分」
「イケメンにしてやらなくていいのか?」
「十分男前ですよ!何を言ってるんです。生き様が顔に出るのです。造形が良くても、積み重ねてきた物がなければ良い面構えになどなりませんよ」
「まあ、そりゃな。さて、一仕事してくるかな」
「あまり、魂に無茶振りなさらないでくださいよ」
「一応、本人の希望も確認してるぞ」
「あなたときたら、揚げ足取りをするではありませんか!」
「それもまた、宿命!じゃあ、また来年な!」
「……あのまま、管理者替わった方が良かったんじゃ?」
ため息をついて、自分の仕事に戻る北神であった。
神殿では。
「「「「「来年の富くじ買うぞ!」」」」」
「目指せ特賞!」
「「「「おー!」」」」
気炎を上げる、ヴァレーリオ達の姿があったとさ。
宝くじ、買わなきゃカケラも当たらない。ロト7のキャリーオーバーがすごい額になってましたねー。でもあれ当たると、運全部使い果たした気分になりそうですよね。怖すぎる(笑)




