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異世界出身者に惑わされる黒紅ちゃん

 ある日の黒紅とシルヴァンとダンジョンの主。

「ねえ、シルヴァンちゃん。そろそろ地上は、雪が積もってる頃でしょ?」

「うん!このあいだ、みんなと雪かきして、雪だるま作った!」

 店の飾り代わりに、雪だるまを作って看板(本日のスープメニュー)を持たせたアマーリエ。

 そのそばにちいさな雪だるまを子どもたちと一緒に作って並べまくり、トライポフォビアの大人たちを震撼させたシルヴァンであった。

『妾は、冒険者ギルドの前に妾と等身大の雪だるまを作って置いておいたのじゃ!バネッサも喜んでおった!』

「等身大って……」

「こんなのー」

 シルヴァンが画像念話で、主に黒紅が作った雪だるまを見せる。冒険者ギルドの屋根よりも高くそびえ立つ雪の像。

「おぉぅ。すごいね、黒紅ちゃん……」

 そう言って絶句した主に、フンスと鼻息荒く胸を張る黒紅。

 ちなみに、大きいだけでなく、酔っぱらい達が夜に見て、酔いもスッキリ覚める恐怖を与える白の大魔神として、村の人々の記憶に残る一品に仕上がっている。

「いろんなとこの雪かきをてつだったら、こころづけももらった!」

 あちこちの雪かきや雪下ろしの依頼をせっせと受けて、貢献度を貯めているシルヴァンと黒紅。村の人もいつもの冬より重労働が減って、二人に感謝してやまないのである。

「ボーナスだね!はぁ、ぼくもほしい」

『ぼーなす?』

 首をかしげる黒紅に、シルヴァンと主が異世界の話を吹き込む。

「べにちゃん、そろそろかえろー」

『そうじゃの!主よ、またの!』 

「うん、またねー」

 ダンジョンの主と別れ、黒紅とシルヴァンはダンジョンの二階層に寄り道してから村に戻った。


『主ー!』

「リエちゃーん、ただいまー」

 ダンジョンから帰ってきた黒紅とシルヴァンから、アマーリエが手渡されたのは。

「……棒茄子?」

『ぼーなすとは夏と冬に出る、泣くほど嬉しい食べ物なのであろ?』

 お尻に棒が刺さったナスをドヤ顔で黒紅手渡され、ニヤニヤ笑うシルヴァンを見て全てを悟ったアマーリエ。

 その夜のパン屋さんの食卓には茄子料理が並んだとさ。


かつて寸志や給与が、現金手渡しだった頃。棒の刺さったナスを奥さんに手渡して、かわりに三行半を頂戴した男がいたそうな。本当かどうかは知らん。

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