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アルバン村の怪談より怖い人々(byシルヴァン)

夏もそろそろ終わりますかねー(気がはえぇよ)

その1

 この間、ちょっと寝過ごしたの。あくび噛み殺しながら明かり魔法が一つ灯る厨房で見たものは……。

「あーずーきーとぎましょかー、ひーとーとってくいましょかー」

 シャキシャキシャキ……。

 リエちゃん、温泉村の人から届いた小豆を洗ってました。手元だけ明かりの魔法で照らしてる(省魔力らしい)から怖さ倍増。

 なんで小豆とぎ(小豆洗い)のセリフなんですか!

「……オン」

 声をかけたらピタリと止まって、ゆっくりこちらを振り向いたんです、リエちゃん……?

「み〜た〜な〜」

「!」

 地獄の底から響く声にチビリそうになったし!リエちゃんじゃなかったし!あなた誰?

「狼ちゃん!今見たことは内緒!いいね?アマーリエさんにも内緒だから!あんこ食べたいだけだから!」

 そこ?そこなの!?えっと、この人もしかして屋根裏にこっそり常駐してるとかいう、リエちゃんの護衛の人(ブラウニーさん)?リエちゃんに似てるってことは、なんかあったら身代わりとかしたりする影武者とかいうやつ?リエちゃんパン屋だけどさ。

「オンオンオン(リエちゃんどこ?)」

「緑青と呼ばれる古代竜が来て、なんか連れて行ったよ」

「ワフ(ありゃ)」

 っていうか止めなかったの……止められませんよね。ごめんなさい。無茶言いそうになっちゃった、テヘ。

「店を開ける前には、連れて戻るとか言ってたけど」

「オーウ(ナンテコッタイ)」

「開店準備?一応済ませといた。というかしろって命令されたから、古代竜に。断れないよねー。サンドイッチは冷蔵ケースに、定番のパンは地下のアイテムボックスに入れといたから」

「オウオウ(ありがとうございます)」

 ところでさっきのはいつ覚えたんですか?

「どういたしまして。ん?さっきの呪文?アマーリエさんが、前にそう言いながら豆洗ってたから真似しただけ。美味しくなる呪文なんだろうか?あれなんていってるんだろ?ちょっとおどろおどろしいよね?」

 そういや、もろ日本語でしたね。てか、変な言葉を流行らせないで欲しい、リエちゃん。

 私だけが怖い思いするじゃないのよ!




その2

「よう、シルヴァン!」

「オン!(革屋の小父さん!)」

 なになに?なにしてんのー。

「お前、やっぱりきれいな毛皮してんなぁ」

「オン!(アルギスさんに毎日ブラッシングしてもらってるの!最近!)」

 ホホホ、撫でてもいいわよー。

「死んだら俺がきれいに皮はいでやるからなぁ?ほんと、お前さんいい毛皮してんなぁ」

「……(今なんてった?)」

「魔力もあるし、耐寒性も高い装備になるだろうなぁ。いやぁ、楽しみ楽しみ!」

 しっぽが、しっぽがお股にかくれんぼです!小父さん、小父さん、わたしの顔離してー。

「ゴチッ!」

「あだ!かかぁ!なにしゃぁがる!」

「オン!(革屋の女将さん!)」

「あんた、いくらシルヴァンがのほほんとして他所の人についちってまいそうだからって、変な脅し方してんじゃないよ」

「うぐぐ」

「シルヴァン、うちの人が脅して悪かったねぇ。でもいいかい?うちの村は確かに、ご領主様が管理してるから、悪さをするようなやつは入ってこない。けど、油断するんじゃァないよ?あんたにゃ、価値があるんだ。いいね?」

「オン!」

 ああ、女将さん撫ぜるの上手ぅ。あ、そこそこ。

「フフ、冬の上着にちょうど良さそうだね〜(うっとり)」

「きゃん!」

「「あ」」

 わーんリエちゃーん!村の人からねーらーわーれーてーるー。

 

 しばらく革屋に近寄らなくなったシルヴァンでありましたとさ。




その3

「オン!(ガラス屋のおじちゃん!)」

「お、シルヴァン来たなぁ!おい、このガラス瓶、薬師のとこに一緒に持っていってくれ」

「はい!親方!シルヴァン、用意するからちょっと待ってて」

「ワウ!(いいよ小僧さん)」

 フフン、今日はガラス屋さんからの初依頼!配達クエスト!場所は、ポーションを作ってる薬師さんのところだって。

「シルヴァン、お前さん用の夏の器はもう少ししたらできるからな。楽しみに待ってろ」

「オン!(ほんと!やったー)」

「大きくて浅い器だから、なかなか技術が要ったんだ。俺の技術の粋が込められた一品だからな!」

「ワフー(すごいんだー)」

「親方、張り切りすぎ。シルヴァン、ポーション瓶を預けていい?」

「オン!(いいよ)」

 ちょ、小僧さん、ポーション瓶何個あるの?そりゃ結構いっぱいアイテムバッグ拡張してもらったからはいると思うけど。

「おお!いっぱい入るね。よし、じゃ行こう!」

「オン!」

 らっんらー。広場を抜けて、薬屋さんの裏へ〜♪

「こんにちは!ポーション瓶の配達に来ました!」

「オン!」

「おう、ご苦労さま。ホイ、これ受取証」

「毎度!支払いは今月末纏めてですよね?」

 小父さんと小僧さんは会話しながらどんどんポーション瓶を木箱に納めていってます。私もなんか手伝えないかしら?

「オウ、そうだ。今日はシルヴァンも一緒なのか?珍しいな」

「うちの親方が配達の助手で冒険者ギルドに依頼したんだ」

「ほうほう。そりゃいいなぁ、ウチも薬草の採取依頼でも頼もうか?」

「オン!」

 やるよー!何取ってきたらいいの?

「ホホ、やる気満々だなぁ。お、ちょっと待ってろ。王都の珍しい菓子が手に入ったんだ。お駄賃に一つ分けてやろう」

「オン!」

「ありがとうございます!」

 薬師の小父さんいい人〜。

「ほれ」

「わぁ、食べていい?」

「オン!(いただきま〜す!)」

 ウォウ!甘すぎるー。はわわ、お茶ください、渋いお茶!

「ハハハ、パン屋さんとこの菓子に慣れてると、強烈に甘いだろ?ほれお茶」

「あい。いただきますー」

「オン」

 はぁ、この渋さがやみつきに……あれ?……Zzz。

「……Zzzz」

「ふむ、新しい眠り薬は、ちと効きが良すぎるな?子供と動物はもう少し少なめっと」

「「ZzzZzz」」

「お次はこの、目覚まし薬!ダンジョンで睡眠の状態異常をもたらすやつは数多く居るからな!この新薬は一発で目が覚める!ちょいと嗅がせば……」

「!?」

「キャイン!?」

「お、目がさめたか?お前らいいか?知ってる人からでも口に入れるもんをもらう時は、気をつけるんだぞー?」

「イェルガーさんひどいよぉ」

「小僧、眠れないやつが居たら、いい眠り薬があるって宣伝しといてくれな。シルヴァン、冒険者に睡眠の状態異常に効く薬があるって宣伝頼んだぞ」

「キュゥ」

 小父さんひどすぎ。ガブッてしちゃおうかしら。ジッー。

「あはは、機嫌直せよ?ほら、これはちゃんとパン屋さんとこの菓子」

「鑑定」

 おお!アーロンさんみたくペカっと光った!小僧さん鑑定持ちなの!?

「シルヴァン、大丈夫だよ」

「当たり前だ。パン屋さんとこの食べもんになにかしたら、俺がパン屋さんに殺されらぁ」

「オン」

 それはそうかも。でもリエちゃん、殺しはしないと思うなぁ。死んだほうがマシな目に合わせはしても。

「ブルッ。なんだ?なんかいま悪寒が?風邪引いたか?薬飲んどくか?」

「じゃ、御暇しますー。またなんかあったら、注文お願いしますね!」

「おう、頼まぁ」

 無事?ガラス屋まで帰還。薬師の小父さんは要注意人物っと。

 シルヴァン、鑑定スキルをアーロンさんから習うことに決めた日でありました。


その4

「オンオンオン!」

「なぁに?シルヴァン」

「オン!」

 リエちゃんにお化け屋敷の画像念話!

「……夏だからお化け屋敷やろうって?」

「オン!」

「シルヴァン?よーく、うちの村の人々や冒険者の人々を思い出してごらん?」

「オン?」

 えーっと……。

「キュゥ」

「貞ちゃんや伽椰ちゃん瞬殺するような人たちだよ?ヴァレーリオ様なら浄霊魔法一発。そんな人達に日本の情緒を理解させつつ恐怖してもらうのは、無理が過ぎるよ」

「ワフー」

 そうでしたね。そもそも、戦って生き残ることを旨とする冒険者や村の人にお化け屋敷はなかったわー。

むしろ私だけ、怖がって欠片も面白くないことになりそう。リエちゃんが作るお化け屋敷ってとことんこだわり抜きそうだもん。ちぇー。

「夏の情緒を楽しみたいなら、魔法職の皆さんに、魔法花火でもあげてもらいなよ」


 そんなこんなで、東の魔女様の、音と光の暴投魔法玉に追いかけ回され恐怖を味わったシルヴァンであった。


貞ちゃんは、最初期の深夜のドラマのやつが一番怖かったかな。映画も普通の時間帯のドラマもあんまり怖くなかった。

アメリカ人のピエロ恐怖の源泉は「IT」にあるらしい。わたしも学生の頃に深夜に見て、怖い思いをしつつ寝落ちました。(睡魔のほうがもっと強かった!)ドナルド怖いよ!

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