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木戸先輩

よくわからないです。十五分ぐらいで書いたものなんで、まあ質もそのぐらいでも不思議じゃありません。一応友達に出されたお題は「コメディー」で、キーワードは「越える、一斑、剥く」の三つでした。

 新田は林檎の皮を剥いていた。静かな病室にシャリシャリと音がした。

「なあ・・・・・・新田」

 と、ベッドの上に乗っている木戸が言う。

「何ですか? 木戸先輩」

「お前がくれたこのリスト・・・・・・・・・・・・」

「あ、今年の野球部の新入部員のリストですよ、僕監督と親しいから」

「この130km投げるっていう桜田、すげーな」

「あ、桜田君は凄かったですよ、実際にピッチングを見ましたけど」

「まあ、俺にはかなわないだろうけどな」

「あれ? 先輩のピッチングスピードってなんでしたっけ?」

「・・・・・・・・・・・・190kmぐらいだったっけな? なあ」

「・・・・・・・・・・・・いや、それだったら先輩今頃とっくにプロになってますよ。なんですか190kmって? プロでもそんなに投げる人はいませんよ。」

「いや、俺なら出来ると思うんだが」

「・・・・・・・・・・・・できないでしょ」

「あとこの打率.648って奴も強いな。まあ、俺の方がすごいけどな」

「先輩打率なんでしたっけ?」

「・・・・・・・・・・・・.145ぐらいだっけな?」

「・・・・・・・・・・・・グダグダじゃないですか。どこから来るんですか? その自信は」

「まあ、俺は格好良いからな」

「全く関係ないじゃないですか! しかも、その自信も何処から来るんですか?」

「いや、ただ言ってみたかっただけ」

「・・・・・・・・・・・・(何でこんな先輩のお見舞いに来たんだろう)」

「あ、そういえば、お前、好きな子が出来たんだってな!」

「なんでずっと病室にいるのにそんな情報を手に入れるんですか!? しかも何でそれをいま話題にするんですか?」

「いや、俺も色々と情報源があるんでね」

「だったら早くその足を治す情報でも探したらどうですか?」

「あっ、お前いまイヤミを言ったな!」

「・・・・・・普通そういうリアクションします?」

「まあ、そのとおりだから反撃することも無いな」

「・・・・・・」

「ってことは、今年の野球部はそうとう強いんだな!」

「いやいや、そんな一斑をみて全豹をトしてもらっても困りますよ」

「何!じゃあ、弱い奴もいるのか!」

「例えば、この如月君なんか、あまり強くないですよ」

「・・・・・・あっ!・・・・・・従兄弟だ」

「ええええええ!従兄弟なんですか!?」

「ああ、俺の母の義弟の妹の母親の従兄弟の孫の従妹の叔父さんの伯母さんの孫娘の伯父さんの甥の義兄の友達の同級生の知り合いだ」

「・・・・・・僕はつっこみをいれませんよ」

「うん?」

「だって、途中から全然関係ないじゃないですか!しかも何ですか、同級生とか知り合いとかって!全然従兄弟でもなんでもないじゃないですか!」

「新田、病室では静かにだぞ」

「・・・・・・そもそも何で覚えてるんですか? そんなの・・・・・・」

「ああ、こんなのすぐに出てくるぞ。何せ適当だからな」

「・・・・・・僕、帰らせていただきますね」

「あ、待て!」

「何ですか?」

「まあ、座っていけよ」

「今帰るって言ったじゃないですか!」

「まあそうカリカリするなよ。俺の愛用のカルシウムスナックを食べるか?」

「・・・・・・これ、チョークじゃないですか!」

「よく漫画とかで先生とかが食ってるだろ?」

「いや、そうですけど・・・・・・本当に食べてる人をはじめて見ました」

「さっきの野球の話なんだけど、やっぱり俺、野球には向いてないと思うんだ」

「ええ!? 先輩、何の話ですか!?」

「いや、色々考えたんだがな、やっぱり俺の生きる道は・・・・・・」

「・・・・・・生きる道は・・・・・・?」

「病人だと思うんだよ。食べ物が舞い込んでくるし、学校も仕事もないし」

「・・・・・・(ガックリ)グダグダじゃないですか。どんだけ怠けたいんですか? いっておくけど、先輩が退院したらすぐにしごくって監督、いってましたよ。」

「おおおお!あのじじい、まだしごき足りないのか!俺はゴメンだぜ、あんな仕打ち。二度とあんな練習には行きたくないぜ」

「・・・・・・気持ちは分かりますけど・・・・・・」

「監督も、俺にただ4番に入って欲しいだけなんだろ」

「はい?」

「いや、監督は俺に4番を打って欲しいんだろ、ってな」

「何言ってるんですか? 先輩」

「へ?」

「先輩、この前監督に辞表をたたきつけたじゃないですか。練習のせいでバイトにいけなかったって。それで喧嘩になって、足を踏み外して道路工事に落ちて頭をうって今に至るわけですよ」

「・・・・・・そうなのか?」

「もしかして先輩、そこら辺全部記憶ないですか?」

「・・・・・・・・・・・・」

「あまりにも普通に喋ってるから記憶に異常は無いのかと・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・」

「先輩、大丈夫ですか?」

「まあ、しょうがないよな」

「(ズルッ)」

「新田、お前何椅子から転げ落ちてんだ?」

「・・・・・・(やっぱりこの人嫌いだ)」


これは結構昔に書いたものですね。はい、もっと面白くできたかもしれません。でも、これに関してはアドバイスとかも勘弁してください。締め切り近く、切羽詰って十五分で書いた即興の作品なんで。

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― 新着の感想 ―
[一言] アドバイスなんて出来るような立場でもないし、する気もないけど、後書きの言い訳じみたたコメントは作品自体にマイナスイメージを与えてしまいます。 けっこうおもしろく読ませてもらいましたが、最後覚…
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