おーくたんとようじょさん、ふたつきさんにち
幼い少女と豚のような顔をした男がいた。
二人は並んで立っており、無言で同じ方向を見ている。
男のほうはやがて手を下ろすと、ふうと息を吐いた。隣を眺めやると未だ少女は鼻息荒く一点を見つめている。
少しして少女の手が下りた。
「おねがいかなう」
「願い続けて、叶うよう努力すれば叶うかもしれませんね」
「もうないの」
「ないですね。一気に食べたら、ぽんぽん壊しますよ」
「ぽんぽんいたいいたいはやだ。おいしいの、またたべられる」
「そうですね。また食べられますよ」
少女と男の会話は続く。
いつの間にか用意されていた巻き寿司と吉方への矢印、やり方の絵付き説明書。
それらを読んだ二人の取り組みは一段落したのだった。