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習作

【習作】失われた魂

作者: さとう

 魂があった。たぶん、それは魂であったと思う。それがなくなってしまった。だが、私は生きている。

 魂とはなにか。私にあったそれは、いわゆるもう一人の自分だった。その存在は私だけが認識できた。魂は私の肉体から少し離れた場所に漂っていた。魂はいつも傍から私を見ていた。もしかしたら観察していたのかもしれない。

 私も彼の存在を感じ、常に見ていた。魂は語りかけてくる。お前はなにものだ、と。私は答える。私は君だ、と。魂は同じことを何度も繰り返した。お前はなにものだ。それに対して私も同じ答えを返す。私は君だ。


 それがある日、消えた。傍からいなくなっていた。問う声も聞こえない。けれど、どこかに彼を感じる。探してみると、私の肉体の中にいた。中にいたというより、肉体と混じり一つになっていたと言うのが正しい。

 微かに彼を感じる。私は私と一つになれた気がした。その時からだろうか。生きることに新たな意味ができたのは。以前は魂と私だけの世界に閉じこもり、いつものやり取りをして過ごしていた。それが無くなった時、閉ざされた世界は崩れ、見たことのない景色が広がった。その景色を見て、私は私と魂以外の存在を探すことを決めた。生きる意味、魂以外に私に語りかけてくる存在を見つけだす。

 お前はなにものだ。魂の言葉が頭をよぎる。私は君だ。魂と一つになった。失われた魂は私の中で、私とともに生きている。

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