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戦国爆乳秀吉〜主人公は秀吉を天下人に育てたい〜  作者: 星野林


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2人は今川 木綿の話

 〜今川館にて〜


「織田の娘にしてやられたのぉ……」


「遠江の混乱の収拾に時間を取られましたなお嬢」


 お嬢と言われた女性は黒髪貧乳でつり目を小顔の女性がそこに座っていた。


 東海一の弓取りと名高い今川義元その人である。


 それに対して黒い頭巾を被り、扇子を扇ぐ初老の女性は今川軍師太原雪斎である。


 今川館の茶室で2人は今後の方針について語り合っていた。


「雪斎、お主が進めている三国共和の策……実を結びそうか」


「ええ、幸い長尾という武田と北条にとって共通の敵が現れたことが幸いしました」


 長尾景虎……後の上杉謙信その人であるが、周囲から化生の者(妖怪や化物)として見られ、災害に等しいと恐れられていた。


 そんな化物に対して武田と北条は共同戦線を組まないと危険であると判断し、その仲裁を試みていたのが今川家であった。


 今川家は元々将軍家である足利一族に連なる家であり、足利が滅びれば吉良家が引き継ぎ、吉良家に何かが起こっていた場合は今川家が将軍職を引き継ぐ……と言われるほどの名家である。


 足利将軍家は現在2つの系統に分離しており、プチ南北朝の様に将軍家も真っ二つに分かれて、それぞれが周囲の勢力に協力を求めて将軍職に就ける様にしていたのだ。


 ただ現在将軍家は両方とも京から追い出されて、三好長慶による三好政権で動いているし、それを本来だったら認めては行けない朝廷も大寧寺の変で弱体化し、存在感が消滅。


 そして吉良家は三河国人一揆の混乱で弱体化していたので、今川家にとっては三河統治でやや格上の家なので邪魔なため粛清。


 おかげで今川家が上洛することができれば力を失った将軍の代わりに今川義元が将軍になることができるだけの格を有していたのである。


 今川としては西に向かいたいから三河を占領し、更には尾張もと狙っていたのだが、今回木下英聖が仕掛けた経済攻撃によって三河は織田に占領されるし、米相場の混乱を収束させるために備蓄米を放出したので、軍事行動は起こせない。


 遠江の混乱収束に時間を費やすことになってしまった。


「うつけと呼ばれた織田の小娘がこれをなし得るかのぉ……」


「聞くところによると、商人達は織田信長に服従を誓っている様子。その背後に儂のような軍師がいる可能性は捨てきれませんがね」


「うむ、腕の良い軍師がいた場合が厄介よのぉ」


 駿河で採られた茶葉を煎じてお茶を作り、2人して飲んでいく。


「うむ……茶はいい……心を落ち着かせてくれる」


「お嬢の娘がお嬢並みに戦上手であればよかったのですがね」


「言うな、だからこそ余が今川を広げ、天下に手を届かなければ……将軍となってしまえばどうとでもなる。氏真がもう少し軍才に恵まれていればここまで悩む必要はなかったのだが……」


 母親である義元と軍師である太原雪斎の両名が英才教育を施しても、長女である氏真の軍才は酷いものであった。


 人望もあり、領主として土地を富ませる能力もある。


 個人としては超人の域であるが……戦国時代に必要な軍を勝利に導く能力だけが欠如していた。


「個人としては超人なのですがねぇ」


「なんで娘は戦乱の世に生まれてしまったのか……」


 2人がそう言うくらい今川氏真は超人である。


 蹴鞠は達人級、剣術は自分で流派を作れるほど、弓は百発百中、和歌はこの時代の16人の代表に選ばれるほど。


 まだ氏真は若く、ここまでの能力は流石に有していないが、20代になると超人的な才覚を発揮し、戦国時代のファンタジスタと後世では言われる程である。


「なんで軍才だけないんだ……あの子は……」


 本当不思議である。


「ゲボゲボ」


「雪斎……大丈夫か」


「大丈夫です……少々遠江の混乱収束で無茶をしましたが、三国同盟の策が成すまでは儂の命は持たせますので」


「……雪斎、無茶はするな。余も動ける限り動く。遠江は余に任せろ」


「義元様……天下をお取りください」


「わかっている。余に任せろ」







 クシュン……


「誰か俺の噂しているのか?」


 今川で俺の噂をしているとは露知らず、俺は俺のやるべきことをや進めていた。


 木綿の栽培方法について農書を書き起こしていた。


 木綿こと綿は綿花が咲いたあとにコットンボールが飛び出し、それを摘むことで種を取ることができるので、種はコットンボールから糸を紡いでいれば取れるので集めるのは比較的簡単。


 集めた種は暗所で保管しておき、畑作りを始めるが、木綿は肥料があげすぎると枝ばかり伸びて綿花が枯れたり、病気になりやすくなるので、どちらかと言うと土地は痩せていた方が良かったり。


 そしたら種まき前に畝を作っておき、種を水に30分程浸し、浸水する。


 そしたら種を畑の畝に撒いていき、芽が出てそこそこ育ったら藁を敷いてなるべく雑草が生えないように心がける。


 草取りがこまめにできるなら藁を敷かなくても別によいが……。


 そしたら花が咲いて、それが落ちれば実であるコットンボールがつけるので、雨が降る前に収穫していけば完了である。


 別に機械で収穫する必要が無いので斜面で棚田みたいに畑を作って育てることもできる。


 そして三河だと全体的に土地が痩せているのと気候が木綿の栽培に適しているのである。


 米が作れるところは米を作った方が良いが、作物が育ちにくい場所は是非とも木綿を育てて欲しい。


 今藤原兄弟動員してジェニー紡績機と呼ばれる糸紡ぎ機を開発した。


 構造的には木綿を紡いで糸を作りだす機械で、普通の糸車が1つで1本の糸を作り出すのに対して、ジェニー紡績機はこれを8本同時に紡ぐことができるのである。


 最初作った時は2本同時から糸を紡げるのを作って、倍々で装置の機能を増やしていって8本同時に糸を紡げる様にしたのである。


 効率が爆速になって、織物職人が材料一杯あると嬉しい悲鳴を挙げていたし、輸出商品として糸のままでも港から他国に売られていっていた。


 今年は尾張で作られたのをメインで行なったが、来年からは三河を栽培拠点にし、育てる木綿も現代品種の糸の強度が強く、肌触りがいいのを植える予定だ。


 尾張の木綿は既にこの品種で育てている。


 それにジェニー紡績機は足踏み式で回転する様にすれば、水力とかを必要としないのが大きな利点である。


 それ以上の大量生産は水力式にする必要があるけど、何でも感でも水力式にすると、水車を設置出来る川というのも限られているので、多少効率が落ちても、今よりは大量に生産できればそれでよしとした。


 足踏み式脱穀機の方が高性能だけど、数を用意するなら千歯扱きの方が構造が単純だから広めるのには良い……というのと似ている。


「よし、まとめ終わった。あとはジェニー紡績機を数用意して、紡績工場を建てて、港近くに織物工房を建てれば……いや紡績工場で糸を作ってもらって、尾張にいる山口から来た職人達に着物や手ぬぐい、布団とかに加工してもらえば……」


 そんな感じで俺は木綿の加工や流通について考えるのであった。


 これにより三河では木綿が特産品となり、農民達の収入源に。


 黄銅銭の流通の拡大で三河でも黄銅銭が使われるようになると、木綿を売った金で食料品や道具を買う余裕が生まれ、貨幣経済が農村まで浸透していくことに繋がる。


 経済規模がでかくなればなるほど金の流れは大きくなり、動く金額が大きくなれば経済政策の効果も大きくなる。


 信長様は織田支配下の国境を除き、領内での関所の廃止と、街道整備の令を発布し、防衛の為に川に橋を架けないとかも経済活動に非合理的だとして、各所に橋を架けたりと道を整備して物流の強度を行うのだった。


 次なる問題として流民が尾張や三河が豊かだと周囲に広まると集まってくるようになり、対策を練る必要が出てくるのだった。

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