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戦国爆乳秀吉〜主人公は秀吉を天下人に育てたい〜  作者: 星野林


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鍛冶師の誘致 2

 清洲城と言うと信長の序盤の居城とか清洲会議とか歴史を知っている人であれば有名な場所であるが、現状の尾張と織田家について少し解説を挟んでおこう。


 これは俺の歴史知識と、熱田や津島で買い物をしたり、道場の人と仲良くなって知ったことを含めて説明すると……。


 まず尾張だけど織田信長のお母さん織田信秀様が実質的な統治者である。


 実質的と言ったのは凄い複雑なのであるが、室町時代……国を治める人は守護という役職が幕府から与えられて統治をするのだが、応仁の乱後、国中が下剋上と戦国時代に突入したことで、尾張の統治機構は激変。


 守護の代理で国を治める守護代と言う役職があって、これを尾張は織田一族が握っている。


 そして尾張は上方4郡と下方4郡という8つの区分に分かれていて、尾張守護代の人が2人いて、片方は岩倉城を拠点にする上方4郡を支配している岩倉織田家。


 もう1つが残りの下方4郡を支配し、清洲城を本拠地にしている清洲織田家である。


 その清洲織田家の家老……会社で言うところの部長ポジションが織田信長の母親織田信秀様の居る位置である。


 これだけ聞くと織田信秀様って偉くないじゃんって思うかもしれないけど、織田信秀様は戦上手かつ滅茶苦茶有能で、守護も守護代の人達から尾張を守って下さいって実力でお願いされて、権威的には低い身分……具体的に言うと国人衆と呼ばれるポジションであるにも関わらず、上司を押しのけて、尾張全体を支配下に置いていたのである。


 直轄地に熱田や津島といった大きな港町を持っていたので尾張で一番の金持ちってのも大きいけど。


 尾張はそんな感じで織田信秀様のカリスマで纏っていているので……信秀様が死んだ瞬間に空中分解したのが史実の織田家で、尾張の10分の1くらいの勢力で1から周りの敵を倒しまくって尾張を完全統一したのが織田信長の前半生である。


 というか織田信長って織田家の家督継承から16年近くかけて美濃を含めた2国の領主に成り上がって、その後約15年で天下統一寸前まで持っていくので人生の3分の1で勢力を急拡大した人生を送っている。


 史実通りであれば織田信秀様が亡くなるのは、あと5年後……。


 それまでにどこまで出世することができるか、準備することができるかが鍵になってくるだろう。







 そんなこんなで清洲の町に到着。


 洪水が多い立地で、熱田や津島に比べると町の規模は小さいけど、尾張の中だと5本指に入る栄えている町である。


 これも織田信秀様が尾張を纏めているので、尾張国内で戦が殆ど無い影響であろう。


 中村から距離的にも近いし、芋羊羹の販路を清洲の町に広げても良いかもしれない。


 そんなことを考えながら、町の外れに行くと、鍛冶屋が幾つも建っていて、その中でも賑わってない鍛冶屋があった。


「いらっしゃい! お客さん!」


 店先でこの鍛冶屋で作られたと思われる包丁や槍の穂先、刀の刀身とかが売られていた。


 店の前には幼い男の子が愛想よく振る舞っている。


「ここに腕のよい職人がいると聞いたんだが」


「は、はい! うちの兄さん達でしょうか?」


「兄さん達?」


 事情を聞くと、俺が探していた鍛冶屋だったが、双子の兄と弟の男3人兄弟で鍛冶屋を開いたのだが、全然売れずに困っているとのこと。


「男だと力不足で女鍛冶師が打った刀に比べて劣ると言われて……確かに女鍛冶師の様な力は僕達にはありません。だから代わりに知恵で対抗しようとしたのです」


 鍛冶場の横に水車が設置されていて、ここの兄弟は水車の力を使うことで刀を叩くハンマーを動かして、鋼を鍛錬し、良質な刃物を作っていることが分かった。


 俺が求めていた人材ドンピシャである。


「お客さんは男ですけど鍛えているのを見るに、刀を買いに来たのですか?」


「いや、腕のよい職人を村に誘いに来た」


「村に誘い……ですか?」


「そうだ」


 俺がそう言うと弟さんは困ってしまい、とりあえず兄達を呼びますと言って、お兄さん達を呼んできた。


「お前が俺達兄弟を誘いに来たっていう物好きな男か」


「おお、随分と体格のよい男だな。小生は気に入ったぞ兄貴!」


「まぁ待て正義。こいつも俺が男だから安く買い叩けると思っている連中かもしれねぇ!」


 双子って割には顔が似てない兄弟が出てきたな。


 一人称が小生の人が正義(まさよし)。


 一人称が俺が景義(かげよし)。


 そして弟さんが正常(まさつね)と言い、苗字は藤原を名乗っている。


 元を辿ると貴族の藤原一族に連なるらしいけど、10代以上前に鍛冶師になり、美濃に土着。


 南北朝時代に確立された美濃の鍛冶師集団で培った技術を美濃伝と言い、自分達3兄弟は美濃で修行をして一人前って認められたので独立。


「正常は半人前だけど、俺が面倒見れば十分に成長する余地はあるし、尾張ならば男でも鍛冶師の腕で認められると思って、尾張の清洲で鍛冶場を開いたのだが……世間は男の鍛冶師を認めてくれずに、このざまだ」


「でもよ兄貴! 俺達の品はここらの鍛冶師に負けてるとは思わないぜ」


「それはそうだが……」


 愚痴の言い合いになり始めたが、俺は商品の刀を手に持ってみて、鞘を抜く。


 そこには見事な刀が。


 美術品としても相当な価値があるんじゃなかろうか。


 これは……全ツッパで良いな。


 何なら味方に引き込んでしまおう。


「俺は藤原さん達を安く買い叩く気はないんですよ。俺の能力と藤原さんの技術力が合致すると思ったのでね。今手元に1貫あります。これで売れる刀はありますか?」


「売れる刀……これとかどうだ?」


 正義さんは明らかに1貫以上の価値がある刀を渡してくれた。


「俺は神様に品を納めることで対価をもらうことができるんですよ」


 購入した刀をネット販売で売却すると30万の値段になっていた。


 これだけでもこの人達を雇いたい。


 俺は直ぐにネット通販で砂鉄と木炭を大量に購入して目の前に出す。


 いきなり砂鉄の入った袋と木炭が大量に入った段ボールが現れて3人は目を丸くしていた。


「先程の刀を神様に納めたら砂鉄を30貫分(約112キロ)と木炭30貫分と米2石(300キロ)と交換できると仰ってくれました。これだけあればもっと刀を作れますし、金銭面で困窮することもない。それに神様も喜んでもらえる……素晴らしい取引だと思うのですが」


「俺の作品が神様に認められる……」


「それに俺が武士として活躍すれば、あなた方が作った刀や武具の宣伝にもなる。何より」


「何より……」


「新しい物を作りたくないですか? 例えばこれとか」


 俺はスコップを彼らに渡す。


「全部が鉄で出来てる……これはどんな道具なんだ?」


「穴を掘ったり、畑を耕したり……戦場では先を砥げば手斧の様に扱え、短い槍の様にも使えて、綺麗に洗えば鍋の代わりにも使える……スコップという南蛮の道具です」


「「「すこっぷ……」」」


 職人の3人は黙り込んでしまった。


 もう一押し。


「これを見てください」


 俺は熱田の750貫分の証文を見せる。


「この750貫をあなた達に俺は投資したいと思ってる。これだけあれば新しく鍛冶場を作るだけでなく、それぞれが住める家が建てられると思うけど」


 揺れてる揺れてる。


「それに製鉄をするのならばこれも」


 俺は秘密兵器として永代たたら場の設計図を見せる。


 水車を使ってフイゴ(送風機)を動かし、たたら場(鋼を作る場所)に風を送り、砂鉄を熱して、鋼を大量に作り出すことができる装置。


 750貫……いや、500貫でも普通の鍛冶場はできるし、それに刀を俺に3本捧げれば刀25本は作れる材料を得ることができる。


 数打ちでも練習しなければ腕は上がらないし、腕を磨くという観点でも、職人にとってはこれ以上ない極上の環境である。


「雇われてくれませんか?」


「逆にこちらからお願いします」


「小生や弟の正常も一緒で良いか?」


「全員来てください。何本か神様に捧げさせてもらえば当面の食料とかも融通しますが」


「ああ、何本でも捧げる!」


 その後俺は3人を中村に連れていき、鍛冶場となる場所決めを行なったり、熱田で大工の手配をしたりしてドタバタと忙しくなるのだった。



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