転生先は貧民村 2
主人公の性格が癪に障る可能性があります。成長するまで、気楽な目で見てやってください。
「馬鹿!!そんなこと大声で言わないの!!」
おっ、線さん!流石!でも、それも大声だと思います!
ゴツっ
あ、殴った。日本でやろうもんなら結構咎められるやつですよ。それ。
「いってぇ!ごめんごめん!申し訳無い!」
謝っても許さないが、前の藍に免じて見逃してやろう。
「あそこの神社は縁起悪いらしいですからねぇ。藍も帰ってきたらすごい高熱で。」
「あらそうなの!ほらだから言ったじゃない!もうあんなとこ行くんじゃないよ?」
「は、はぁ…」
「?大丈夫かい藍ちゃん?いつもより元気ないじゃないの。」
ゲッ、前の藍もしかして結構コミュ力高い?勘弁してよ〜。
「藍ちゃん病み上がりだからねぇ?将さん。」
うぉっ。私の第二の母さんは将っていうんだ。かっこいい名前だなぁ。てか確かに母さんは将の名に負けないゴツさだけど、平民が将って名乗っていいのかな?
「また熱がぶり返したらいけないし…今日は藍ちゃん休ませたほうが良いんじゃない?」
おおおお!!線さんマジナイス!ん〜、どうせこの村に転生するなら、あっちの家のほうが良かったな〜。
「それもそうね。藍、今日はねてなさい。」
それを聞いた点が驚いたように線さんに言う。
「えぇぇ~!?まってよ母さん!俺は!?」
黙っとけ。さっき怒られたのによくそんなことが言えるな。
「藍。早く家に戻りなさい。」
「え?」
「え?じゃなくて。線さん怒ったら怖いどころじゃないの、あんたも知ってんだろ?」
ふと母将の顔を見ると、無茶苦茶怯えてた。
え?この筋骨隆々の母さん将が怯えるくらい怖いの?逃げます。即逃げます。
そろそろと、それでいて素早く家に戻った。ちゃっかり母さんも付いてきていた。あ、母さんも来んのね。ホントに怖いんだ。
外に響く線さんの怒号を聞きながら、先ほど寝ていた布団に横になる。たまたま楽できるようになってラッキー。ていうか、マジで線さん怖いな。絶対怒らせないようにしよう。
いやはやしかし、この世界に来て当然のようにこの世界の言葉を喋れているが、不思議なものだ。これも藍の記憶のおかげだとは思うが、日本語でしか発音できないものもある。カステラとか、通じるわけないだろうし。今もところどころ線さんの怒号で分からない単語も出てきている。ま、考えるだけ無駄か。
「おい、藍!朝ごはん作ってるから、これ食べてゆっくりしてなさいね。」
朝ごはん!!ヤッター!異世界のご飯!これは楽しみだ。
「ありがとう〜!母さん!」
「あら珍しいねぇ、あんたがお礼を言うなんて。」
おっ。怪しまれるかもしれないな。これからは言わないどくか?
「さ、はやくおあがりよ。熱また出るかもでしょ。」
「じゃ、いただきまーす」
母さんが置いてくれた食器を見る。
ん?なにこれ。濁った水?見間違いかな?否、マジで濁った水だ。付いてきたスプーンのようなものですくってみる。おおぉぉ、とろみがある。おかゆの最下位互換的な存在なのかな?
「母さん、なにこれ。」
「何ってアンタ、山川芋のおかゆだよ。好物だろう?」
オイオイオイオイ。藍バカ舌にも程があるよ。これが?好物?まぁ、ものは試しだ。食ってみよう。
恐る恐る口に運んでみると、マジでびっくり。結構美味しい。山川芋がどんな芋なのか私は知らないが、ほのかに甘く、味はさつま芋っぽい味だ。この濁った水のように見えたのは薄めた牛乳だろう。この二つが丁度よく甘く、さらに振りかけられてあるであろう塩のしょっぱさが素晴らしいハーモニーを奏でている。これはエグい。藍、母さん、ごめん。これ美味いわ。
身体が芯からあったまってくる。転生したことの不安…いや、別に不安とかはあんまないけど、こんな貧民村に転生してしまったのか、という絶望感は薄れていった。
「それじゃ、私は行ってくるかね。」
そう言って私に目を向ける将は、母親の目をしていた。ちょっと気まずい、私、もうあなたが知っている藍じゃないです。なんて口が裂けても言えない。今まで怠惰で生きてきた私の最初で最大の努力は、この人にバレないように理想の娘を演じることに決定した。
読んでいただいてありがとうございます。
将さん、見かけによらずめちゃくちゃ器用です。故に、料理も上手というわけです。もし誤字脱字や、設定に不備や矛盾等あれば、教えていただけるととても助かります。




