第2章 第3話 - 深夜の乱痴気騒ぎ
研修旅行1日目の夜。俺は布団に横になってたんだけど、なかなか眠れなかった。布団が硝い。
(翔ちゃんと圭吾の言葉が頭から離れない...)
「雫ちゃんとの関係、どうするんだ?」「今度の旅行中に何かアクション起こせよ」
そんなことを考えてると、隣で圭吾がゴソゴソ動いてる音がした。また浴衣の帯と格闘してるんだろうか。
「圭吾?」
「けーちゃん、起きてる?」
「うん」
「実は...」
圭吾がニヤニヤしながら、リュックを開けた。
中からぞろぞろと出てきたのは...ビール、酎ハイ、ウィスキーのミニボトル。まるで移動式酒屋だ。
「おい、それ...」
「すげぇだろ?」
圭吾が自慢げに言った。
「何で持ち込んでるんだよ!研修旅行だぞ!」
「俺のカバン、実は酒しか入ってない」
「着替えは?」
「1日分だけ。あとは全部酒」
翔ちゃんも起きてきた。
「何やってるんだ?」
「翔ちゃんも起きてたのか」
「圭吾がガサガサうるさいから」
「悪い悪い。でも見てくれよ、これ」
圭吾がズラリと並べた酒類を見せた。
「マジかよ...」
翔ちゃんも呆れてる。
「翔ちゃんのカバンも実は...」
翔ちゃんが観念したように自分のリュックを開けると、やっぱり酒類がぎっしり。
「お前らのカバン、着替えとか入ってないのかよ!」
「研修の資料は全部スマホで撮った」
「ビールと酎ハイは冷蔵庫で冷やしといた」
翔ちゃんが部屋の小冷蔵庫を開けると、キンキンに冷えた缶がびっしり。まるでコンビニの冷蔵庫みたいだ。
「いつの間に...」
「チェックインの時にこっそりと。冷蔵庫の使い方もバッチリだ」
(こいつら、完全に飲み会する気満々だったじゃん...プロかよ)
(うーん、確かに旅行の夜って感じだけど...)
コンコンコン
突然ドアがノックされた。
「うわ、バレた?」
俺たちは慌ててビールを隠した。
「は、はーい」
圭吾がドアを開けると...雫が立ってた。
「お疲れさま〜」
「雫?どうしたの、こんな時間に」
「実は、みんな眠れないみたいで...」
雫の後ろから、恵ちゃん、美香ちゃん、麗華ちゃん、雪ちゃんがゾロゾロ出てきた。
「みんな?」
「研修旅行の夜って、なんかワクワクして眠れないの」
美香ちゃんが可愛く言った。
「私たちも部屋でおしゃべりしてたんだけど...」
恵ちゃんが続けた。
「男子は何してるのかなって」
(完璧なタイミングで来やがった...)
「俺たちも眠れなくて...」
翔ちゃんが苦笑いしてる。
「だったら、みんなで話さない?」
雫が提案した。
「でも、先生にバレたら...」
雪ちゃんが心配そう。
「大丈夫よ。先生たちは別館だし、静かにしてれば」
恵ちゃんがお姉さんっぽく言った。
「じゃあ、みんなでB号室に集合?」
麗華ちゃんが提案した。
「そうしよう」
結局、俺たちは全員でB号室に集まることになった。
部屋には麗華ちゃんのゲーム機がまだ設置されてて、なんかパーティー会場みたいな雰囲気。
「電気は暗くしといた方がいいかも」
翔ちゃんが電気を消して、間接照明だけにした。
「なんか秘密基地みたい」
美香ちゃんが興奮してる。
みんなで円になって座った。俺の隣には雫が座ってる。
「それで、何話す?」
雫が聞いた。
「恋愛話とか?」
恵ちゃんが提案した瞬間、俺の心臓がドキッとした。
「恋愛話...」
雪ちゃんが顔を赤くしてる。
「いいじゃない。みんなでここまで来たんだし」
「でも、恥ずかしい...」
美香ちゃんがもじもじしてる。
その時、圭吾がおもむろにリュックからビールを取り出した。
「実は、これ持ってきてたんだ」
「圭吾!」
俺たちは慌てたけど、女子の反応は意外だった。
「あら、お酒?」
恵ちゃんが興味深そうに見てる。
「私、お酒飲んだことない...」
雪ちゃんが好奇心に満ちた目をしてる。
「ダメよ、未成年なんだから」
麗華ちゃんが常識的なことを言った。
「でも、ちょっとだけなら...」
美香ちゃんが興味を示した。
「美香ちゃんまで?」
雫が驚いてる。
「研修旅行の記念に、少しだけ...」
恵ちゃんが言うと、みんなが迷い始めた。
「でも、バレたら大変...」
「静かにしてれば大丈夫よ」
結局、好奇心に負けて、みんなでちょっとだけ飲むことになった。
「何飲む?ビール、酎ハイ、ウィスキー、何でもあるぞ。日本酒もある」
圭吾が自慢げに品揃えを見せた。まるで酒屋の店主みたいだ。
「こんなにあるの?」
雫が驚いてる。
「翔と俺のカバン、実は酒しか入ってないんだ」
「教科書は?」
「スマホで撮影済み」
翔ちゃんが苦笑いしてる。
「ビールと酎ハイは冷蔵庫でキンキンに冷やしてある」
「計画的すぎる...」
俺は呆れた。
「じゃあ、ビールで」
恵ちゃんが選んだ。
「私は酎ハイがいいかな」
美香ちゃんも興味を示した。
「え、みんな飲むの?」
雪ちゃんが困惑してる。
「せっかくだから、少しだけ」
雫も参戦することになった。
圭吾が冷蔵庫から冷えた缶を取り出して、みんなに配った。
「乾杯...?」
雫が小声で言った。
「研修旅行の夜に、乾杯」
みんなで小さく乾杯した。
「うわ、苦い...」
雪ちゃんが顔をしかめた。
「私は酎ハイの方がいいかも」
美香ちゃんが甘い酎ハイに替えた。
でも、恵ちゃんは普通に飲んでる。
「恵ちゃん、慣れてない?」
「まあ、たまに...」
恵ちゃんがサラッと答えた。
(やっぱり恵ちゃんは経験豊富だな...)
「麗華ちゃんは?」
「私は...」
麗華ちゃんがビールを口にした瞬間、意外な反応を見せた。
「あら、美味しいですわ」
「え?」
「お兄様とたまに飲んでましたから」
(麗華ちゃん、お兄さんと酒も飲んでるのか...)
「雫はどう?」
俺が聞くと、雫が少し飲んで...
「うーん、微妙...でも、みんなと一緒だと楽しいかも」
雫が俺を見て微笑んだ。その瞬間、俺の心臓がドキッとした。
しばらく飲んでると、圭吾が言った。
「これ、持って帰るの重いから、全部飲んでくれ」
「全部って...」
「どうせ荷物になるだけだし」
翔ちゃんも賛成してる。
「じゃあ、みんなで頑張って飲みましょ」
恵ちゃんが積極的だ。
気がつくと、俺たちはどんどん飲み続けてた。ビール、酎ハイ、ウィスキーの水割り...
「翔と恵ちゃんは?」
俺が探すと、いつの間にか二人の姿が見えなくなってた。
「あれ?いないね」
雫がキョロキョロしてる。
「どこ行ったんだろう」
美香ちゃんも不思議そう。
一方、圭吾と麗華ちゃん、雪ちゃんは酒盛りを続けてる。
「麗華ちゃん、意外と酒強いな」
「お兄様に鍛えられましたから」
圭吾と麗華ちゃんがウィスキーをグイグイ飲んでる。
「私も負けません」
雪ちゃんが圭吾のリュックから一升瓶を取り出した。
「え、雪ちゃん、それ...でかっ!」
「実は日本酒が好きなんです。これ、長野の地酒『真澄』ですね」
雪ちゃんが一升瓶を開けて、直接口をつけてグイッと飲んだ。
「うそでしょ?雪ちゃんが日本酒?しかも一升瓶を直飲み?!」
圭吾が驚いてる。
「お父さんの影響で、中学生の頃から時々...長野の地酒は特に美味しいんです」
雪ちゃんが照れながら答えた。普段の清楚なイメージと全然違う。
「雪ちゃん、意外とイケる口だな。というか豪快すぎる」
「今日は特別ですから。せっかく長野に来たので」
「あー、クラクラする...」
俺は完全に酔っぱらってしまった。
「ちょっと横になるわ...」
俺は布団を敷いて横になった。
酔っぱらった頭で、ふと思いついた。
俺は布団に入って両腕を広げた。
「先着2名さまに枕をご用意しております」
「けーちゃん、何それ?」
雫がクスクス笑ってる。
「酔っぱらいサービスです」
俺は真面目な顔で言った。
「面白いこと言うのね」
そんな俺を見て、雫が布団に潜り込んできた。
「じゃあ、1番目〜」
「雫?」
「一緒にいていい?」
酔った雫が俺の腕を枕にして横になった。
「あ、ああ...」
俺の心臓がバクバクしてる。
しばらくすると、また誰かが布団に入ってきた。
「私も2番目〜」
今度は美香ちゃんの声だった。
「美香ちゃんも?」
「なんか...一人だと寂しくて」
美香ちゃんも俺の反対側の腕を枕にして潜り込んできた。
(え、え、え?本当に2人とも来ちゃった?)
一方、圭吾と麗華ちゃんと雪ちゃんの酒盛りは続いてる。
「ウィスキーはシングルモルトが最高ですわ」
「麗華ちゃん、マジで詳しいな」
「雪ちゃんも意外と飲むね」
「日本酒は美味しいです。特にこの『真澄』は香りが良くて」
雪ちゃんが一升瓶を傾けながら、満足そうに微笑んでる。まるで酒豪のソムリエみたいだ。
布団の中で、女子2人に囲まれてる俺。これって夢?現実?
「けーちゃん、温かい...」
雫が俺の胸に抱きついてる。
「私も温かくて眠い...」
美香ちゃんが俺の腕まくらでこちらを見ている。
(これ、やばくない?でも、気持ちいい...)
俺は酔っぱらって、この状況を楽しんでしまってた。
圭吾と麗華ちゃんと雪ちゃんの酒談義は続いてる。
「ウィスキーはシングルモルトが最高ですわ」
「麗華ちゃん、マジで詳しいな」
「でも日本酒も負けてませんよ。特に長野の『真澄』は甘口で飲みやすいんです」
雪ちゃんが一升瓶を持ちながら参加してる。
「雪ちゃんも詳しいじゃん」
(あの3人、完全に飲み仲間になってる...酒豪トリオだ)
そして、翔ちゃんと恵ちゃんは行方不明。
(まさか、二人で...?)
でも、今の俺にはそんなことを考える余裕はなかった。
だって、雫、美香ちゃんに囲まれて、夢のような状況だったから。
しばらくして、雫が心配そうに声をかけてきた。
「けーちゃん、腕大丈夫?痺れない?」
「私たち、重くない?」
美香ちゃんも気を遣ってくれる。
「大丈夫、大丈夫。全然平気だよ」
俺は慌てて答えた。実は少し痺れてきてたけど、こんな夢のような状況を手放したくない。
「でも、無理しちゃダメよ」
雫が優しく言ってくれる。
「本当に大丈夫?」
美香ちゃんも心配してくれてる。
「実は...ちょっとしびれてきた」
俺が正直に答えると、二人が慌てて体勢を変えた。
「ごめん、けーちゃん」
雫が俺の腕から頭を離して、俺の胸に頭を乗せ直した。
「私も重かったよね」
美香ちゃんも同じように俺の胸に頭を移してくれた。
「けーちゃん、胸板厚くてすごい!」
雫が俺の胸に頭を乗せながら言った。
「本当だ、意外とたくましいのね」
美香ちゃんも感心してる。
二人がより密着してくることで、色々と柔らかいものが俺に押し付けられる。その感触に、俺の体が反応してしまう。
酔った勢いで、俺は思い切って両手を二人の腰に回した。
「あ...」
雫が少し驚いたような声を出した。
「けーちゃん...」
美香ちゃんも俺の手を感じて、顔を赤くした。
その時、酔った雪ちゃんがこちらを見て、目を細めながらつぶやいた。
「いいなあ...」
一升瓶を片手に、うっとりとした表情でこちらを見てる。
(雪ちゃん、完全に酔っぱらってる...)
(うわ、今度は胸に二人の頭が...しかもこの柔らかい感触で体が...)
俺の心臓がバクバクと鳴り響く。
「みんな、明日大丈夫?」
俺が心配すると、
「明日のことは明日考える〜」
雫が酔っぱらって言った。
「今は気持ちいいから、このまま...」
美香ちゃんも眠そうに俺にもたれかかってくる。
二人とも俺の腕枕を気に入ってくれてるみたいだ。
(これ、本当に夢じゃないよな...)
圭吾と麗華ちゃん雪ちゃんの酒盛りを横目に、俺の意識は朦朧としていった。
俺は雫と美香ちゃんの温かさを感じながら、そのまま眠りについた。
複雑な気持ちで、俺の研修旅行1日目の夜は更けていった。